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# 第11話 ## 「雨の日の宝探し」

# 第11話


## 「雨の日の宝探し」


朝から雨だった。


ザーザー。


ぽつぽつ。


ザーザーザー。


窓の外は灰色の空。


公園にも行けない。


散歩もできない。


すると。


朝ごはんを食べ終えた結愛がソファに倒れ込んだ。


「たいくつー……」


完全に溶けている。


優月が笑う。


「まだ朝だよ?」


「もうあきた」


早い。


早すぎる。


---


十分後。


結愛は床を転がっていた。


ころころ。


ころころ。


ころころ。


僕が聞く。


「何してるの?」


「ひま」


答えになっていない。


すると。


優月が急に立ち上がった。


「そうだ」


みんなが見る。


優月はニヤリと笑った。


「宝探ししよう」


結愛の目が輝く。


「たから!?」


「うん」


「やるー!」


一秒で復活した。


---


優月は紙を何枚か用意した。


そこにヒントを書く。


そして家中に隠す。


第一のヒント。


---


『いつもおいしいものが入っている場所』


---


結愛は走った。


「れいぞうこ!」


正解。


冷蔵庫を開ける。


中には次のヒント。


---


『みんながテレビを見る場所』


---


ソファ。


発見。


次。


---


『雨の日に活躍するものの近く』


---


傘立て。


発見。


結愛は大興奮だった。


「ぼうけんだー!」


---


そして。


最後のヒント。


---


『家族の思い出がたくさんある場所』


---


結愛は首を傾げる。


「どこ?」


優月は微笑む。


「考えてみて」


僕も唯ちゃんも見守る。


結愛は家の中を歩く。


うーん。


うーん。


悩む。


そして。


突然立ち止まった。


「あ!」


走る。


向かった先は――


リビングの棚。


そこに飾られている。


『わたしたちの家族アルバム』


だった。


---


優月が驚く。


「正解」


結愛は胸を張る。


「えへへ!」


アルバムの後ろを見る。


小さな箱。


見つけた。


宝箱だ。


結愛はゆっくり開ける。


中には。


お菓子でも。


おもちゃでもなかった。


写真だった。


---


小さな頃の優月。


赤ちゃんの結愛。


若い僕と唯ちゃん。


公園。


海。


運動会。


誕生日。


たくさんの写真。


結愛は一枚一枚見ていく。


そして。


ある写真で止まった。


そこには。


まだ赤ちゃんだった結愛を抱く優月。


優月も今よりずっと小さい。


でも。


すごく嬉しそうに笑っていた。


「ゆづきだ」


「うん」


優月も覗き込む。


「懐かしいな」


結愛は写真を見ながら聞いた。


「そのときから、ゆづき、おねえちゃん?」


優月は少し考えた。


そして。


笑った。


「うん」


「ずっと?」


「ずっと」


結愛は満足そうだった。


---


その時。


唯ちゃんが一枚の写真を見つけた。


「あ」


僕も見る。


そして固まる。


そこには。


小学生の僕。


段ボールの秘密基地の前でポーズを取っていた。


優月、大爆笑。


「また出てきた!」


結愛も笑う。


「ぱぱちいさい!」


僕は頭を抱えた。


黒歴史である。


---


午後。


雨はまだ降っていた。


でも。


誰も退屈していなかった。


写真を見ながら。


思い出話をして。


笑って。


時々少しだけ泣きそうになって。


家族みんなで過ごした。


---


夕方。


結愛が僕の膝の上で言った。


「たからものみつけた」


「何だった?」


僕が聞く。


結愛は即答した。


「みんな」


静かになった。


優月も。


唯ちゃんも。


僕も。


少し驚く。


結愛は続けた。


「ゆづきも」


「うん」


「ままも」


「うん」


「ぱぱも」


そして。


にこっと笑った。


「たからもの」


僕は思わず結愛を抱きしめた。


優月も少し照れている。


唯ちゃんの目は少し潤んでいた。


---


雨の日だった。


どこにも行けなかった。


特別なこともなかった。


でも。


きっと忘れない一日になった。


家族で見つけた宝物は。


最初からずっと。


この家の中にあったのだから。


---


### 次回予告


**第12話「パパ、風邪をひく」**


珍しく寝込んだパパ。


心配する優月。


張り切る結愛。


そして始まる、


"結愛の看病大作戦"――!


「ぱぱ、げんきになるおまじないする!」


笑いと優しさがいっぱいの物語。


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