(新大陸編)最高の照準
浜口(架空)の神がかった操舵によって、魔導舟は【スピード:A】の超高速で海面を滑る。
Sランクの魔獣、クラーケン・サーペントの巨大な触手が何度も海面を叩き割るが、浜口はそのすべての波の軌道と魔獣の動作のクセを読み切り、完全に翻弄していた。
浜口(架空)「よし、あいつの右の触手が空振りに終わった! 今、戻りの動作に入るコンマ5秒の間、あいつの正面に完璧な『隙』ができる! 山田、狙えるか!」
山田(知力B)「待たせたな。……もう、完全にロックオンしてんだよ!」
山田は、青野(知力A)が『神速建築』で即座に鉄屑からクラフトした、強化型の大型クロスボウをガシッと構えた。
これまでは福田のパワーに頼っていたが、今の山田の指先には、帰り道に手に入れた固有スキル『握力調整』が宿っている。引き金を引く指先だけに、ブレをゼロにする完璧な力加減(パワーD)が集中していた。
山田の視界が、一瞬でモノクロの世界へと変貌する。
その中心で、荒狂う魔獣の眉間の奥、超硬度の氷の結晶に守られた【直径わずか2ミリの魔力核】だけが、真っ赤にギラギラと光り輝いていた。
【固有スキル:神の照準】
山田「物理カットがどれだけ高かろうが……俺の照準からは、誰も逃げられねえんだよッ!!」
カシャァン!!!
凄まじい金属音と共に、超重量の鉄の矢が放たれた。
矢は激しい向かい風と波飛沫に煽られ、一瞬だけ軌道がズレるかと思われた――が、山田のスキルによって空中で「カクッ」と不自然なほど急激に軌道を修正。
魔獣が防衛のために振り下ろした触手の、わずか数センチの隙間をすり抜け、狂暴に剥き出しになった目の真ん中へと一直線に吸い込まれていった。
グサァァァァァッッッ!!!
クラーケン・サーペント「ガ、ガガガ……ガァァッ!?!?」
絶対的な鉄壁を誇っていた海の化物が、内側から激しく結晶化するようにビキビキと音を立てて崩壊していく。
ドゴォォォォン!!!と、荒狂う絶海に凄まじい大爆発の音が響き渡り、15メートルを超える巨体が一瞬で光の粒子となって海へと霧散していった。
静まり返る海面。雲の隙間から、新大陸の眩しい朝日が3人を照らし出す。
瑛人(ALL E)「か……勝った……! あの福田並みの化物を、一撃でブチ抜いたぞ!!」
青野「やったな山田! マジで一撃必殺じゃねえか!」
山田「ふぅ……。指先のコントロール、完璧だったわ。これで俺たちだけでもSランクに勝てるな」
浜口(架空)「ナイスシュートだ、山田! さあ、タイムリミットまで残り3分00秒。このまま全速力で、新大陸の『始まりの砂浜』へ船を着けるぞ!」
瑛人が生み出した最高の架空アタッカー・浜口の操船により、魔導舟は一切の速度を落とすことなく、目標の砂浜へと向かってラストスパートをかける。
死線を乗り越えた島遠征組の3人は、ついに目の前に迫る未知の大地へと、堂々の第一歩を踏み出そうとしていた――。




