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episode.11 Introducing honeymoons and heroines.

初夜のアレコレがやんわり出てきますので、好まない方は後半のみお読み下さいませ!


式の後、精霊達のリアル花吹雪やら、精霊王の出した無数の虹やらで披露宴は大盛り上がりし、その後の宴会でも精霊王がはっちゃけていたりと…ようやく部屋に下がれたのは、夜もだいぶ遅い時間だった。


「お嬢様…じゃなくて奥様!旦那様はすぐに来られるそうなので、急いで支度しますよ!」


実家から当たり前のようにわたくしに着いてきてくれたエッタが、そう言いながらわたくしのドレスをはぎ取り、あれよあれよとお風呂にぶっ込まれ、磨かれ、なんだかとてもいい匂いのオイルを髪につけられ、これ、着てる意味無くない?といいたくなる程うっすい布の…ネグリジェ?を着せられ、ポイッとカイン様のベッドに座らされた。


「あ…そ、そうだわ、今日って、初夜なんだわ…」


ここで気付くわたくし、どーなのよ…!?

というかどうしましょう、緊張して来たわ!

口から心臓が飛び出そうよ!あぁ、前世はこんなに初心じゃなかったのに、これも転生特典かしら!?

神様が、わたくしに恥じらいという特典を…なんて考えていたら、扉の向こうからこちらへ近付く足音がした。


「ロティ、私だよ。入っていい?」


少し小さめのノックの後、扉の向こうから落ち着いたカイン様の声がした。

緊張しているのはわたくしだけなのね…。

今世はまだとはいえ前世での経験はあるのに、とてつもなく恥ずかしい…!

うぅ、少しは働きなさいよわたくしの中身年齢…!

わたくしはかぶりを振って扉へと近付き、ドアノブを回した。


ドアを開ければ、寝衣から覗く首元から有り得ない程の色気が溢れているカイン様…ヤバいわ、わたくし、倒れそう。


「お、お待ち、しておりました…」


慌てて目を伏せてそう言葉を掛けたのだけれど、なんの反応もないカイン様。

恐る恐るカイン様を見てみれば…目を覆う、骨ばった掌と、黒髪から覗く、光の少ない中でも分かるほど赤い耳。

そしてなんとか聞き取れた「やばい、綺麗すぎる…」という言葉。

まさかカイン様が照れてる…?照れてるのよね!?

良かった…恥ずかしいのはわたくしだけじゃなかった。


「カイン…さま…お顔を見せて下さいませ…」


目を覆う、カイン様の大きな手にそっと触れれば、ビクッと震えながらも、カイン様はその手を下ろした。

カイン様の熱っぽい瞳に、泣きそうなわたくしが映っている。


「…っ!ロティ…っ」


そのままその手を引っ張られ、ひょいっと横抱きにされ、部屋の中に早足で進んだカイン様は、ベッドにそっと下ろしたわたくしに覆いかぶさって、熱で溶けそうな瞳でじっとわたくしを見下ろした。


「ロティ、ごめん、優しくできないかもしれない」


そう言いながら少し長い前髪をかきあげるカイン様…やだ、どうしよう、すっごくかっこいい…!

カイン様の色気が漏れすぎて、すでに気絶しそう。

わたくし鼻血とか、出てないわよね…?


「はい…カイン様の…思うように」


「っ…ロティ、そんなに俺を煽って…ずっと触れたかった君にそんなこと言われたら…後悔しても知らないよ?」


そこからはもう、カイン様は獣の様だった。

普段の甘くて蕩けそうな顔なんて目じゃない程、全身でわたくしを求めているのがわかる、熱の篭った瞳。

何度も繰り返す「愛してる」の言葉。

わたくしの反応を見て、嬉しそうに舌をペロリと舐める野性的な仕草。

荒い息遣いの合間に「可愛い」「綺麗だ」と耳元で囁く色っぽい声も、全部が嬉しくて恥ずかしくて、愛しい。

前世でもこういう事はあったはずなのに、思い出せない程で、きっとあれはおままごとだったのね、というくらい、全身全霊で愛されて、解放されたのは、間もなく日が昇る頃だった。


「…ん」


太陽の眩しさに目を開ければ、そこにはさらに眩しい笑顔のカイン様がいた。

まっ、眩しっ!目が、目が潰れる…。


「おはよう、私のロティ」


陽の光の元でよく見れば、中々に引き締まったカイン様の胸板と、鼻にちゅっと口付けをされたことで、目覚めて数秒で茹でダコなわたくし。


「カイン、さ、けほっ」


喉がイガイガする…本当にこんなふうになるのね…。

前世では無かったと思うのだけど…異世界仕様なのかしら…なわけないわよね…。


「ごめん、無理させちゃったね…。待ってて、水持ってくるから」


何となく離れがたくて、ベッドから出ようとしたカイン様の腕をぎゅっと握ってしまう。


「ロティ?」


「ごめん、なさ、けほっ、もう、少しだけ、けほけほっ」


途端にぎゅっと抱きしめられて、わたくしの眼前には引き締まった胸板が。

目がー、目がー。

おかしいわね、わたくしそんな筋肉フェチじゃないのに…いえ、ソフトマッチョは好きだったかもしれないわ。


「はぁ…俺の奥さん、可愛過ぎ…ねぇ、ロティ」


「は、い?」


「喉も腰も痛いのは凄くわかるんだけど…治癒かけるから、今すぐロティが欲しい…ダメ?」



首傾げながら「ダメ?」って、カイン様、可愛すぎかーっっ!!!


