episode.23 Mirka is a man and a woman Mirka ... huh?
少し短いです。
お花畑…じゃなくてレグルスさんが『あれー?おっかしいなぁ、なんで?』とか言いながら考え込んじゃったわ。
転生者かどうかは、正直気になる。
またカイン様が巻き込まれるかもだし…。
けれど、あまり関わりたくないのもあるし、今はミーシャもいる。
レグルスさんが上の空になっている今のうちに逃げましょう。
わたくしがミーシャに『逃げるチャンスだわ』という視線を送ると、ミーシャが小さく頷いた。
さすがわたくしの親友、視線だけで以心伝心!
2人揃って、そろりそろりとクルーゲル家の馬車に向かって後退りした後。
「では、わたくし達はこれで!」
「ごきげんよう!」
と、少し離れた位置からレグルスさんとリンダさんに告げたわたくし達は、サッと馬車に飛び乗る。
それと同時に話を聞いていたのか察したらしい御者が即行で馬車を発車させたわ!
さすがクルーゲル家の御者さん、デキルわね!
遠くからわーきゃー声が聞こえる気がしなくもないけれど、気の所為よね、うん、きっと気の所為。
「はぁ、何だったのかしら?アレ」
馬車の中で頬に手を当てて可愛らしく溜息を漏したミーシャに、レグルスさんとリンダさんに話しかけられた経緯(という程の経緯もないけれど)を話すと、ミーシャの可愛らしい眉が八の字に下がってしまったわ。
「ねぇ…ロティって変な男と桃色髪の女を寄せ付ける体質なのかしら?」
えっ、それは嫌すぎるわ!?
でも…。
「否定したいのに出来なくて辛いわ…うぅ。ねぇ、明日以降、また絡まれたりすると思う?」
「ロティなら…有り得るわね」
ミーシャの返答に、思わず馬車の椅子に両手を突き、_| ̄|○みたいな体制で項垂れてしまうわたくし。
「ロ、ロティ、元気出して!ほらっ、シュヴァリエ侯爵夫人て話したから、関わって来ない可能性もあるわ!それに隣に居た…名前何だったかしら…えーと、薄桃色の女生徒はちゃんと知っていたみたいだから、ロティに会いに来ようとしても引き止めてくれるんじゃないかしら!?」
「そ、そうね、そうよね。リンダさんは『あまり賢くない系の可愛い女の子☆てへっ』な猫さんを10匹くらい被ってらしたけど、本当は頭が良さそうだったし…!」
「ん…?よく分からないけれど、そうよ!」
ミーシャに励まされて(?)街で楽しくお買い物をして復活したわたくしは、帰宅したカイン様にレグルスさんの件を報告した。
「…なんで王子はどいつもこいつもロティに絡むんだっ!?」
うん、ソレ、わたくしも聞きたいですわ。
多分今目の前に女神アウラ様と神シンドラ様が現れたら、真っ先に『わたくし、セスティア王族に絡まれる呪いとか、かかってます?』って聞くと思うの。
「よし、明日からロティに護衛をつけよう」
ふんすふんすと怒り心頭なカイン様が、そう宣言して大きく頷いたわ。
護衛…護衛かぁ。
学院で堂々と護衛をつけてるのって、王族とか公爵家みたいな、明らかに誘拐とか暗殺?されそうな人で、他は親が超過保護だったり、爵位は低くても家が超金持ち(つまり誘拐防止ね)だったり、あとは元々体が弱いご令嬢とかしか、常に護衛をつけていないのよね。
それにわたくしの護衛って多分、今まではエッタだったのだろうけれど、侍女も護衛と同じで常についててもいいし、侍女用の待機部屋に居ても良くて、エッタは待機部屋にいてもらってたのよ。
サロンを使う時とかは準備を頼んだり、婚約者とは言え2人きりはダメだから居てもらっていたのだけど。
(あまり意味はなかったけど!!)
誰かに護衛を頼むくらいなら、常にエッタにいてもらった方が良いような気がするのよね。
なんとかカイン様を宥め、護衛についてはまた考えることにしたわ。
その日の夜、湯浴み中にエッタに聞いてみたの。
「ねぇ、エッタ」
「はい、どうされました?」
「さっき護衛の話、してたでしょ?」
「はい」
「元々、わたくしについている護衛、いるわよね?」
「はい、居ますね。お気付きでしたか」
「ええ、だってカイン様の性格を考えたら、ね?」
気配とかはさっぱりわからないし、見たこともないけれど、居るんだろうなぁって思っていただけなのよ。
「あー…、さすが奥様」
「その方がいるなら、いらないと思うのよね、護衛」
「確かに…。おそらくですが、旦那様は目に見える護衛で牽制をされたいのでしょう」
あー、『わたくしに少しでも触れたら、この護衛が何をするかわからないわよ!?』みたいな?
「でもカイン様が、護衛とは言えわたくしに男性をつかせるかしら」
湯船から上がってタオルでぐるぐる巻にされたわたくしが問いかけると、エッタの手が止まった。
「もしつけるとなれば、ミルカだと思いますよ」
え、ミルカ?
ミルカって前紹介されたかなり美人な女性のジャパニーズニンジャよね?
男性じゃないと牽制にならなくない?
そんな事を考えていたら、エッタの目が少し開いたの。
「もしかして、ミルカについて旦那様に聞いておられませんか?」
「え、何を?」
「ミルカは男です」
は?
え?
ええええ?
ええぇぇ?
「あんなに美人なのに!?」
「ふふ、そうなんですよ。あの顔で男なんですよ。他の女性の影からは、見た目が女の敵と言われてます」
珍しく笑いながら話すエッタも十分美人なのだけれど、ミルカはなんていうかこう…妖艶?な美人なのよね。
ツヤツヤな長い銀髪に、アーモンド型の黒い瞳。
引き締まったボディにたわわな胸が…アレ?胸あったわよね?
この世界にそういう手術はないハズだから…あれはまさか、幻術的な魔法!?
胸がなくてもじゅうぶん女なミルカ。
…まじかぁ、あれが男かぁ…うん、女の敵だわ。
「奥様、口が開いてます」
「あ、ごめんなさい、驚きすぎて。…にしても、ミルカが男性とはね…ねぇ、エッタ、ミルカがわたくしの護衛という事は、つまりミルカの恋愛対象は、その」
「男性ですね」
「ですよねー」
カイン様がある意味『普通の男性』をわたくしに近付けるわけが無いのよね…恥ずかしながら溺愛されてる自覚はあるから。
「それなら女性の騎士とかもいるのだし、女性の護衛としてミルカを…いえ、ダメだわ。あの色気に学生は耐えられないわ。そうなるとミルカに男装させる…?あれ、男性なんだから男装っておかしいのかしら?いえ、ミルカは自分が女性になりないってことだから、ん?そうなのかしら?あら?」
こんがらがってきたわ。
「奥様、しっかり!」
こんがらがったまま、寝衣を着せられて髪を乾かされ、気付けば夫婦の寝室で。
お風呂上がりのカイン様に「大丈夫?」って声を掛けられるまで脳がショートしていたわ。




