37話 狩られるもの
「おい、このウサギ、腐ってないか?」
頭部に当てた矢で仕留めた兎を足元に、狩人は相棒に唸った
その兎は腹に部分に酷い腐れが見える
「せっかく仕留めたのになぁ・・・・仕方ない、これは捨てておくか・・・」
二人の狩人は腐敗のある兎をそのまま放置し、その場を去って行った。
数日後、その兎は小型の肉食獣に食い荒らされていた。
兎の残骸がある木の根元から、ゼルギノの城壁が小さく見えていた。
「はぁ?最近の獲物がおかしいって?」
「何よ!獲物って!」
ロタの言葉にカレンが抗議する
「狩人の獲物の話だろ!」
呆れてカレンが反論する
「狩られる動物だけでなく、森の中の動物がおかしくなってきてるって事なのよ!」
「どういうこと?」
意味が解らない!と、シルフィーネが話に割り込んだ
「そうだねぇ・・・いくつかの生き物が生きながらにして腐っているらしいって話が持ちきりでねぇ。」
ロタはシルフィーネに対して応える
「なに・・・それ・・・」
シルフィーネが呆然と呟く
「なんでもそいつらは、貪欲に口に入るものをなんでも喰うって話だぜ。」
「そ、まるでロタのような食欲があるっていうのよ。」
ロタの説明にカレンが補足する
「なんだと!!」
「ホントの事よね」
シルフィーネの目前では、まるで大熊と子リスが喧嘩じゃれ合っているような光景が始まる
「あっ・・・えっ・・・」
まだ聞きたいことはあるのだが、この状況では・・・
「残りはジーナに聞いた方がよさそうね・・・」
シルフィーネから諦めの入った言葉が出された。
「そうねぇ・・・よくわからないことが多いのよねぇ・・・」
ジーナも情報が纏まっていないみたいだった。
「小さいものだと、リスのような小動物から、大きいものだと鹿くらいのものまでと多彩でねぇ・・・」
未確認だと熊のようなものまで報告が上がっている。
「気持ち悪いわねぇ・・・」
シルフィーネは情報が足りないので相槌を打つのが精一杯だ
「それでね!その死骸が動くっていうのよ!!」
突拍子のないことを言い始めるジーナを凝視する
「もう・・・滅茶苦茶ね・・・」
曰く、狩人が仕留めた後、死骸が無かったうえに移動した足跡があったという。
「そんなことがあったのねぇ・・・」
ジーナが一通り説明し、大きく息を吐いた
「結局、何が原因か解らずじまいなのね。」
溜息混じりでシルフィーネが呆れた声を上げた。




