いざ、街へーー!
鳥のさえずりで、悠たちは目を覚ました。異世界の朝は驚くほど爽やかだった。
木下「みんな、おはよう。さっそく僕の『脳内構成』で周辺を広くサーチしてみたよ。ここから南東に約3キロ進んだところに、人間が暮らす近くの村がある。そこを目指そう」
福田「よし、腹ごしらえも済んだし出発するか」
青野「俺が作ったコテージ、壊すのもったいないな。一応、鍵をかけて保存しておくわ」
こうして、知力SSの木下を先頭に、ハイスペックゴリラの福田、クラフターの青野、そして一歩歩くごとにハァハァ言っているALL Fのゴミ虫コンビ(悠・瑛人)の5人は森を進んだ。
木下の完璧なナビゲートにより、モンスターに1匹も遭遇することなく、5人は無事に活気あふれる中世ヨーロッパ風の村へと到着した。
瑛人「おおお! 本物の異世界の村だ! 馬車が走ってる!」
悠「見ろよ、あそこにある剣と盾の看板……あれって、もしかして!」
木下「うん、間違いないね。あの建物がこの世界の『冒険者ギルド』だ。今後の生活費を稼ぐためにも、まずは全員で冒険者登録をしよう」
5人がギルドの重い扉を開けると、中には酒を飲む荒くれ者や、大きな剣を背負った戦士たちが大勢いた。一瞬、ギルド内がシーンと静まり返り、新顔の男子高校生5人に鋭い視線が集まる。
受付嬢「あら、いらっしゃい。ギルドに何かご用かしら?」
木下「お姉さん、僕たち5人の冒険者登録をお願いします」
受付嬢「あら、可愛いお坊ちゃんたちね。いいわよ。じゃあ、この『魔力水晶』に一人ずつ手を置いてちょうだい。これであなたたちのステータスを読み取って、ギルドカードを発行するわ」
まずは、主人公である悠が緊張しながら水晶に手を置いた。
ピカッと水晶が光り、受付嬢の持つ羊皮紙に文字が浮かび上がる。
受付嬢「えーっと、悠くんね。ステータスは……え? 知力F、体力F、パワーF、スピードF……? 嘘でしょ、あなた今までどうやって生きてきたの!? アリに噛まれても死ぬわよ!?」
悠「やっぱり対外的に見てもゴミ虫なんですね!!(涙)」
続いて瑛人が手を置く。
受付嬢「森瑛人くん。……あなたもALL F!? 何なの、この最弱コンビは! ギルドの最低ランク『Gランク』からのスタートね……」
瑛人「分かってたけど、受付のお姉さんに真顔で引かれると傷つくわ!!」
次に、メガネなしの普通の見た目をした木下が手を置いた。
受付嬢「はいはい、次ね……って、えええええええッッッ!?!? 知力【SS】!?!? カンストしてるじゃない!! 国王直属の大賢者様と同等よ!! でも他はDとBって、頭脳に対して肉体がアンバランスすぎるわよ!?」
木下「あはは、よく言われます」
さらに、職人気質の青野が手を置く。
受付嬢「青野くんは……知力A、スキルが『神速建築』? 冒険者っていうより、今すぐ国家予算で引き抜きたい一級建築士ね……」
最後に、ガタイのいい福田がフンッと鼻を鳴らして水晶にドスンと手を置いた。
その瞬間、水晶がビキビキと音を立てて激しく真っ赤に発光した。
受付嬢「ひっ……!? ふ、福田くん……体力【S】、パワー【S】、知力【B】……!? あなた、どこかの国のSランク竜騎士か何かなの!? スピードだけDだけど、正面から殴り合ったら地王モグラ(ベア・モル)が一撃でミンチになるわよ!?」
福田「へっ、まぁな。それよりお姉さん、登録が終わったらさ、この村で一番美味い肉が食える店教えてくれよ」
受付嬢「は、はいぃぃ!! 喜んでご案内しますわ、福田様!!」
こうして、最弱のALL F(悠・瑛人)、神の頭脳(木下)、国家級クラフター(青野)、そして受付嬢を恐怖させたハイスペックゴリラ(福田)による、前代未聞のデコボコ冒険者パーティーが誕生したのだった――!




