(新大陸編)いざ、新大陸!
王都の港から極秘裏に出航した小さな魔導舟は、木下の計算通り、不気味な海流を突き抜けて未知の領域へと到達した。
夜が明け、朝霧の向こうからその姿を現したのは、地図にない広大な新大陸(巨島)。
「な、んだよこれ……。島っていうスケールじゃねえぞ……!」
船の舳先に立った瑛人(ALL E)は、目の前に広がる光景に息を呑んだ。
島という言葉から想像していた牧歌的な風景はどこにもない。視界を埋め尽くすのは、雲を突き抜けるほどに巨大な原生林の木々と、天を刺すようにそびえ立つ未知の山脈。王都グラン・フレンドリアが丸ごといくつも飲み込まれてしまうほどの、圧倒的な「広さ」がそこにはあった。
砂浜に船を寄せ、アタッシュケースを抱えた瑛人、青野、山田の3人は、未知の土を踏みしめる。
山田(知力B・スピードB)「……おい、瑛人、青野。一歩中に入った瞬間から、俺の『神の照準』の視界が真っ赤に点滅しっぱなしだ。弱点(構造のブレ)は見えてる。見えてるんだが……」
山田が冷や汗を流しながら、森の奥の一点を見つめた。
その視線の先、巨木の影からゆっくりと姿を現したのは、体長10メートルを超える、全身が黒い鋼鉄の鱗で覆われた巨大な大蛇だった。
青野(知力A)「おいおい、冗談だろ……? あのサイズ、王都のギルド長が言ってた『災害級モンスター(Sランク)』のオーラだぞ……」
すかさず3人の前に、新大陸のシステム画面が強制表示される。
【新大陸の観測データ】
• エリア広さ:フレンドリア王国の約5倍
• 出現モンスターの平均強さ:【S〜SS】
瑛人「平均が【S〜SS】だと……!? つまり、福田(パワーS)みたいなバケモノが、この島にはウジャウジャいるってことかよ!」
カサリ、と大蛇が頭をもたげ、その赤く爛々とした眼口で3人をロックオンした。ただ睨まれただけで、ALL E(一般人レベル)の瑛人たちの身体が恐怖で硬直する。
フレンドリア王国では「中くらいの魔物」に勝って実感を掴んだばかりだった。だが、この新大陸の生態系は、彼らの常識を遥か天上に置き去りにするほど絶望的に狂っていた。
山田「来るぞ……! スピードは、最低でも【S】だ! 物理カットの数値がバグってて、俺のクロスボウじゃ装甲を貫通できねえ!」
青野「クソッ、目隠しの壁を作っても一瞬で粉砕される! 瑛人、最初から出し惜しみなしだ! あいつを止められる奴を、今すぐ呼べ!」
瑛人はアタッシュケースを地面に叩きつけ、胸の前で必死に手を合わせた。
タイムリミットは10分。この規格外の巨獣を相手に、生き残るための「ファースト・ゲート」を開く――。




