10 常春の国のスパルタ教師
人間界へ定期便を送りつつ、マリナは妖精の郷で充実した(物理的に激しい)毎日を送っていました。
見た目は可憐な少女ですが、中身は転生者。
目標はただ一つ、「自力で次元の壁をこじ開けて家に帰る」ことです。
そのためには、この世界のトップに君臨する妖精王に魔法を教わる必要がありました。
「おい、マリナ。お前の魔力コントロールは雑だ。それでは次元をすり抜けるどころか、抜ける時に自分の服を消し飛ばすのがオチだな」
銀髪をなびかせ、美しい琥珀色の瞳で冷たく見下ろしてくるのは、妖精王。
彼はマリナの家庭教師であり、同時に世界最高峰の魔法の使い手でした。
「うるさいなー! こっちはまだ子供の身体なの! じいさんみたいに何千年も生きてないんだからねっ、これでも頑張ってる方でしょ!」
「誰がじいさんだ。私はこれでも妖精族の全盛期だぞ。ほら、お喋りしている暇があるなら、その『現代知識』とかいう奇妙な概念を魔力に変換してみせろ」
妖精王が指先を軽く振ると、マリナの足元から巨大な植物の触手が突き出しました。
「わわっ!? いきなり実戦形式にシフトしないでよ!」
マリナは小さな体をひょこひょこ動かし、身軽に攻撃を避けました。
「こら!魔法を使って避けるんだ!」
「くぅぅぅ、攻撃を避ける?当たらなくする?バリアか?身体強化?」
どれが正解なのーー!!
マリナにとって、毎日が修行でした。




