表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通で当たり前の異常な日々  作者: 黒兎
日常の終わりと始まり
2/17

きっかけ

仁村かなで16歳。

私は特にこれといった特徴のない人間だ。


学校の成績は中の中、運動能力も平均的。容姿も特別優れているわけでもなく、かと言って不細工ではないと思う。


ただ1つ問題をあげるとすれば、私には友達と言えるものがいないことだ。


いや、もちろん全くいないわけではない。

別に人と話すのが苦手なわけではないし、むしろコミニケーション能力はあるほうだと思う。


私に友達がいない理由、というよりできなかった理由、

それは両親の仕事の都合で引っ越しの機会が多く、土地に定住することがなかったからだ。


両親の職業は少し特殊で母はカメラマン、父は画家をやっている。母は常に全国、または海外を飛び回っていてあまり家にいないことが多かったし、父は周りの風景が気に入った場所に家を借り、長くても2年、短ければ数ヶ月で絵を描き上げると引越しをする。


当然私もそれについて引越していくわけで、そんな生活を続けていれば親しい人間といのはどうしてもつくりにくい。


別に両親を嫌ってるけではなくむしろ尊敬している。とは言えこのままでは親しい友人というのがどうしても出来にくい。


例え仲良くなったとしても土地を離れ、疎遠になれば段々と関係は希薄になっていく。


最初の頃は頻繁に送られてきていたメッセージも段々とその数を減らし、送られてくることもなくなっていく。


私自身も引っ越し先の新たな環境になれるのに忙しく、こちらから連絡をしないのも問題だった。


そんな私の趣味は1人で出来る物になっていくわけで、私はマンガにハマった。


漫画の中で私が好きなジャンルは派手なアクションやファンタジーじゃなくて日常物。なんでもない当たり前の日々を仲の良い友人達と過ごす青春のストーリー。


私はどうしようもなくこれに憧れた。

なので私は高校入学をきっかけに、1人暮らしを始めることにした。


両親はあっさりと私の希望を了承してくた。

どうやら両親なりに思うところがあったらしい。

そして春から西宮高等学校への入学が決まり、私は色々と準備を始めた。


1人暮らしの準備もそうだか、いわゆる高校デビューの準備だ。西宮高等学校は私立のためか、校則が大分ゆるいようなので、ここはしっかりと準備をすることにした。 はじめて髪を茶髪に染めてパーマなんかをかけてみた。


化粧も練習して、ファッション誌を読み漁った。

その結果、地味で特徴のなかった私も、普通よりややかわいいゆるふわギャルという感じに変身することができた。


そうやって万全の準備を整えて私は西宮高等学校に入学し、 結論からいえば私の高校デビューは成功した。


そもそもが昔の私を知る人間がいないので、高校デビューで垢抜けた私の変化に気づく人などいるはずもない。


転校を繰り返して得た初対面からのコミュニケーション能力も役立ち、友人と呼べる存在もできた。


見た目がクールでちょっと怖いけど面倒見のいいギャルの斉藤舞。噂好きでお調子者のトラブルメーカー柳圭子。


2人ともTHEギャルって感じで正直あんまり得意なタイプではなかったが、今の私も見た目はそれに近い。

それに話してみれば2人ともとてもいい子だった。


こうして私の高校生活は順調な滑り出しで華やかな青春へと進み出した。放課後の買い食いや、ゲーセンでプリクラを撮ったり、休日にはインスタ映えするオシャレなカフェなんかに出かけたりもした。


中々にお金はかかったが、幸い両親が裕福なおかげでお小遣いはそれなりにあったのも助かった。私は憧れた青春を手にすることが出来たのだ。


そして高校に入学してからの2ヶ月はあっという間に過ぎて6月。きっかけは圭子の何気ない発言だった。


「ねぇ、次の休み肝試しにいかない?」

昼休みいつもの3人で昼食を食べている最中に圭子が言い出した。

「なに圭子?あんたオカルトとか信じちゃう系女子だったん?」

気怠そうに購買のサンドウィッチを食べながら舞子が訪ねる。リアリストでオカルト否定派な舞は心底めんどくさそうだ。


「確かにアタシはオカルト肯定派だけど、そういうんじゃなくてなんか刺激がある遊びがしたくない?って話!実は近場で面白そうな場所の話聞いてさー」


そう言いながら弁当箱から卵焼きをつまむ圭子、派手目な見た目に反して彼女はかなり家庭的であり弁当も自作している。


「刺激って…私怖いの苦手だし、そういう場所って危なくない?」

これは私。自慢ではないが私も料理はできるほうだ自作の弁当から昨晩作ったきんぴらをつまむ。我ながらいい出来である。


「だから面白いんじゃん!やっぱり日常には刺激っていうか、スパイスが必要だと思うんだよね!」

圭子が興奮しながら右手を振り上げる。


「刺激ねぇ…で?あんたの言ういい場所ってどこよ?」

舞の言葉を聞いた圭子が待ってましたと説明をはじめる。


「ほら、日野浦山あるじゃん?あの山の中に、昔の精神病院の廃墟があってさぁ…そこに出るんだって、幽霊」

日野浦山とはこの西宮学園から自転車で30分ほど行ったところにある標高200m程度の小さな山だ。


「病院の廃墟?あーなんか県道をそれたとこに廃墟あった気がする。あれって病院だったん?」

舞が何かを思い出したように言う。残念ながらこの春こちらに越してきた私は土地勘がなく思い浮かべることができない。


「そうそう、しかも精神病院。噂じゃかなりヤバい患者を隔離するための病院だったらしくてさ、患者を外に出さないために監禁みたいなことしてたらしくて、しかもそういう患者を相手にするストレスとかで看護師とかもおかしくなったらしくてさ。なんか拷問みたいなことしはじめちゃって、結果患者が何人も亡くなって閉鎖みたいな感じらしいよ」


圭子が面白そうに話すが、事実だとしたら内容はかなりヘビーだ。絶対に行きたくない。


「あんたそういう噂どこで聞いてくるのよ…ていうか行くにしてもあそこ結構山の上じゃん?バスとかもないし、どうやって行く気よ」


舞が呆れたように言う。ちょっと待って欲しい。まるで手段があれば行ってもいいような口ぶりだ。


「ふっふーん。そこら辺は抜かりないわよ。兄ちゃんに車出して貰えるように頼んであるから」


得意気に胸をはる圭子。そういえば圭子には大学生の兄がいると聞いたことがある。

なんでそんなに用意周到なのか、このまま行くことになってはたまらない。そう思って口を開こうとしたが、


「へぇーならいいんじゃない?今週末って土曜?行くなら夜でしょ?何時にするん?」


それより先に舞が話にのってしまった。すでに圭子と2人で詳細な時間や集合場所を決めはじめている。完全に否定するタイミングを逃してしまった。


「かなでも行くでしょ?20時に私の家前集合でいい?」

圭子が当たり前のように聞いてくる。悪気のない笑顔だ。本当は行きたくない、ただここで断って空気を読めない感じを出すことは私には出来なかった。


「わかった、20時に圭子の家の前ね」

私はこの選択を後に物凄く後悔することになる。

次回は4/920時更新予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