うっ…喉も腰も、というか全身痛い。

けれど…治癒かけてるとまで言ってくれてるんだし…。

も、求められて嫌なワケないし…。

とか言い訳してるあたり、わたくしもそうとうだわ。

そろそろとカイン様の首に腕をまわして、返事の代わりにわたくしから口付けをした。

お返しにかえってきたのは、貪るような口付けと、愛してるの言葉。

今日は多分、1日ベッドから動けないわね…。


その後、動ける様になる前に、また繰り返し…1日どころか3日程、病人か!?という程ベッドから動けなかったわたくし…想定外過ぎた。

けれど、カイン様もとても幸せそうで、わたくしももちろん、とても満ち足りた3日間だったの。


まぁ、後から「完全に治癒魔法をかければロティはすぐに動けたんだけど、ベッドに縛り付けておけば誰にも邪魔されずに、俺が独り占めできるでしょ?」って満面の笑みで暴露されたのだけど。




夏季休暇で行われた結婚式と、その後の蜜月も過ぎ、また学院へと戻ったわ。


わたくし達の結婚式は、身内とカイン様のお仕事関係の方しか呼ばなかったの。

と言っても親戚はそれなりに居るし、人数は決して少ないとは言えなかったわね。

あと、数人のエリートジャパニーズニンジャ達が本来の身分(どこどこの貴族の三男とかそういうの)でお祝いに来てくれたのだけれど、素顔で挨拶された所で、今後ジャパニーズニンジャの制服を纏っている状態で会っても、顔も瞳しか出てないから、わたくしには誰が誰やら分からないと思うわ…。


あ、ミーシャとソフィアはもちろん結婚式にも来てもらったわ!

でもわたくしやカイン様の親類で、わたくしと同い年の子息令嬢はいなかったから、同級生で式に呼んだのはこの2人だけ。

だけど学院中がわたくしとカイン様の結婚を知っているから、他の結婚式には呼べなかった友人達からたくさんお祝いの言葉を貰って、とっても嬉しかった。

でも、カイン様は生徒にも人気があって、今までもたまに妬まれたりもしていたのだけど、やっぱり結婚後も妬む声はあったわ。

あと、「学生の身分で結婚なんて、はしたない」とかね。

でもそんな言葉に傷ついて、幸せな時間を無駄にしたくは無い。

それに、学生でも成人していれば結婚は認められているし、はしたなくなんてないと思うわ。

これからもこういう事を言う人は居るだろうけど、わたくしの家族はもちろん、ミーシャやソフィアのようにわたくしの大切な人達が祝福してくれているのだもの、いじわるな声なんて気にならないわ。

わたくしは今世こそ、幸せに人生を全うするのよ!


それと、わたくしの名前はシャーロット・シュヴァリエになったから、シュヴァリエ夫人て呼ばれるのが増えて、初めは少し慣れなかったけれど、カイン様の奥さんになったんだわぁ、っていう実感も湧いて、段々と慣れていった。



シャーロット17歳。

長期休暇が開けたら、ようやく3年生になるわ。

わたくしは35+17歳…孫がいてもおかしくない年齢になってしまった…。

わたくしはいつか、前世の記憶についてカイン様に話す時は来るのかしら。


新学期前の長期休暇は実家の領地へ行ったり、シュヴァリエ家の領地に行ったり、ソフィアやミーシャの家に泊まりに行ったり、カイン様と遺跡デートをしたり…充実した休暇を過ごしたわたくしはとても幸せで、新学期早々にあんな事が起こるなんて考えもしなかったの。




そして迎えた新学期。

なんと、わたくし達の1つ下の学年に編入生が入ってきたの。

その編入生がね…男爵のお手つきになって辞めた侍女が産んだ庶子で、母親が亡くなって男爵家に引き取られた、桃色の髪に桃色の瞳の庇護欲を掻き立てる系の無邪気なご令嬢、という…。

なにこのヒロイン専用プロフィール。


ピンク過ぎたミランはただの勘違いさんだったけれど、もしかしてこの世界って、別のゲームか何かの舞台だったの…?

もし、もしカイン様が攻略対象だったりしたらどうしたらいいの?

カイン様は教師だから、学年とか関係ないし、なんといってもとってもイケメンなんだもの!

もうわたくし達は結婚していて、とても上手くいっているけれど、なんだったかしら、修正力?そういうのが働いたらどうしましょう…。

もしそうなら、誰かストーリーを教えて!!!


なんて心の中で叫んでも、誰も教えてくれたりはしないのよね。

そもそもこの前提すらわたくしの妄想かもしれないし、それなら願ったり叶ったりだけれど。

とにもかくにも、ヒロインフラグ満載の編入生が来てから、わたくしはビクビクしながらなんとか日々を過ごしていたの。


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