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3/37

精霊たち

「み、密偵って? 諜報員って? 

コレー、何のこと?」


ちょっと待ってよ。


よくわからないんだけど。


「あのさ、これ、女子たちに配るんだよ。

アクセサリーなの。精霊を二名ずつ乗せるったって

乗せたまんま配ってしまっていいの?」


コレーは僕の顔を見ている。


「それに、必ずひとつは

自由研究で提出するんだから

ちょっとマトモっぽくするんだからね。

女子たちは

これを胸とかバッグとかに付けるんだよ。

そうしたら、諜報員になっちゃうの? 

女子たちが?」


「女子って、ボクんとこでは諜報員だよ。

キミんとこ違うの?」


コレーはキョトンとしている。


そんなこと言われてもなあ。


女子に迷惑じゃない?


でも、言われてみれば

女子ってみんな諜報員みたいだよな。


何かあると詮索するし。


尾行するし。


情報蒐集に長けてるし。


そうか。


元々、諜報員なんだから、いっか。


……いや、いいのか?


ま、そこはあとで考えるとして。


「ところで、精霊ってどこにいるの? 

学年女子みんなに二名ずつ付けられるくらい

そんなにたくさんいるの?」


不公平にならないようにしとかないとね。


女子はそういうの、ウルサイから。


「いまだから言うけどね。

精霊たち、密偵として前から来てるはずだよ」


コレーは質問に答える代わりに

また不可解な新事実を告げた。


「ええええええーーーっ!」


どこに?


どこに?


「来てるよ。馴染みの奴らもいるから

あとで紹介する。

それに、ボクが来たことで

キミんちのこの部屋が

ターミナルになったわけだから

これからはもっとたくさん出入りすることになるよ」


「ターミナル?」


「数には困らないさ。どんどん動員していけばいい」


そう、あっさり言ってのけるんだけど。


なんだなんだ?


ここがターミナルだって?


どんどん来るだって?


うち、大丈夫なのか?


そういえば

「マンションの五階、六階は霊の通り道」って

聞いたことがある。


ちょっとそれ、怖い話じゃないだろうね?


「ここって、前からメインストリートだったんだよ。

知らなかった?」


コレー、楽しそうに言ってくれるじゃないか。


前からって、君、さっき初めてうちに来たんじゃん。


いつからの話だよ。


あ。


そうだ。


忘れてた。


もっと大事な問題があったんだ。


「とにかくさ、今いちばん困ってることなんだけど

さっきママが呼んでたから

晩ご飯に降りていかなくちゃいけないんだ。

どうするべきだと思う?」


考えてくれよ、コレー。


「晩ご飯、ボクのもあるかな?」


嬉しそうなんだけど。


考えてよ。


「これから毎日ご飯を食べさせてもらうためには

どうすればいいと思う? 

コレー、何かいいアイデアない?」


僕は念入りに尋ねた。


「そんなの朝飯前だよ。あ、今は晩飯前か。

これって駄洒落かなあ」


自分で言うな。


「うん。そうだな。キミんちの家族にしてもらう」


なに食わぬ顔だ。


「すっごく簡単に言うね。どうやって?」


「ま、見てて」


コレーは洋服ダンスの中を探り始めた。


「な、何するんだい?」


「キミの服を着て、下に降りていくよ」


「えーっ! 僕のふりするの? 

