トーシローの睡眠作戦・宇宙大戦争篇 第二幕
第二幕 宇宙の命運を懸けた枕投げ
トーシローから、朝早くチャットが来た。
『勝った』
……。
『何に?』
『宇宙戦争』
……。
『もう終わったの?』
『第一回決戦はね』
『第一回?』
『敵の総司令官と一騎打ちした』
『お前と?』
『そう』
『敵もお前じゃなかった?』
『だから、僕と僕が戦ったんだよ』
……。
ややこしいなあ。
『どうやって勝ったの?』
『枕投げで』
……。
『トーシロー』
『何?』
『それ、宇宙大戦争じゃなくて修学旅行じゃない?』
すぐに電話がかかってきた。
「違う‼️ 宇宙の命運を懸けた戦いだ‼️」
「……ごめん」
「宇宙空間で枕を投げるのが、どれだけ難しいと思ってるんだ!」
「……知らない」
「無重力だから、投げた僕も後ろへ飛んでいくんだぞ!」
「じゃあ、どうしたの?」
「反対側から、もうひとつ投げた」
「おお!」
「そしたら元の位置に戻った」
「……すごいじゃないか!」
「だろ?」
トーシローは、たいそう満足そうだった。
「それで、敵の総司令官は?」
「顔面に枕が直撃した」
「勝ったんだ!」
「いや、そこからが大変だった」
「え?」
「敵も枕を投げ返してきたんだ」
「……お前と同じこと考えるもんな」
「そうなんだよ!」
「それで?」
「僕の顔面に当たった」
「……」
「お互いに気絶した」
……。
「それで、どうして勝ったことになったの?」
「僕が先に目を覚ましたから」
……。
……。
「トーシロー」
「何?」
「それ、夢の中だよね?」
「もちろん」
「目を覚ましたって?」
「夢の中で」
「じゃあ、現実では?」
「まだ寝てた」
……。
宇宙大戦争。
どうやら、勝敗は睡眠時間で決まるらしい。




