8 定期便と、お姉ちゃんの「規格外」
「ただいま! ローザ、ギルドから戻ったぞ!」
「あなた、お帰りなさい。……裏庭に荷物が届いているわよ」
フェリクスが目を輝かせて駆け寄ります。
「うん! また『妖精の輪』が出現したんだよ。定期便、お姉ちゃんからのプレゼントだ!」
そう、あの日から数ヶ月に一度、マリナから「定期便」が届くようになっていたのです。
下級妖精や、他の妖精たちが、マリナの手製お菓子に釣られて、人間界へ荷物を運んでくるのでした。
父が木箱の鍵(マリナ特製の魔力錠)に触れると、パカッと箱が開きます。
中には、びっしりと文字が書かれた手紙と、見たこともないほど高品質な薬草や魔鉱石が入っていました。
母が嬉しそうに手紙を読み上げます。
『お父さん、お母さん、そして可愛いフェリクス! 元気にしてる?
私はこっちで毎日、妖精王のじいさん(見た目はイケメンだけど)と喧嘩しながら、魔法と薬学の勉強をしています。
今回の仕送りは、妖精の郷の奥で採れた「世界樹の涙(エリクサーの原料)」と、最高級の魔鉱石です。お父さんの剣の素材にでもしてね。
フェリクス、お姉ちゃんの薬草のノートはちゃんと読んでる? 悪い人に騙されちゃダメだよ!』
手紙の内容は、とても八歳の子供が書いたとは思えないほど、理知的で、どこか世慣れていました。
(お姉ちゃんは、すごくて、とってもかっこいい人なんだ)
まだ見ぬ姉に対し、フェリクスは絶大な憧れを抱いていました。
届く手紙や、同封されている「マリナお手製の薬草図鑑」のおかげで、フェリクスは五歳にして大人顔負けの知識を身につけていたのです。