じゃあ、僕の晩ご飯を君が取っちゃうの?」


解決法になってないじゃないか。


「大丈夫。二倍体作戦だ」


「二倍体?」


「同じことを毎日二回できるようにしておくんだ。

心配ないよ。ボク、先に下に行ってくるから

まあ待ってて」


そう言うとコレーは

ためらいもなく階下へ降りていった。


ちょっと。


待って。


本当に行っちゃったよ。


僕は階段の上から、そーっと様子をうかがった。


時々、話し声や笑い声が聞こえる。


それだけ。


騒ぎにもならない。


まるで自分だけが家族から取り残されたような

妙な気分になった。


しばらくすると、コレーが上がってきた。


「あー、美味しかった。

お先にごちそうさまでしたよ」


「ええっ!」


「キミんちのパパとママって

ボクのパパとママにそっくりだね。

ふたりとも全然違和感なかったよ。

早くキミも降りて食べてきて」


「だって君、今食べてきたじゃない。

僕の分、もうないじゃん!」


「大丈夫だって」


「それに、僕が二度もご飯食べに降りたら

絶対おかしいじゃないか」


「だから、二倍体作戦なんだよ。

とにかく降りてみてごらん。そしたらわかるから」


わかるからって。


何が?


恐る恐る階下へ降りていくと

パパがリビングでテレビを見ながら

お酒を飲んでいた。


「お、お帰りなさい」


ビビりながら声をかけた。


パパが振り向いた。


「おっ、ただいま。宿題片づいたか? 

頑張っとるな。先に食べたぞ」


普通だ。


普通すぎる。


「あ、いや、うん。自由研究をね

好きな美術でやることにしたから。

他にも友達の頼まれモノがあって

納得いくまでやりたいんだ」


キッチンからママの声がした。


「ご飯、早くおあがんなさい」


「あ、うん」


ふたりとも、今初めて僕を見たみたいだ。


さっきコレーが降りてきたことを

憶えてないのかな?


「あの、さ。今、誰か来てなかった?」


ふたりとも怪訝な顔をした。


「別に誰も来なかったわよ。テレビの音じゃない?」


ママが言った。


「イユル、おまえ大丈夫か? 

熱でもあるんじゃないのか?」


パパまで言う。


なんの疑いも持たれていないらしい。


不思議だな。


コレーの魔法の一種かな?


とにかく、魔法が解けてしまわないうちに食べて

さっさと上がろう。


僕はまだ状況が理解できず

不審に思いながらも、大好物の唐揚げと

ポテトサラダの山盛りをパクついた。


うまい。


やっぱり唐揚げはうまい。


こういうときでも、お腹はちゃんと空くんだな。


*


食事を済ませて部屋へ戻ると

コレーがしたり顔で言った。


「どうだった? 唐揚げ美味しかったね」


「うん。大好物なんだ。

それより、何をどうやったの?」


「二倍体作戦だよ」


「それは聞いた」


「こっちの次元で説明するのは難しいなあ。

対象者を限定して、まったく同じことを二回しても

気づかれないようにするんだ」


「へえ」


「急場しのぎには便利なんだけどね。

後処理が必要なんだ」


「後処理?」


「同じことを二回すると

あとで『ひずみ』ができる。

だから、何か別のことを半分に減らして

帳尻を合わせなきゃならない」


「ふーん」


なんかよくわからない。


君にお任せしたい、って顔をしたら

コレーに読まれたらしい。


「大事なことなんだ。ちゃんと考えて。

半分に減らしてもいいものって、何かある?」


「そんなのいっぱいあるよ。まずは宿題だなあ」


「それは無理」


即答だった。


「半分にしても誰も困らないようなものじゃないと

いけないんだ。

宿題はやっとかないと、キミ自身が困ることになる」


うーん。


そんな理屈と突き合わせるなら

どこを探したって見つからないな。


半分に減らしていいものなんて。


「じゃあさ、僕らふたりを半分にして

半分ずつくっつけるなんていうのは?」


もうヤケクソで、無茶なことを言ってみた。


ところが。


「複合体形成か」


コレーが真顔になった。


え?


できるの?


「半分に減らしちゃうわけにはいかないけど

急場しのぎにはその手もあるんだよな」


あるんだ。


「キミとボクの間には

共同研究っていう『契約』ができてるから

複合体形成も使えなくはない」


契約?


いつしたっけ?


「それなら二倍体作戦は要らなくなる。

でもね、複合体形成だって

頻繁にメンテナンスが必要だったりするから

けっこう大変なんだ」


「そうなの?」


「あんまり長期間、同体化しっぱなしだと

単体に戻れなくなることもある」


「えっ」


「霊体ふたり分が入ってる方と

入ってない方とが遠く離れ離れになったりしたら

本当に大変なことになるし……」


コレーは何か言いかけた。


「実はね……」


そこで口を噤んだ。


しばらく黙っている。


何?


