↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Option of Amazoness  作者: カピパラ48世
PR
43/44

39話 名を知らぬもの

「そういうのって、ゾンビって言うのよね。」


純白のネグリジェを身にまとった長い縦ロールの栗毛色の髪のシャルロットが嬉々として声を上げた

「そうなのですね。よくご存じで。」

愛想笑いをしてシルフィーネは受け答えた

「噛まれたり、爪で引っ掻かれたりすると、その者もゾンビになってしまうのよ!」

"誰だろう・・・こんな知識を入れた奴は・・・"

愛想笑いの裏ではそんなことを思いながら・・・


まぁしかし、今の状況もここまで広まってきたんだなと思うより他ない、実際に見た自分達もその話を肯定する方に回ってしまったのだから


しかしここではあまり知らないふりをする

知っていることがあるとわかると根掘り葉掘り聞かれるのが関の山だ。


「シルフィーネは知らないの?」

そら来た!

「噂は聞きますが、どのように信じて良いのか判断に困っているところですわ」

うん、確かにどのようにすればいいのか困っている!嘘は言ってないぞ!

「あら、シルフィーネもよく知らないの?私、そのお話の真相聞きたくて楽しみでしたのに」

口を尖らせ、残念そうにした

「姫様のご機嫌をいただけなかったのは残念です」

そう前置きして

「それでは今日はちょっと素敵な御伽噺をさせていただきますわ」


———— それは神話の時代の話 ————

仲の良い2人の姉妹が『楽園』と呼ばれる白に囲まれた広い庭に住んでおりました。

姉は真黒で長い髪を持ち闇を司る精霊王、妹は真白で長い髪を持ち光を司る精霊王。

2人の力はそれぞれ強大で、お互いの存在を打ち消してしまうほど強力でした

彼女たちは悩みました

お互い歩み寄りたいのだが、光は闇を遠ざけ、闇は光を飲み込む

気を抜けば相手を消しかねない、また自分が消滅しかねない空間の中2人は過ごしていた


それを見かねた神様は2人に話しかけます

そして楽園の中にある『世界樹』を指さした

2人はさっそく世界樹の根元へと足を運ぶ

すると・・・

そこには小さな女の子の赤ん坊がいたのだ。

白き髪を持ち、黒い大きな瞳でこちらを見る赤ん坊を見た途端、2人はお互いの力が抑制で来ていることに気付きます

その赤ん坊は、2人の力を平等に保つ『天秤』の力を持つ安寧の女神だったのです

2人はその子を妹のように見守りました

その3姉妹は平和に暮らしました。



そのような御伽噺をすると

「私、それ聞いたことがあるわ。」

シャルロットが嬉々として言った。

あら、話のチョイス間違ったかしら・・・

そう思っていると

「でもシルフィーネのように引き込まれるようなお話ではなかったから、忘れていたわ。」

まんざら悪くない評価をするシャルロットに微笑する

「その3人の姉妹が大陸で広く知れ渡る3人の巫女というお話ですの。」

シャルロットは嬉々として知識を発する

「まぁ・・・よくご存じで・・・」

やばい・・・これは寝てくれないパターンだ・・・

「その光の精霊王は、太陽神って言われてて、名を・・・」

続けてシャルロットは得意げに語り始める

「『―――』って言うのよ!」

「!!」

聞き取れなかった・・・、

そして、自身も忘れていた事を思い出す。

私はこの三人の巫女の名を知らない・・・

この話を伝え聞いた時も今のように聞き取れなかったのだ。

その事を思い出し考え始めると、まるで頭を殴られたような痛みが襲ってくる

"な、なに・・・"

グラグラと気分が悪くなるのを堪えていると、

「まあ、シルフィーネ!あなた顔色が優れなくてよ!」

とシャルロットが心配して声を荒らげた。

あの自分中心のシャルロットが気にかけるのだ、だいぶひどい顔色をしているのだろう・・・しかし・・・

「あ、いえ・・もしかしたら風邪でも引いたのかも・・」

普通に発したつもりだったが、弱々しい口調がシルフィーネから出されると

「まぁ、大変!」

そう言うと、シャルロットは身体を起こしてシーツをめくり

「私が寝かしつけてあげますから、早くここへ!」

ここへ来なさいと促すようにベッドに作った自分の隣の空間をポンポンと叩き嬉々として言った

"なにか、怪しいスイッチが入ったな・・・"

ズキズキと痛む頭で咄嗟にそう感じた。

そこをなんとか我慢して笑顔を作り、

「御心遣い有難く存じますが、御身に何かあってはいけません故、今日はここまでにしたく存じます」

なんとか平静を装い言い切った・・・


・・・が・・・

納得せずに食い下がるシャルロット

しばらくその問答が続き、なんとか寸差だったがシルフィーネの体力勝ちとなった。

シャルロットが睡魔に負けたのを確認し、部屋をあとにする。

当然、彼女の寝姿を整えて・・・

フラフラと安定しない足取りでなんとか自分の部屋の近くまで来たのだが・・・シルフィーネは自分の寝所のある建屋を視界に入れながら、近くにあった木にもたれ掛かる

「まったく・・・」

今の季節、夜明け前に見える「天秤座」を見て、


「皮肉ね・・・」


と呟くと自分の意思に反して意識が遠くなるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。