# 第17話 ## 「家族写真」
# 第17話
## 「家族写真」
ある日曜日の朝。
朝食を食べ終えた頃。
唯ちゃんが一枚のチラシをテーブルに置いた。
「見て」
僕が手に取る。
近所の写真館。
**『家族写真キャンペーン』**
「いいね」
僕が言うと。
優月も嬉しそうに頷いた。
「撮りたい!」
すると。
結愛が聞いた。
「しゃしん?」
「うん」
「おっきいやつ?」
「そうだよ」
結愛は胸を張った。
「まかせて!」
……。
嫌な予感しかしなかった。
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午後。
家族みんなで写真館へ。
受付を済ませると。
優しそうなカメラマンのお姉さんが迎えてくれた。
「今日はよろしくお願いします」
結愛も元気いっぱい。
「よろしくおねがいします!」
完璧だった。
ここまでは。
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スタジオへ入る。
白い背景。
大きなライト。
カメラ。
結愛の目が輝く。
「すごーい!」
走る。
ライトの周りを一周。
優月が追いかける。
「結愛ー!」
開始一分で大騒ぎだった。
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ようやく椅子に座る。
僕。
唯ちゃん。
優月。
結愛。
四人並ぶ。
カメラマンさんが笑顔で言う。
「じゃあ、みんなカメラを見てくださいね」
「はーい」
パシャ。
……
結愛だけ横を向いていた。
「ちょうちょ!」
スタジオに蝶なんていない。
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二回目。
「はい、笑ってくださーい!」
パシャ。
結愛。
変顔。
優月、大爆笑。
撮影中断。
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三回目。
「今度は動かないでね」
「うん!」
パシャ。
……
結愛。
大あくび。
「ふぁぁぁ」
カメラマンさんまで笑ってしまった。
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僕は小さくため息をつく。
「今日は無理かな」
すると。
カメラマンさんがしゃがみ込んだ。
結愛と目線を合わせる。
「結愛ちゃん」
「なあに?」
「パパの一番好きなお顔ってどんな顔かな?」
結愛は少し考えた。
そして。
僕を見た。
「これ!」
にこっ。
とびきりの笑顔だった。
「じゃあ、その笑顔を見せてね」
「うん!」
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最後の一枚。
「はい、いきますよー!」
僕は唯ちゃんを見る。
唯ちゃんは優月を見る。
優月は結愛を見る。
結愛は僕を見る。
自然に。
みんな笑った。
「パシャ。」
シャッターの音が響く。
カメラマンさんが写真を確認する。
そして。
にっこり笑った。
「撮れました」
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数分後。
出来上がった写真を見せてもらう。
そこには。
少し照れた僕。
優しい笑顔の唯ちゃん。
嬉しそうな優月。
そして。
満面の笑顔の結愛。
誰も無理に笑っていない。
いつもの家族だった。
「いい写真だね」
唯ちゃんが小さく言う。
僕も頷いた。
「うん」
優月は写真を見つめながら笑う。
「宝物だね」
結愛も元気よく言う。
「たからもの!」
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家に帰ると。
唯ちゃんは写真をリビングに飾った。
テレビの横。
家族みんなが毎日見える場所。
結愛は何度も写真を見に行く。
「みて!」
「うん」
「ゆあわらってる!」
「笑ってるね」
「ぱぱも!」
「うん」
「みんなも!」
僕は写真を見ながら思う。
写真は。
時間を止める魔法だ。
何年後か。
優月が大人になって。
結愛も大きくなって。
この写真を見返した時。
きっと今日の笑い声まで思い出せる。
そんな一枚になった。
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夜。
寝る前。
結愛が写真に向かって手を振った。
「またあした!」
優月が笑う。
「写真は帰らないよ」
結愛は首をかしげる。
「でも、みんなここにいるもん」
その言葉に。
僕も唯ちゃんも顔を見合わせた。
写真の中には。
今日の僕たちがいた。
でも。
本当に大切なのは。
写真の外で笑っている今なんだ。
僕は部屋の明かりを消しながら、小さくつぶやいた。
「また明日も、みんなで笑おう」
「うん!」
結愛の元気な返事が、家中に響いた。
その声を聞いて、今日もまた「幸せだな」と思うのだった。
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### 次回予告
**第18話「パパと優月、二人だけの帰り道」**
結愛がおばあちゃんの家にお泊まり。
久しぶりにパパと優月、二人きりで歩く帰り道。
「パパ、聞いてほしいことがあるの」
少し大人になった優月の本音が、静かな夜にこぼれ始める――。