実は、何?


「……ま、いっか」


よくない気がするんだけど。


「ここなら誰も勝手なことはできないし。

そうだな。最初っからやっときゃよかったのかも」


コレーは、もう決めてしまったようだ。


「二倍体作戦は使うたびに帳尻合わせが必要だから

複合体形成でいこう」


「う、うん」


「ただし、さっきの分の帳尻合わせは別だよ。

早いとこ何か考えておいてね」


「まだ残ってるの?」


「もちろん。あんまり放っとくと

あとでどデカい『ひずみ返し』が来るから」


何だよ。


どデカいって。


怖いじゃないか。


コレーはそう言うと

何かを探しに洋服ダンスの中へ入っていった。


「何してるの?」


僕も覗いてみた。


あれ?


コレーがいない。


代わりに、さっき着ていた服が床に落ちている。


「うわっ!」


洋服ダンス研究所の入り口近くに

いつの間にか

大きな人形ケースのような装置が現れていた。


SF映画の宇宙船にある冬眠カプセルみたいなのが

いくつも並んでいる。


どこから持ってきたんだよ、こんなもの。


その中に、素っ裸のコレーがいた。


半透明になっている。


しかも。


二体に分かれてる!


コレー、大丈夫なの?


どこもかしこも僕そっくりな

半透明のクラゲ人間が二体。


さっきから何分も経っていない。


プシューッ。


エアが抜けるような音がして、カプセルの蓋が開いた。


二体のコレーが出てきた。


「複合体形成装置だよ」


片方のコレーが説明する。


「ふたりの半体ずつを合成して、二体を作る。

そのうち一体に、ふたり分の霊体が入るんだ」


「ふ、ふたり分?」


「キミの半分も作るんだよ。

ほら、早くしないとくっつかない。服を脱いで」


「ええっ、今?」


半透明なコレーの片割れが、僕の腕を引っ張った。


そのまま装置に押し込まれる。


ちょっと待って。


心の準備が。


……なんて言っているうちに

僕も半透明な二分割の僕になっていた。


コレーも僕も、それぞれの半体を装置に残し、もう一方の半体同士が別の装置に入る。


何分?


いや、何秒も経っていないと思う。


何か変わったのか?


何も感じない。


プシューッ。


またエアの抜ける音がした。


目の前の蓋が開いた。


立ち上がる。


変な感覚だ。


向こうに残っているのが、抜け殻?


霊体っていうか、精神っていうか。


僕の心は、こっちにある。


出来上がった複合体は、見た目も、触った感触も

何も変わっていない。


そう思った途端だった。


頭の中で声がした。


同時に、痛みとも快感ともつかないものが

一度に押し寄せてきた。


立っていられないくらいだ。


思わず目を閉じる。


すると、その感覚はすーっと引いていった。


『この感触、どうだい? 

初めての複合体の感想は?』


『あ、頭の中で声がする? 

どどど、僕? え、コレー?』


『そうだよ。ボクだ』


コレーの言葉だと言われても

自分が考えていることのように感じる。


そうかと思えば、頭の中の思いが

どれもこれも他人事っぽい。


自分とコレーのどちらが考えているのか

掴めないのだ。


他人事が他人事でなくなるくらいの感情移入が

押し寄せたかと思えば

元々それは自分の感情だったと気づく。


全部が押し寄せて、全部がザーッと引いていく。


波打ち際に立っているみたいに、グラグラする。


コレーの頭と僕の頭が、繋がっていくのか?


何か重いものが伝わってくる。


コレーの窮状?


責務?


僕の知らない事情?


