5 届いた祈り
ガゼルの街にある小さな家では、重苦しい空気が流れていました。
マリナが消えてから二日。母は心配で、眠ることができません。
父もまた、泥と傷にまみれて森から帰ってきます。
「ダメだった。妖精の結界が強すぎる。ギルドの腕利きを連れていっても、森の奥で全員の記憶が狂わされるんだ」
「そう、ですか……。ごめんなさい、私がこんな体でなければ、一緒に……」
自分を責める母の手を、父は強く握りしめます。
二人が絶望に沈みかけていた、その時でした。
開いている窓から、一枚の白い布がヒラヒラと落ちてきました。
布には何か書かれていてーー
「!!!」
母の目から大粒の涙が溢れ、
「あなた!!マリナは無事よ!!」
二人は抱き合い、溢れる涙を止めることができませんでした。
母が安堵し、泣きながら眠ったのを見て、父は急いでこのことを冒険者ギルドへ知らせに行きました。
◇◇◇
妖精王とマリナはこの様子を妖精王の遠見魔法で見ていました。
「お父さん、お母さん……帰りたいよぅ…うわあぁぁぁん!!」
マリナも涙が止まりません。
そして、マリナも泣き疲れ眠ってしまいました。
妖精王はそんなマリナの髪を優しく撫で、大事に抱き上げベッドに寝かせました。
妖精王はそんなマリナから目が離せず、ベッドの横に座ったままマリナに寄り添って一晩明かしました。
こうして、3才のマリナと妖精王との奇妙な同居生活が始まりました。




