↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Option of Amazoness  作者: カピパラ48世
PR
44/44

40話 忍び寄るもの

「・・・ん?・・・」


真っ白な空間のなかで、シルフィーネは、ぽつんと立つ人影に気づいた。

灰色の短めの髪と黒いマントを羽織ったスラリとした長身の男だ

どこかで見たことのあるその風貌を思い出していると、男が振り向く。

表情は霞がかかったように、ノイズがかかったように確認ができない

「あぁ、このパターンね・・・」

この夢の感覚には覚えがある、私ではない『私』のいた世界だ

ただ、いつもの見ているだけの世界ではなく、今はシルフィーネとして自由に動けるこの夢に不自然さを感じる。


シルフィーネが困惑していると、

男はシルフィーネに向け右手を伸ばし


「右へ・・・避けたほうが良い・・・」


ぶっきらぼうな・・・淡々とした口調でシルフィーネにそう言った


「へっ・・・」


今のは『私』ではなくシルフィーネに向けて発せられた言葉だ。

今まであり得なかった状況に更に困惑する


途端、グイッと引き寄せられる感覚がシルフィーネを襲う

これは現実で目が覚める合図のようなものだ、

「ちょっ、ちょっと!あなた!私がわかるの?」

必死に叫んだが、その声が届いたか分からないままその空間から遠ざかっていく。


「何が・・・」

そう思ったが、彼の言った言葉が気になった

「左から何か来るってことよね・・」

このままではここにいることはすべて忘れてしまうことを知っているシルフィーネは、

"右に避ける・・右に避ける・・右に・・"

そうつぶやきながら吸い込まれるように遠くなる意識を感じた。


バン!!

   挿絵(By みてみん)

シルフィーネが目を覚ますと、大きな音と共に強い衝撃が左側で起こった

「ちっ!避けられたか・・・」

悔しそうなロタの呟きが聞こえる

状況を飲み込むまでの一瞬、目をパチクリさせると、ハッと気づいたかのように

「・・・あ・・・あんた、何してんのよ!!」

大声でロタに反論する

「・・・へっ・・・?」

怖い者から目を背けるように縮こまっていたカレンがいつもと違う状況に声を上げた

「あら、当たらなかったのね。」

安堵したような、がっかりしたような声でカレンが呟くと

「こらこら・・・」

シルフィーネが情けない顔でそう言った



「昨日はそこで倒れてたんだよ」

シルフィーネが目覚めたのを確認し、部屋の入口から見える立木を指さしロタが告げる

「そうそう!私もびっくりしたわ!」

カレンが続いて口を挟む

「えっ?」

そういえば、そうだったような・・・

「いや・・・それならあの起こし方は・・・おかしいでしょ・・・」

思わず・・・冷静に・・・呆れて口に出すと

「いや~、叩くまでそんなこと忘れてたわ。」

いつも通りのロタを思わせる返事が帰ってくる

あたりに乾いた空気の隙間風がおこった。



「あいたっ!!」


とある部屋の片隅で茶色の髪の小さな男の子が小さく悲鳴をあげた

「ノア、どうしたの?」

金髪の少女が声を掛ける

「何かに噛まれたみたい・・・」

小さな右手から少量ではあるが血が出ていた。

「ちょっと、見せなさいよ血が出てるじゃないの!!」

そう言いながら素早くテーブルの上にあった布を水で洗い、血を拭き取り怪我の状態を確認する

幸い大した怪我ではなかったが、止血の為に薬を塗った別の布を患部へ固定する

「ありがとうミラ。」

小さな少年ノアがそう言うと

「お母さんやステファが噛まれたら大変よ!」

ミラと呼ばれた少女がそう言うと、家具の下を覗き込み、ノアを噛んだ犯人がいないかを確認し始めた。

「ただいまー」

「あ、お母さん!おかえり!」

探し物をしているミラを横目に帰宅した母とノアの会話が聞こえる

「おや!その手はどうしたんだい?」

「うん、何かに噛まれちゃって・・・」

そんな会話の中、

「あ〜!!!こんなところに大きな穴が!!」

ミラの大声が響く

「お母さん!何か塞ぐものちょうだい!!」

更に続けてミラが言うと、母親はその辺りにあった埃の被った煉瓦のブロックを数個渡す

ミラは手際良くそれを穴を塞ぐように積み起き上がると、パンパンと埃を払うと

「あそこから逃げたのね!でももう通れないようにしたから!!」

自慢げに声を上げ家族に満面の笑みを見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。