それが少しずつ浸透してきそうになる。


けれど、コレーが

それを抑えようとしているのも感じる。


僕の方からも、何か伝わっていってるんだろうな。


軽っちいの。


スカスカなの。


丸わかりだろうな。


僕にはセーブできないや。


恥ずかしい。


でも、仕方ない。


『ねえ、この体、僕だよね。君もいる』


『そうだよ。キミだし、ボクだよ』


声にしても、考えだけにしても

全部コレーと僕とが融合している。


会話しているんじゃない。


これって、オカルトで言えば憑依みたいなもの?


精神分析で言えば、多重人格かな?


『なんか僕、大変なことを

背負っちゃったみたいだな』


『大丈夫。キミとボク、一緒なら解決できるさ』


ひとりで考えていると思った端から

こんなふうにフォローが入る。


まるで独り言のような会話。


音声なんか必要ない。


だからといって

完全に痒いところに手が届く感じでもない。


独り言の途中でも、コレーが被ってくる。


考え事をしていても、被ってくる。


同じ体で、同じ頭を共有するって

こういうことなんだね。


もしかすると、双子ってこんな感じなの?


双子は体が別々だけど

同時に同じことを喋ったりするじゃない。


別々の体でも、頭の中が繋がってるってこと?


逆に言えば、今の僕たちみたいに

ひとつの体に複数の魂が共存できるってことは

脳内でいくつかの霊体が同時にせめぎ合っていても

おかしくないだろ?


守護霊って、本人の中に

いっぱい存在してるっていうよね?


もしかしたら、オギャーと生まれてから

ものごころがつくまでの間

誰でもみんなこんな状態なのかもしれない。


その後も、たくさんの守護霊が

脳内で譲り合っていたりして。


譲り合いばかりじゃない。


喧嘩したり、牽制し合ったり。


凄いせめぎ合いだよな。


どうやって統括してるんだろう?


生まれたばかりのときこそ多重人格で

それから霊がひとつに統括されて

自分は一個人だと認識する。


その方が、本当は大変な作業なのかもしれない。


それも宇宙にお任せなのかな?


脳って不思議だね。


……あれ?


今考えてたのって、僕の考え?


コレーの考え?


コレーの影響?


君は初めてじゃないの?


他にも別次元の僕と繋がったことがあるの?


ねえ、コレー。


今、笑った?


僕、突っ走ってる?


君についていこうと焦ってるんじゃないよ。


自然に思い浮かんだんだ。


いつもなら、こんな考えが浮かんだら

友達に聞いてもらったり、書き留めたりする。


だけど、今はそんな必要も感じない。


話したって、きっと理解されない。


誰に説明する必要もない。


元に戻れるかどうかの心配?


不思議と、それもあまり感じない。


これはこれで、僕のあり方のような気がするのだ。


事の重大さを

自覚できていないだけかもしれないけど。


今は純粋に、魂の目的に従って

ミッションを遂行するのみだ。


とにかく、一刻も早く3号ミニチュアを仕上げよう。


話はそれからだ。


*


僕とコレーは同体化して

体の方はすんなり馴染んだ。


紛れもなく同一物質、って感じ。


生まれた次元が違っても

こんなに同じものなのかと素直に驚く。


頭の中身には格段の差があるんだけどね。


僕が質問を思い描くより早く

コレーの答えが横滑りに入ってくる。


何をするにも話が早い。


複合体って便利かも。


今は時間が惜しい。


尋ねる暇もなく答えがもらえるのは、好都合なのだ。


僕たちは複合体として

黙々とミニチュア制作を進めた。


別々の体で分業するより、早かったかもしれない。


それに、同体化する前にはわからなかったことも

いつの間にか理解できていた。


「密偵」と「諜報員」。


あのキーワードについてもだ。


精霊すなわち密偵というのは

其処此処にいた「奴ら」のことだった。


コレーから教わったところによると

彼らは「全宇宙情報管理局」から来ている。


ずいぶん前から

あちこちの次元で情報を集めているんだって。


そんな役割を担っているなんて、知らなかったよ。


しかも彼らは

次元と次元の間を行き来する先駆者なのだそうだ。


どの次元でも

超越した存在として尊ばれているらしい。


僕らの無知なことといったら。


本当に申し訳ない。


この次元の人類を代表して、ご無礼をお詫びするよ。


それでさ。


「全宇宙情報管理局」へ情報を持ち帰る方法が

これまた凄い。


凄すぎる。


人類には到底真似できない。


知ってた?


