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68 お暇ならボードゲームでもいかが?

そして翌日。

なんかぐっすり眠れた。

昔は枕が変わったら寝つきが悪く、眠りも浅い感じだったのに、爆睡した。

お屋敷に他にも大人がたくさんいる思ったら緊張感が緩んだのかも。

単に図太くなったからじゃないと思う。たぶん。

いつも犬モンたちに囲まれキュウキュウだったのが、ベッドが広くて快適だったのもある。

とにかくよく眠れてスッキリだ!


朝食をいただいて、書庫の前に行ったらおじさんが待っていた。

おじさんは昨夜は自宅に戻り、また来てくれたのだそうだ。


「おはようございます。今日もよろしくお願いします」


ケンちゃんが挨拶すると、おじさんはとても良い笑顔で、「おはようございます。今日こそ見つけましょう!」と、やる気スイッチ入りまくりだった。


もちろんケンちゃんも朝っぱらからスイッチ入りまくりで、私が起きた時には、ソファテーブルに紙を広げガリガリと何かを書きまくっていた。


これは、私、今日も確実に暇だな。

なんかお家に帰りたいな〜。

朝からやる気ゼロだった。




ーーあれから半月ほど経った。


何と何と、町長さんのお屋敷にこんなに長く滞在するとは思わなかった。

私は時々、日中はガイアスさんにお家まで送ってもらい、家事や畑のお世話などの用事を済ませ、またお屋敷まで送ってもらうという、ワガママをさせてもらっていた。


ガイアスさん、初めて見るわが家のドッグランの広さに珍しく声を上げて驚いていた。

最近、色々な表情を見せてくれる様になって、心を許してくれたみたいで嬉しい。


おじさんはなんと本屋を臨時休業にして、ケンちゃんにつきっきりで作業をしている。

どうやら古文書には原本と写本があるようで、写本は原本を書き写す過程で内容が変わることがあるらしい。

そのため"写本の信頼性"を見極めながら、うんぬんかんぬん.......。

コピー機でスキャンしてPDFにできる時代の人間で良かったと今更ながら思った。


そして数日前から、いくつものピックアップされた古文書の断片的な記述を繋ぎ合わせる作業に入ったとのことだった。

なんでも、一冊に全部書いてあるわけじゃなくて、複数の古文書に断片的に書かれているから、それを繋ぎ合わせて真実に近づくんだって。

無理!!研究者って本当にすごい。



この半月での私の変化と言えば、ズバリ町長さんとの師弟関係の締結だろう。

何のってそれは"オセロゲーム"のだ!!

時々町長さんとお茶をしていたのだけど、その時にたまたま二色の豆菓子を出してもらった事があった。

暇すぎる私はそれを見て閃いてしまった。

白と黒のボタンをたくさん用意してもらい、紙に8×8の枡を描き、即席の盤を作った。

ガイアスさんにルールを説明して、相手をしてもらうつもりが、なんと町長さんが釣れてしまった。


「アサミ様、これは画期的なゲームですぞ!」


そう言った翌日には木製の盤が出来上がっていた。

白と黒のボタンを表裏に貼り合わせた"石"まで用意された。

すごい行動力。職人さん、ご苦労様です!

そして町長さん、職権濫用過ぎませんか!

それからは、時間の許す限りで二人でオセロをした。


「あらあら、町長さん、そこの四マスに迂闊に石を置くとこうなりますよ〜」


そう言って、次々に町長さんの石をひっくり返し、気がつけば町長さんの色の石は二個。

初心者相手に一切の手加減なし、忖度なしだ。


「ぐぬぬぬぬぬ......アサミ師匠は容赦ない」


と唸ったあの町長さんの声は忘れられそうにない。

アレで完全に町長さんのスイッチが入った。

やり過ぎちゃった!


私の姿を見かけると、


「アサミ師匠、一局お相手を!」


と来るので、お相手をすると"もう一局!もう一局!"と絶対最低5ゲームはやる事になる。

こうなってくると、何もしてなくても白と黒の点が目の裏に浮かんでくる始末。



ケンちゃん!早く!

お願いだから早く古文書の解読終わらせて!



完全に自業自得だよね?

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