20 落第建築士
食器の片付けをしながら、
あ、そういえば......と思う。
ケンちゃんのお部屋問題だ。
十歳と言ったら、ある程度プライベートもあった方がいいかもしれない。
十歳の息子も「そろそろ自分の部屋が欲しい」と常々言っていたのを思い出した。
......リフォームしなきゃな。
今ある私のベッドスペースの奥に、
可動式の間仕切りで仕切れる小部屋を作って、
そこをケンちゃんのお部屋にしようかな。
でも、リフォームなんてしたことないから、
呪文が全然浮かんでこない。
お部屋のイメージはあるのに。
困ったな。
「ケンちゃん、ここにケンちゃんのお部屋を作ろうと思うんだけどさーー」
そう言いかけたところで、ケンちゃんがサッと顔を青ざめたのがわかった。
「僕の......ですか......?
その......僕の存在がご不快であったとか......、もしかして、なにかしてしまいましたか。
あるいは......危険だと判断されたというのでしたら......隔離も......」
隔離!?思いもよらないワードにびっくりする。
「違うよ!?
ひとりでリラックスできるように......と思ったけど......
いや、うん......一緒でいいよね!
私もひとりじゃ寂しいし、
一緒にいてくれた方が安心だし......
じゃあ、ベッドだけ用意しようか!
一緒に寝るにはさすがにちょっと小さいから。」
慌てた私は、ちょっとテンパった。
うーん、うーん、と呪文を悩んで、ようやく捻り出したのは――
「新生活応援セット、おかわり!」
だった。
もちろん、空気をよんでちゃんとおかわりしてくれた。助かった。
......ちょっと迂闊なことをいってしまった。
あの子はずっとひとりで隔離されて育ったんだ。
ベッドを並べて、今夜は手を繋いで寝よう。
私、もっとしっかりしなきゃ。
そう決意する夜だった。
麻美、お手!おかわり!




