学年1の秀才 木下!
モンスターが猛烈なスピードで突進してくる! 二人の『スピード:F』では、避けることすら不可能!
悠「うわあああ大ピンチ!! えいと、誰か!! 誰でもいいから名前を思い出せーーー!!」
瑛人「クソがぁぁ!! 誰だ!? こんな時に役に立つ、頼りになるあいつの名前は……あ、あいつしかいねえ!!木下ァーーー!!!」
瑛人が絶叫した瞬間、空間に再び亀裂が入り、一人の男子中学生がドサリと降ってきた。
普通そうに見える男――クラス一の秀才、木下である。
木下「痛っ……!? え、何、僕はいま部屋で過去問を解いていたはずじゃ……」
悠・瑛人「木下ーーーッ!! 助けてくれーーー!!」
木下「えっ、悠くんに瑛人くん!? なんだいこの状況は。それにあの巨大な生物は……」
突進してくるモンスターを見て、木下は一瞬で状況を理解した。さすがは学年トップの知脳である。
木下「なるほど、これが噂に聞く異世界転生(あるいは召喚)だね。よろしい、僕のステータスを見て対策を練ろう。『ステータス・オープン』」
木下が冷静に唱えると、彼の前に画面が現れた。
木下のステータス
• 知力:SS
• 体力:B
• パワー:C
• スピード:D
固有スキル:脳内構想
えいと「おい木下! お前、知力SSのほかに、体力もBあるじゃねえか! 平均(D)以上だぞ!」
悠「パワーはC!スピードもD! 俺たちALL Fのゴミ虫から見たら、お前はもう超人だ!! 頼む、その知力SSと体力Bで、あのイノシシモンスターをぶっ倒してくれ!!」
木下「ふむ、なるほどね。……よし、任せたまえ。この世界を構成する魔力素の数式を逆算し、脳内で最適化された破壊魔術を……」
木下はスッと前に出ると、格好よく右手を突き出した。
だが、その手のひらはプルプルと生まれたての小鹿のように震えている。
木下「……あ、あれ? 瑛人くん、ちょっと困ったな」
えいと「なんだよ!? 数式は解けたんだろ!?」
木下「うん、解けた。だけど、僕の知力SSが導き出した『最適解の破壊魔術』は、反動の最低要求パワーが【A】なんだ。僕のパワーは【D】。今ここで魔法を使ったら、反動で僕の右腕が消し飛ぶね」
悠「最適解の力が足りないのか!!!」
えいと「じゃ、じゃあ走って逃げるぞ木下! 体力Bなら長く走れるだろ!?」
木下「確かに長くは走れるよ。ただ、僕のスピードは【D】だ。あの突進してくるモンスターのスピードを計算したところ……【B】はある。つまり、僕は『追いつかれて轢かれる瞬間まで、めちゃくちゃ元気に長距離を逃げ回れる』というだけだね。アハハ」
悠・えいと「最終的に轢かれるなら意味ねええええーーーッ!!!(絶望)」
結局、スペックは上がったものの、知能が高すぎて絶望の解像度が上がっただけの木下であった。
モンスターの牙が、すぐそこまで迫る――!