情報を持ち帰るために、肉体を手放してるんだって。


彼らは任務を遂行し、集めた情報を持ち帰るために

身軽な霊体へ戻る必要がある。


そのために、わざと人間の前に姿を現すこともあるのだそうだ。


つまり。


進んで殺生される。


……ええっ?


そうだったの?


逃げ惑ってる奴?


もしかしたら

まだ情報蒐集の最中なのかもしれないね。


目の前に現れたら、確認すべきなのかな?


「お仕事中ですか?」


って。


ちなみに、彼らが着ている着ぐるみみたいなものは

高機能スーツなのだそうだ。


この次元特有のバージョンで

種族や行き先によって形も機能も違うらしい。


彼らって、そんな使命を担った凄い種族だったんだ。


地球上に、この次元に

他にもそんな種族がいるのかな?


別次元まで

自由に行ったり来たりしているような種族がだよ。


一説によると、異次元間の往来そのものを

彼らが先導し、示唆してきたんだって。


凄いだろ?


全部コレーの受け売りだけどさ。


さて。


その精霊たちを

僕らが作ったミニチュアに動員することになった。


一機につき二名。


機長と副操縦士が一名ずつ。


お行儀よく操縦席に着席して

女子たちのところへ配属される予定だ。


その使命を全うするためにね。


そこのところが、ものすごく心配なんだけど。


だってさ。


機長は、人類有史以来の嫌われ者。


副操縦士も、負けず劣らずの嫌われ者なんだよ。


相性の悪い者同士に見えるけど

そこが今まで

カムフラージュできていた所以なのかもしれない。


あ。


いたいた。


一名。


よろしくね。


昔から「一匹見かけたら、その三十倍はいる」って

言われてる奴。


そう。


彼が機長。


で、あっちの壁で知らんふりしてる

そのくせ複眼でこっちを見てる

毛羽立った長い脚がたくさんある彼。


副操縦士ね。


「はい、どうぞお入りくださいな」


コレーが招集をかけていたらしく

精霊たちが続々と集まってきた。


ゾロゾロ。


ぞろぞろ。


次から次へと。


……いやあ。


凄い光景だな。


『みんなゾロゾロやってきた。

もう話がついてるみたいだね』


『うん。つけておいた』


『あ、そうなんだ。ありがとう。仕事が早いね』


『どういたしまして』


『女子の大半は、これ見て卒倒するだろうな』


『そうかい?』


『女子もいろいろだから

大半がダメでも、半数の半分の

そのまた半数……少なくとも一割くらいは

たぶん、きっと、許容してくれるよ』


『一割か』


『彼らの本来の使命を女子にも伝えれば

きっとわかってもらえると思う』


『そうだな。念には念を入れ、だ』


『え? 何? そんなこともあろうかと思って

だって? 今、聞こえた気がしたけど』


『うん。手回しいいだろ』


『他のタイプの奴らにも声かけしてるんだって?』


『ああ。別の種族もたくさん動員しといた』


『それは助かるよ! 

自由研究提出用のにだけは

精霊っぽくてファンタジックな奴らに

頼みたいと思ってたんだ』


『うん。スカウトしてきた』


『だったら、儚げな透き通る薄羽の

口数少ない綺麗なあの子と

メタリックジャケットのあいつが

乗り込んでくれると嬉しいんだけど』


『うん。来るってさ。彼ら、適任だね。

一応、美術作品だもんね』


『間に合う?』


『大丈夫。意欲的だし』


『面白いことになりそうだ』


『なるよ。楽しみだ』


『そうだね』


『おつかれさま』


『バタンキューだ』


『おやすみ』


『おやすみ……』




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