第12話 06(12話 03付近追記) そういうのもありよねぇ
時は少々さかのぼる
「んー!!」
シルフィーネが目覚め悪そうに背伸びをした
「目覚めたかい。」
レオンが声をかけるも、小さく「んっ・・・」と頷くのみで反応が鈍い
「まったく、うちの姫様は目覚めが悪いねぇ・・・」
呆れてレオンがぼやくもそれに対しても「んっ・・・」と返事を返してくる
「もうちょっと寝るかい?」
その質問に対しても
「・・・んっ・・・」
と小さく頷く
レオンは呆れて、もう一度寝かしつけようと抱え込むと、シルフィーネがレオンをしっかりと抱きしめる
「ん・・・・わかったわ・・・ベレナ・・・」
何が判ったのかわからないが、優しい声色でそう呟くと小さな寝息を立て始めた
レオンはそんなシルフィーネを抱きしめながら
「・・・そうか・・・夢を見ているんだね・・・」
寂しそうに呟く
そのままその日は過ぎて行った
次の日の朝を迎えると
「ぐぎぎ・・・」
今度は活きの良い声で背伸びをするシルフィーネ
レオンはそんな彼女を安心した表情で見ていた。
「なんかよく寝た気がするわ。」
それもそのはずだ、一度寝ぼけて起きたとはいえ4日間寝たのだから・・・。
フラフラとした足取りで散歩するように辺りを散策したシルフィーネが
「あれ・・・?イリアちゃん達は?」
キョロキョロと見渡すもレオンしか見当たらないので不思議がって声を出す
レオンは彼らが一度国に帰ることを説明する
すると上を向き人差し指で唇を軽く押さえ「うーん」と少し考えるようなそぶりを見せると
「まぁ、そういうのもありよねぇ」
とあっけらかんとした答えが返ってきた。
暫くすると
「あの子ったら・・・もう・・・」
クスクス笑いながらシルフィーネが自分の髪の毛を一摘み手に乗せレオンに声をかける
「何かされてたみたいだね。」
レオンがそれほど興味なさそうに返事をする
「こんなところに印をつけて行ったのよ。」
何がそんなに楽しいのか、嬉しそうに髪の毛につけられた淡く光る魔力を見せてくる
「そんな光ってちゃすぐばれるだろうに。」
クスクス笑うシルフィーネは、
「彼女、隠す気が無かったのもあるけれど、これは私が光らせているの。」
シルフィーネはそう言うとそのマーカーのついた髪の毛一房を切り、編み始めると、すぐさま細いリングとなり、それを手首につけ
「ふふ~ん」
自慢げにレオンに見せつける
レオンは苦笑いした。
「さてと・・・続き行くわよ!」
背伸びをしながらそう言うシルフィーネをレオンは睨む
無言で「暫くは無理するな!」と圧をかけているのだ
「な・・・なによ!また麻痺させる気?」
身構えるシルフィーネにレオンは
「次は暫く動けないくらい打ち負かすことに決めたよ。」
その言葉を聞き、少々絶望的な表情でレオンを睨みつけた後、「ゔ~」とうなり声をあげ唸ると
「わかったわよ!意地悪!!」
と、べぇっと舌を出しながらそう返答する
「わかればよろしい!」
まるで教師と生徒の関係のような状況が生まれた。
数日が経過する
つまらなそうに膝を抱え日向ぼっこするシルフィーネがそこにいた
「もう、退屈で干乾びちゃいそうよ!」
そう呟く最中、急に首をもたげ視線を集中する、まるで猫が何か物珍しい物でも見つけたかのように、その違和感に集中する
「ちっ!」
レオンが舌打ちする、これは止められないかも・・・
「シルフィーネ!」
レオンがその異変に気付きシルフィーネに視線を向けると、彼女は何やらぶつぶつと独り言を呟いている。
いや・・・誰かと会話している・・・相手は・・・当てがついているのだが・・・
「あっ・・・こら!」
そう言う同時にシルフィーネがはっきりした言葉で言葉を発する
「じゃぁ、あなたの小さな碧い鳥で、私を召喚しなさいよ!」
”・・・・そうね・・・任せたわよ・・・”
不安に満ちた相手の声はレオンにも聞こえ、その言葉と同時にシルフィーネの身体が透け始める
「まて!!そっちには奴がいるんだぞ!」
レオンが手を伸ばすも間に合わずにシルフィーネは消えてしまった
短い時間レオンは絶句する
”なぜ、一般兵士との闘いが駄目だと言っている最中、かつての勇者に戦いを挑もうとするのか!!”
「まったく・・・」
そのイライラした気持ちを短い言葉で吐き出した。
そして・・・
「奴に連絡を取るか・・・」
イリアがシルフィーネに印をつけたように、レオンも印をつけていたのだ
「よう、そっちにうちの姫様が行ってないかい?」
「そうか・・・」
会話が成り立っているようだ、そんな最中に相手側から焦りの口調で言葉が投げかけられる
”シルフィーネが競り負けている!”
レオンはイラついた表情で頭を押さえる
その時、先日聞いた彼女の声をふと思い出す
”・・・わかったわ・・・ベレナ・・・”
とても愁いのある声だった事を思い出した。
「まったく!自分もやりたいことあるはずなのに・・・お節介者だねぇ・・・」
そこには諦めのついた男の顔があった
「・・・まぁ・・・こういうこともあるんだろうな・・・」
優しい顔で小さく笑い
「よし!ヒューイ!」
その話し相手・・・ヒューイに言葉を出す
「サラマンダーを1体、シルフィーネに向かって出せ!」
暫くして、レオンの身体が透け始めた。




