71 ゴーレムさんが転んだ!
「"アレヴ・エリメ(炎の溶融)"!!」
ケンちゃんから発せられる呪文で、複数の炎が空中で溶け合いながら一つに収束し、高密度の炎の塊がワイバーンの密集した群れに向かって飛んでいく。
ドォォォン!!
三匹が同時に叩き落とされた。
「"アレヴ・ヤイルマ(炎の展開)"!!」
今度は炎が空気中に展開しながら広がり、ワイバーンの進路を面で塞ぐように包み込んでいく。
逃げ場を失ったワイバーンが炎に包まれ次々と墜落した。
上空から次々と落ちてくるワイバーンを見て、
「ケンちゃん、ほんとカッコ良すぎるんですけどー!!」
ケンちゃんの雄姿に胸が震えてくる。
よし、負けられないぞ!!
私は一度着地し、もう一度地上を見渡した。
巨大なストーンゴーレムが三体、建物を踏み潰しながら迫ってきていた。
全身が岩でできているため、一歩踏み出すたびに地面が揺れる。
「まずはあれを止めないと建物がやばいね、さて、どうするか」
......転ばして倒す?
試してみるしかない!
「スーパーフライト!!ターボ!!」
高速低空飛行のおかげでストーンゴーレムに気づかれずに近づき、
ストーンゴーレムの足元に向かって、全速力で滑り込む。
あとは、あれだ!!!
「スーパーバナナ・スリップ!!」
ちょうどストーンゴーレムが一歩を踏み出すタイミングに合わせてバナナを大量にばら撒いた。
むにゅ。
......。
おかしい、バナナ踏んだだけで終わった。
量が足りなかったのかも!!!もう一度だ!!!
「バナナ・ゴロゴロ・マキシマム!!!」
今度はとんでもない量のバナナをストーンゴーレムの足元に生み出し撒いた。さながらバナナの海のようだ。
これならもう、絶対に転ぶ、誰だって転ぶ!!
......なのに、
何で転ばないの――――!!!!
「麻美っ!!なにを遊んでいるんだ!!
それから町を汚すな!!!」
空の上からみとの声が降って来た。
遊んでないのに!真剣なのに!!
それならもうアレしかないでしょうがー!!!
「ドッカン!だるまハンマー!スペシャル!!」
私は、だるま落としのイメージを最大級にしたものを、ストーンゴーレムの片足に重点を絞って打ち込んだ。
ドゴッ、ドッガーーーン!!!
片足の岩を一部抜かれたストーンゴーレムがバランスを崩し倒れた。
そのまま二体のストーンゴーレムにぶつかり巻き添えにして重なり合って三体とも倒れる。
起き上がろうとしたがバナナの海に嵌って滑って起き上がれずにいた。
「よっしゃーーー!!」
渾身のガッツポーズが出た。
「う、うそだろ??」
どこからともなく、そんな声があちこちから聞こえた気がする。
「麻美、やっぱりおまえとんでもないなー!」
あおさがやってきて笑いながら言い捨てて去って言った。
もちろん、まだまだ終わらなかった。
空中も地上も魔物で溢れていた。
聖獣に交じって町の自衛団も戦っている。
ガイアスさんの姿も見えた。
でも——数が多すぎた。
私とケンちゃんが半月もこの町に滞在してしまったから、よほど色濃く気配を残してしまったんだろう。
何とかしなくちゃ、何とかしたいのに、圧倒的な個体数の多さに焦りばかりが浮かんでくる。
「コンロ強火!コンロ強火!コンロ強火!」
フレアホークには強火すぎたのにワイバーンには効果が薄い。
なんとか一匹落としても、二匹、三匹と来る。
シャドウウルフはあおさとこつぶが食い止めているが、まだまだいる。
「みと!!これじゃ終わらない!!」
「......わかってる。これは器に向かって集まってきているんだ。数に限りがない」
「じゃあどうするの!!」
みとがきっぱりと鋭く言った。
「器が完成するしかない」
めちゃくちゃダサいのになぜか強敵を一人でやっつける実力者




