65 脇が甘い!!
しばらくはケンちゃんの様子を眺めていた。
ちょっと飽きてきたので、ぶらぶらとその辺を歩いてみた。
ふと目についた赤い背表紙の本を棚から取って開いてみる。
ふーん、そっか。
スッと棚に戻した。
なんて事はない、全く読めなかった。
え?なんで?少しは読めるようになったと自負していたのに。
そうか!たまたまこの棚がダメなんだな、と勝手に決めつけ別の棚に移動する。
隣の棚にあった、紐でクルッと結ばれた巻き物をそっと広げてみると、それは地図だった。
この国の地図なのだろうか。
全体的に山が多く、山あいに町が点在しているが、中心にはかなり大きい町......というより都市に近いような。
ここがケンちゃんがいた王城がある都市部なのかもしれない。
この町は、どこになるんだろう。
"まぁどこでも良いか"と思ったが、なんとなく左下にある一際高い山に囲まれた町のような気がしてきた。
「おや、この国の地図ですね。この町はここですよ」
ヒョイっと顔を出したガイアスさんが、まさにその町を指差した。
ビンゴでした!!
「この町はずいぶんと山に囲まれているんですね」
「ええ。山越えの道は限られていて、都市部との行き来もそう頻繁ではありません。ですので町の外の情報がなかなか入って来にくいのが現状です。もちろん、その逆もですが」
なるほど......。
それを聞いて、初めて町に行った時の聖獣騒ぎも、ほとんど外には伝わっていないのかもしれないなと思った。
結構時間が経った気がするのでケンちゃんのところに戻ってみると、何やらおじさんと白熱トークをしているところだった。
声掛けるのも躊躇われたので、椅子にちょこんと座って二人のやり取りをぼんやり眺めていた――
コクリコクリ......カクンッ
スッと変身が解けた。
急に質量の増した椅子がギシッと鳴った。
おじさんが何気なく顔を上げた瞬間、そこには見知らぬ女性が椅子で寝ていた。
「......え?」
そう声が出たきり、おじさんはそのまま固まった。
次にポシェットがもぞもぞしたかと思うと。
ぼふんっ、ぼふんっ、ぼふんっ......
五体の聖獣がその場に現れた。
「!?!?」
声が出ない、当然だ。
そしてケンちゃんを見ると、さっきまでそこにいた青年が少年になっていた。
しかし、古文書に夢中で自分の変化に全く気がついていなかった。
「!?!?!?」
もはやパニック寸前だった。
おじさんが助けを求めるようにガイアスさんを見た。
ガイアスさんは静かに額に手を当てて、小さく息を吐いた。
「仰りたいことは分かります。どこから説明したらいいか」
全てを察したみとに、パコンと頭を叩かれ起こされた。
読めなかったのは麻美の学習不足だね




