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寿命365日の最弱ウミウシに転生した元プロゲーマー〜今度こそ世界一位をハメ殺す〜  作者: 神城ラグ
『第二章:深海エリアへの進出と強敵との遭遇、ライバルとの実力差の測定』
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第十五話 予測線

海が裂ける。

 レールガンマグロの第三撃。

 深海の水圧すら置き去りにする超高速突進。

 認識した時には被弾している。

 そんな理不尽そのものみたいな攻撃だった。


 だが。

 ノアはもう慌てていなかった。

 視界にはネオン紫の軌跡が浮かんでいる。

《未来フレーム予測パケット・インスペクション

 統合したばかりの新スキル。

 筋肉の収縮。

 海流の揺らぎ。

 生体反応。

 共生リンクで取得した情報。

 その全てを演算し、数秒先の未来を描き出す。

 レールガンマグロが加速する。

 未来フレーム予測が警告を鳴らした。

 視界の端に一本の線が浮かぶ。


 ネオン紫の残像。

 未来の突進経路。

「……見えた」


 直後。

 レールガンマグロが消えた。

 いや。

 速すぎて見えなくなっただけだ。

 海水が爆ぜる。

 岩盤が砕ける。

 轟音が響く。


 だが。

 ノアはその場から動かなかった。

 代わりに笑う。

「なるほど」

「そういう仕様か」

 レールガンマグロは速い。

 圧倒的に速い。


 だが。

 単純だった。

 加速性能に全てを振ったせいで、突進前の動作が消せていない。

 格ゲーで言えば。

 発生は最強。

 だが予備動作が読める技。


 つまり。

 対策できる。

 ノアはゆっくりスキルを起動した。


《高圧遠隔砲》

《隠密毒素》


 毒液が圧縮される。

 水流が収束する。

 狙うのは敵ではない。

 敵が数秒後にいる場所。

 未来。

 予測線の終点。

 発射。

 ズガァァァァァン!!

 紫色の毒砲撃が海中を裂く。


 直後。

 レールガンマグロがそこへ突っ込んだ。

 ドゴォォォォォォォッ!!

『ギィィィィィィィィィッ!?』

 絶叫。

 鱗が吹き飛ぶ。

 肉が裂ける。

 レールガンマグロが初めて被弾した。


 ノアは口元を歪める。

「どんだけ速くても」

「動く場所が分かってりゃ、ただの的だ」

 怒り狂ったマグロが再加速する。


 だが。

 もう遅い。

 未来フレーム予測は完全に相手の癖を捉えていた。

 加速前の尾の動き。

 筋肉の収縮。

 海流の歪み。

 全てが予測線になる。


 だから。

 置く。

 毒を。

 置く。

 砲撃を。

 置く。

 衝撃波を。

 マグロが通る未来へ。


 ただそれだけ。

 ドガァァァァァン!!

『ガァァァァァァァ!!』

 ズガァァァァァン!!

『ギャァァァァァァ!!』

 高速移動が仇になる。

 避けられない。

 止まれない。

 曲がれない。

 自ら罠へ飛び込んでいるのと変わらなかった。


 そして。

 最後の突進。

 未来フレーム予測が示した終点へ。

 ノアは静かに照準を合わせた。

音速衝撃波プラズマ・スナイプ

 圧縮。

 加速。

 発射。

 紫色の衝撃波が一直線に海を貫く。


 その瞬間。

 レールガンマグロが飛び込んだ。

 回避不能。

 完全同期。

 完璧な持続当て。


 ドガァァァァァァァァァッ!!

 巨体が弾け飛ぶ。

 鱗が砕ける。

 骨が割れる。

 肉が裂ける。

 深海の怪物は、そのまま海底へ墜落した。

 静寂。


 ノアはゆっくり近づく。

「攻略完了」

 そのまま噛みついた。

 コア捕食。

 ログ展開。


【『レールガンマグロ(Lv48)』の捕食を確認】

【格上個体の討伐を確認】

【経験値を獲得しました】

【Lv30 → Lv37】

【Lv37 → Lv44】

【Lv44 → Lv50】

【レベルアップ完了】


 膨大なエネルギーが身体へ流れ込む。

 海水が震える。


 そして。

 新たなログが展開された。


【Lv50到達】

【節目到達ボーナスを付与します】

【神経演算領域を拡張します】


 その瞬間。

 世界が変わった。

 水流。

 振動。

 海底の微細な変化。

 全てが今まで以上に鮮明に認識できる。

 思考速度が加速していた。

 敵が遅くなったわけじゃない。

 自分の処理能力が上がったのだ。


「……なるほど」

「そういう強化か」

 さらにログが続く。


【新規スキル《亜音速航行ハイドロ・ジェット》を獲得】

【スキル枠使用数:8/10】


 次の瞬間。

 ノアの身体が弾けた。


 いや。

 移動した。

 今までの《ハイドロ・ダッシュ》とは比較にならない。

 一瞬で数百メートル。

 深海を弾丸のように突き進む。

 ノアは笑った。


「いいな」

「かなり好きだ」

 視線はさらに下。

 観測不能領域。

 そこに世界一位、アインがいる。

 寿命は残り二十九日。


 だが。

 止まる理由はなかった。

 ノアはネオン紫の軌跡を引きながら加速する。

「待ってろよ」

 深海が揺れる。

 亜音速航行が唸りを上げる。


「今度は俺が絶対」

 口元が歪む。

「お前をハメ殺す」


 弾丸のような速度で。

 ノアはさらに深い闇へと降下していった。

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