# 第6話 ## 「唯ちゃんの元気がない日」
# 第6話
## 「唯ちゃんの元気がない日」
ある日の朝。
僕はすぐに気付いた。
唯ちゃんの元気がない。
笑ってはいる。
いつものように朝ごはんも作っている。
でも。
少しだけ笑顔が弱かった。
「大丈夫?」
僕が聞くと。
唯ちゃんは微笑む。
「大丈夫だよ」
いつもの言葉。
だけど。
長く一緒にいると分かる。
本当に大丈夫な時と。
少し無理をしている時の違いが。
その日の夕方。
優月も気付いていた。
宿題をしながら僕に小声で聞く。
「ママ、疲れてるよね」
「うん」
「やっぱり?」
優月は少し心配そうだった。
その時。
結愛がやって来る。
「なにしてるのー?」
僕と優月は顔を見合わせた。
そして。
作戦会議が始まった。
---
夜。
唯ちゃんがお風呂に入っている間。
リビングで緊急家族会議。
議長は結愛。
なぜか胸を張っている。
「かいぎします!」
「はい」
「はい」
僕と優月は素直に従った。
結愛は言う。
「ままをげんきにする!」
拍手。
議案可決。
即決だった。
優月が考える。
「肩たたきとか?」
僕も頷く。
「いいね」
結愛も手を挙げる。
「ぷりん!」
「それは結愛が食べたいだけだろ」
「ちがうもん!」
たぶん違わない。
でも。
その一生懸命な顔が可愛かった。
三人で準備を始める。
優月は手紙を書く。
僕は温かい紅茶を用意する。
結愛は折り紙。
……の予定だった。
気付くと。
ペンギンを三匹作っていた。
なぜ増えた。
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一時間後。
準備完了。
唯ちゃんがお風呂から出てくる。
髪をタオルで拭きながらリビングへ。
すると。
パッ!
部屋の電気がついた。
「え?」
そこには。
僕たち三人。
整列。
結愛が前に出る。
「まま!」
「うん?」
「いつもありがと!」
優月も立ち上がる。
「ママ、最近疲れてるでしょ」
唯ちゃんが少し驚いた顔になる。
「気付いてたの?」
「うん」
優月は照れながら手紙を渡した。
唯ちゃんが開く。
そこには。
優月の字で。
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ママへ
いつもありがとう。
私が悲しい時も、
嬉しい時も、
いつもそばにいてくれてありがとう。
私はママが大好きです。
たまには休んでね。
優月
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唯ちゃんの目が少し潤んだ。
そして。
僕が紅茶を差し出す。
「今日は家事禁止」
「え?」
「命令です」
唯ちゃんが笑う。
「命令なんだ」
「命令です」
最後に。
結愛が走ってきた。
「はい!」
差し出したのは。
折り紙のペンギン三匹。
「まもりがみ!」
「守り神?」
「げんきになる!」
唯ちゃんは吹き出した。
涙を浮かべながら。
笑った。
「ありがとう」
結愛は得意顔。
「どういたしまして!」
その夜。
家族みんなでソファに座った。
テレビも消して。
ただ話をした。
学校のこと。
仕事のこと。
最近あった面白いこと。
結愛の意味不明な話。
たくさん笑った。
そして。
寝る前。
唯ちゃんがぽつりと言った。
「なんか元気出た」
僕は笑う。
「よかった」
優月も嬉しそう。
結愛はもう眠そうだ。
唯ちゃんは僕たちを見渡す。
そして。
優しく言った。
「私ね」
「うん」
「この家族で本当に良かった」
静かな言葉だった。
だけど。
とても温かかった。
僕は思う。
家族って。
誰か一人が頑張るものじゃない。
疲れたら支える。
元気がない時は寄り添う。
そうやって一緒に歩いていくものなんだ。
結愛はうとうとしながら呟く。
「みんな……なかま……」
優月が笑う。
「それは間違ってないね」
僕も頷く。
そうだ。
僕たちは家族で。
仲間なんだ。
その夜。
リビングには折り紙のペンギンが三匹並んでいた。
なぜか少し誇らしそうに。
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### 次回予告
**第7話「優月、初めての反抗期?」**
「別に」
「普通」
「なんでもない」
最近、優月の様子がおかしい。
心配する家族。
戸惑うパパ。
そして結愛は――
「ゆづき、こわれた?」
少し笑えて、少し切ない成長のお話。




