63 コスプレじゃありません
翌日、ガイアスさんとの待ち合わせ場所に着くと、既に馬車が止まっていた。
ガイアスさんが馬車から降りてきて、私たちを見た瞬間。
「......え」
これは、初めて見る素の顔だ。
いつもに落ち着いた表情のガイアスさんが、完全に固まっている。
「あ、えっと、実は私たちいつもこの姿で町に行ってるんです」
「サンコン様......ですよね?」
「はい。最初に町に行った時に、聖獣たちがいて騒ぎになってしまったので。それ以来、変身して行くようにしていて」
ガイアスさんはしばらく私と、隣のイケメン青年を交互に見ていた。
「......ケン様も」
「はい。僕もいつもこの姿でお邪魔しておりました」
「......そうでしたか。すごい魔法ですね」
ガイアスさんは一度だけ深呼吸をして、いつもの落ち着いた表情を取り戻した。
ポシェットの中から、みとがぼそっと言った。
「驚いたか?」
「......少々」
一瞬ビクッとしたガイアスさんを見て、犬モンたちが一斉にくすくすと笑った。
「では参りましょうか」
ガイアスさんは何事もなかったように馬車の扉を開けてくれた。
さすがです。
馬車を降りて、案内されたのはいつも行く本屋だった。
「......あれ」
「......あれ」
私とケンちゃんの声が揃った。
お店の扉を開けると、おじさんがいつものように本棚の整理をしていた。
こちらを見て、一瞬だけ目を細めた。
「......やっぱりケン君か」
おじさんはケンちゃんを見て、静かに笑った。
「古代語が読めて、古い文献を探してる。ガイアスさんが連れてくるのは、きっとケン君だろうと思ってたよ」
ケンちゃんが少し照れたように頷く。
「お世話になっております」
私もケンちゃんの後ろから顔を出して元気よく言った。
「いつもお兄ちゃんがお世話になってます!おじさん、わたしもいるよ!」
おじさんは「はいはい、いらっしゃい!」と笑った。
「それで、どんな文献を探してるんだ?」
おじさんが改まった顔になる。
ケンちゃんが「はい、実は」と口を開いた。
「以前読んだ事のある古文書に、"器"といわれる存在について書かれたものがあったんです。古代語で書かれたものなのですが。そこには、魔物との関係も書かれているような記憶がありまして。最近魔物が増えた事と何か関係があるのでは無いかと気になりまして。もう一度読みたくて探しているんです」
おじさんは腕を組んで考え込んだ。
「ふむ......器か......確かに聞いたことがあるが、それについて書かれた古文書はここにはないな。ただ」
「ただ?」
「可能性があるとしたら、町長のところかもしれない。あの方のところには、代々受け継がれてきた古い記録がいくつもある。俺も全部は見たことがないが、そういったものが書庫の奥にあってもおかしくない」
それを聞いてケンちゃんはガイアスさんを振り返る。
「町長さんにお会いすることはできますか?」
ガイアスさんが静かに頷く。
「......町長に、話を通してみましょう」
アラフィフが6歳児とかどんな魔法?




