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70 ドドドドドドドドドッ

その時だった。

みとが耳をピクッとさせて突然立ち上がった。

「......来るぞ」

低く、唸るような声だった。

でもその一言で、部屋の空気が一変した。

そりゃそうだ、聖獣が喋ったのだから。

町長さんなんて、二度見していた。

えっ?そういうことじゃない?


直ぐに反応したのはケンちゃんだった。

走って窓ガラスから外を確認する。


「......空が、黒く染まっています!」


全員が窓に駆け寄った。

地平線の向こうから、黒い影の群れが押し寄せてきていた。

空を埋め尽くすような、巨大な飛行型魔獣の群れ。

翼をはためかせるたびに空気が震え、低い轟音が地面を伝ってくるようだ。

町へと続く街道の奥からも土煙を上げながら魔物の群れが迫ってくるのが見えた。


「町長さん、町の人たちを!!」

私は思わず叫んだ。


ガイアスさんが素早く反応し、走って行った。

「緊急避難の鐘を鳴らし、速やかに誘導を開始!」

町長さんが方々に指示を出し始める。



「麻美、ケン」

みとが振り返る。

「行くぞ」


屋敷の外に飛び出した瞬間、熱を帯びた強風が顔を叩いた。

「まさかワイバーンがあんなに......」

ケンちゃんが誰に言うでもなく呟いた。

空はもう、ワイバーンの翼で埋め尽くされていた。

一匹一匹が馬よりも大きい。

ワイバーンの翼の先端は鋭く光り、急降下と急上昇を繰り返している。急降下するたびに衝撃波が地面を抉る。

まるで何かを探しているような動きだった。


「何あれ!?でかっ!!」


魔獣を目の当たりにしてもリアリティを持てずにいる私は、緊張感のない声を上げる。


「麻美、後ろ!!」

あおさの声と同時に、地面が割れた。

以前、訓練の森にいたテラワームの比じゃない、ザ最終形態みたいな凶悪な様相の、もはやミミズじゃない巨大な魔物が地中から這い出してくる。

表面が岩のように硬く、眼が赤く光っていた。

「うわっ!!地中からも来た!!」

間一髪で横に飛び退いた。


「"チェリク・トプラク(鋼の大地)"」


ケンちゃんが腕を横に払い呪文を唱え、次々と現れるそれを土魔法で閉じ込める。


少し離れた所から悲鳴が聞こえた。

ハッと振り返って見ると、影のように素早く動く狼のような群れが、町の入り口からこちらに向かって殺到しているところだった。

「シャドウウルフか!これはまずい!」

あおさが毛を逆立てる。

更にその後ろから地響きを立てて建物を壊しながらストーンゴーレムが現れた。


「みんな行って!!手分けしよう!!それぞれの得意分野で頑張って!!」


我ながらアバウトな指示だなとは思ったが、作戦タイムがない以上やるしか無い。


私の声に、五体の聖獣が一斉に真の姿を現した。

眩い光が一帯に広がる。

神話から飛び出したような、圧倒的な存在感。

「上はまかせろ。ケン、行くぞ!」

みとが雷を纏って空へ駆け上がる。

それに合わせて、ケンちゃんが「"ルズガルン・カナドゥ・ウチ(風の翼とともに飛べ)"!!」と唱え、一気に上空へ舞い上がった。

「オオカミ野朗はオレたちが相手する!」

風を操って相手を翻弄するあおさと、炎弾を繰り出すとろ豆がシャドウウルフの群れに向かって突進する。

おかめとこつぶは町の人たちを守るように水や土の障壁を展開していった。


私も頑張らなきゃ!!

私の獲物はあのバカでかいストーンゴーレムだ!!

とりあえずアイツの近くまで急いで行かなくちゃ!



「スーパーフライト!!ターボ!!」




麻美だけ、ダサいのよ

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