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140字の戯言  作者: 歩
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19/20

181~190

181 終幕


久しぶり。

三カ月ぶりかな。

昼下がりのバルで遅めの食事をしていた。

彼女は来てくれると思わなかったと笑い、俺は暇だったからねと返す。


ご主人は?

先月別れたの、あなたは?

うちは相変わらずさ。


ねえ、もう一度やり直せないかな。


彼女の懇願に首を横に振る。

疑似恋愛に幕を下ろすために来たのだから。





182 成長していない


なぜ正しい方を選ばず、いつも間違いばかり選ぶのだ。

正しい選択をしないと未来の自分が困るんだよ。

メチャクチャ怒られたから、ゴメンと謝る俺。

そこで目が覚めた。

怒っていたのは未来の自分だった。

正解を教えず怒るだけの未来の自分へ。

結局は未来の自分も、答えを出せてないから怒りに来たんだろ?





183 留年回避のために


夏の課題は終わったの?

まだだよ。

去年も結局課題をしなかったでしょ!

今年も先送りしようかなと思ってる。

ダメダメ、来年もまた同じことを言うつもりでしょ!


課題は下界で三人以上に地獄を味わわせること。

できなきゃ初等部に留年で来年中等部に進めないんだ。

大変なんだ、悪魔の世界も課題が多くて。





184 君のち、雨


夏期講習の間、君とはいっぱい同じ時間を共有できた。

彼女もいないって言うし、楽しい時間が続くと思ってた。


俺、引越すから二学期から別の学校へ行くんだ。

え?

親が転勤なんだよ。


私、告白しようと思ってた。


でも、


そっかあ、仕方がないね。

としか言えなかった。


君がくれた夏は、君が雨に変えていく。



※168 「憂鬱のち、君」からの続き





185 なぜ嫌われる?


墓地へと続く跨線橋。

深夜の回送列車で差し掛かると、若い女性が飛び降りてくる。

中にはドンという大きな衝撃音を感じた運転士もいる。

蒸し暑い夏の深夜、僕の目の前に女性が落ちてきた。

僕と目が合うとその女性は、

「お前か」

そう言うと消え去った。

僕以外の運転士は今でもその女性と遭遇すると言う。





186 移ろい


ベランダで育てていた朝顔が、今朝は一つも咲かなかった。

二人で大きな一輪を見たのは猛暑の前。

ぬるくなった風に当たり、季節の移ろいを感じる。

咲いていない朝顔を見ながら、今朝も一人熱いコーヒーを飲む。

暖かさをお互いに欲した季節も過ぎ去った。

新たな季節を求め、まだ暑い夏の先へ歩み始める。





187 時の隙間


お店も病院も予約が必要で、常に時間に追われている気がする。

予定に合わせた生活はまるで時間割。

私は予定なしという時の隙間が好き。

隙間は無駄ではなく、風の通り道。

誰にも邪魔されず自由な発想に浸れる、有意義で独占できる時間。

たまにはスマホで隙間を埋めず、新たなやさしい風をなびかせたい。





188 新学期


新学期の席替え。

神様のいたずら?

あか抜けた君が隣の席になった。

一学期に告白できなかった私の心臓は、すでにキャパオーバーで大爆発寸前。

「よろしく」と微笑む君。

パニックの私は、「オス!」となぜか意味不明な言葉を返してしまった。

口元へ出かかっていた「好き」の二文字を吞み込んだからなの。





189 雨のち曇り、ときどき君


君がいない二学期。

連絡先も知らなくて、プツリと切れちゃった。

私はずっと雨で、重度の夏バテも引きずり学校へ通う。


「渡しといてくれって」

始業式に受け取ったのは君からの手紙。


短い間だったけど楽しかったよ。

文末には君のアドレスも。

涙が溢れそうだよ。


君が私の雨を、優しい曇りに変えてくれた。


※184 「君のち、雨」の続き





# 190 無料版ヒーロー


お前の命もこれまでだ!

悪の組織に追い詰められた。

その時ヒーローが颯爽と現れた。

待たせたな!

私は歓喜したが、彼はスマホを取り出し画面をタップし始めた。

何をしてるんですか?

私は無料版だから、変身の前に広告が流れるんだ。

え?

広告はスキップできない、君が課金してくれたらすぐ変身できるよ。




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