第13話 03 あらっ
シルフィーネとレオンはまだ平和な地域をゆっくりと旅するように続けていた
「ここから先は、戦闘が激しい地域だな・・・」
シルフィーネはそこからの景色を一望する
「あら!!そうしたら、そこはもう力使っちゃっていいのよね。」
ニカッとした笑顔を見せレオンを見る
レオンはそんなシルフィーネの肩に手を乗せ
「じゃあ二~三日はこの街で様子を見るか。」
「え~!!意地悪!!」
おもちゃを取り上げられた子供のように抗議した。
「まったく・・・もう・・・」
街の砦の外を散歩していたシルフィーネがぼやきながら歩を進める
「今この時でも戦争してるところがあるっていうのに・・・!」
ぼやきは続いている
「おい・・・あれ・・・」
ふてくされて歩いているシルフィーネを遠目で見ている二人の姿があった
「なんでこんなところにいるんだ・・・」
訝しげに彼女を見ていたのは、ジェイクともう一人、肩まであるストレートの黒髪の長身の男
「タナトスさん、あの赤いのが『世界の中心』だ!」
ジェイクは忌々しそうに説明する。
タナトスと呼ばれた男はまじまじとシルフィーネを見つめ、短い時間黙り込むと
「ありゃバケモンだな・・・。」
とジェイクに言う
「タナトスさんでもそうなのか?」
「ああ、そうだな。正攻法であれに勝てる気がしねぇ。」
ここまで差があると、悔しいという気持ちも起こらない。とタナトスは言う
「一度、皆の所に戻ろう」
タナトスがそう言うと、おもむろに地面に右手を翳す。すると青白い光を帯びた魔方陣が現れる
「じゃぁ、行くぞ」
そう言うと二人の姿が透け始め、その場から消えた。
ぶつぶつと愚痴を言っていたシルフィーネが口を閉ざし、先ほどまでジェイク達がいた方向に視線を投げる
「行ったみたいね。」
ポソリと言葉を出す。
近くに二人に気配がない事を確認すると大きくため息をつく
「人を化け物呼ばわりしちゃって!!」
少々感情のこもった声でシルフィーネが独り言を始める
「喧嘩でも売られちゃったらレオンに怒られちゃうわ。」
まぁ・・・とは言っても、いきなり戦闘になっても良いように街の外にいたのだが・・・
愚痴が再開する
「まったく、そうなったとしても私が悪いわけじゃないのに!!」
「その時は、俺が蹴散らすよ。」
背後からよく知った声が聞こえる
「あら、」
わざとらしく何かに気付いたような感嘆符を上げると
「レオン。そんなところにいたの?」
更にわざとらしい口調でレオンに言葉をかける
「知ってたくせに。」
素っ気ない返事を返すとシルフィーネは「ふふふっ」と楽しそうに笑った。
「そうか・・・そこにいたんだな・・・」
ウェインは上の空でそう答えた
その返答の仕方に違和感を感じたミガルが
「知っていたんですね。」
と確認する。
「まぁな・・・」
ギムが言うにはレオンとセレン・・・そして・・・シガ・・・
一網打尽にできる力がここにあるという
力の内容についてギムは「解からない。」との事だった
”一体どんな力というのか・・・”
「君にはレオンの相手をしてもらいたい。」
ただそれだけを伝えられた。
次期や場所、方法などは知らされていない
ただ、一言・・・
「混沌なる力が眠る場所だよ・・・」
そう言っていた。
前回のレオンとの一撃の手合わせを思い返す
敵う相手ではないのでは・・・とも思えるが、
「そう焦らなくてもねぇ・・・」
とギムは言う
「君も知っていると思うが・・・力を込めた一撃は破壊力があるが、行動は読まれやすい」
だからいなされたのだと・・・
ウェインもそれは知らないわけではないのだが・・・
「できるかな・・・俺に・・・」
ウェインは思い返していた・・・納得のいかない現実
ヨルドと共に戦ったレオン・・・あの時のレオン・・・
その差が埋まらない・・・
広き大地を目前にウェインは天を見上げた。
足音が近づいてくる
「あらっ、」
シルフィーネの声が聞こえた
「ここの歪みが酷いわね・・・」
レオンと共に広い平原を歩きそう判断する
戦火との境目ともいえるロルウェン最果ての街ジャッカの外れにあるこの平原にて
異常な歪みを見せる
「ちょっと気合い入れて浄化しなくちゃね・・・」
シルフィーネが両手を目前に組み両膝を地面につけ祈りを始めようとする
「それはよしてほしいな。」
その言葉と共に異常な重みを体に感じる
「きゃん!」
シルフィーネに体が平伏すように地面に押し付けられる
「気付かなかったのかい?」
レオンが飄々と地面に押されるシルフィーネに声をかける
「仕方ないでしょ!浄化に集中してんのよ!!」
思わず大声で抗議する
「仕方ないねぇ・・・」
呆れてそう言うと、
「解除」
そう言うとシルフィーネが一瞬浮き上がると
「にゃふっ!」
情けない声を出し地面に落ちる、両手を組んでいたために受け身はとれなかった。
「簡単に解除してしまうんだな・・・」
乾いた言葉が二人に投げかけられる
「あらっ、この人・・・」
地面に平伏したような恰好で顔だけもたげ声の主を見て
「私を狙ってるやつだわ!」
受け取り用によっては誤解を受ける表現を発する
そこには白銀の騎士ウェインがいた。




