(新大陸編)漁師の子、浜口!
魔獣の巨大な触手が船を叩き潰さんと迫る。直撃まで、あとコンマ数秒――。
青野(知力A)「直撃を食らったら船ごと塵になる! 瑛人、新スキルだ! 出し惜しみしてたら死ぬぞ!」
瑛人(ALL E)「分かってる!! でも……実在する友達をこんな危険な海に拉致するわけにはいかねえ……! だったら、俺のスキルの『本当の力』を今ここで解放してやる!!」
絶体絶命の極限状態の中、瑛人のアタッシュケースを握る手に、まばゆい虹色の魔力が爆発的に収束した。
『覚醒の宝石』は、実在する友達を呼ぶだけでなく、瑛人の想像力をそのまま形にする【架空具現召喚】へと、真の覚醒を遂げたのだ!
瑛人「タイムリミットは10分! 俺の頭の設計図通りに生まれろ!! ――『髪型はボウズ、実家は漁師で、小型船舶の操縦で全国大会を総なめにした、この荒海を完璧に乗りこなせる操船の天才・浜口』、爆誕しろォォォーーーッ!!!」
瑛人が絶叫し、頭の中で「完璧な操船のプロ」のプロファイルを作り上げた瞬間、船の上にパァァァンとまばゆい光が弾けた。
光の中から現れたのは、瑛人が今さっき設定を考えたばかりの、日焼けしたボウズ頭の男子高校生――架空の天才、浜口だった!
浜口(架空)「――おう! 呼んだか、マスター(瑛人)! 俺のタイムリミットはあと9分55秒だな! 理由は分かってる、あのトカゲ野郎をかわして、この船を新大陸へ導けばいいんだろ!」
具現化された瞬間から完璧な記憶とプロの設定を持つ浜口は、手にしたハチマキを頭に巻くと、一瞬で操舵席へと飛びついた。
浜口(架空)「よし! この波の周期、それにあいつの筋肉の動き……右から来るぞ! 青野、船底の魔力噴射の出力を最大に上げろ!」
青野「えっ!? 誰だか知らねえけど、マジで操船のプロが生まれたぞ! おう、任せろ! スキル――『神速建築』!!」
青野が瞬時に魔導舟のエンジン部分に手を触れ、排気ノズルを一瞬で拡張リフォームする。
浜口(架空)「そこだァァァッ!!! 面舵いっぱーーーっ!!!」
浜口が神がかった手つきで引き舵を回した瞬間、魔導舟は不自然なほどの急角度で海面を滑り、横へと跳ねるように旋回した。
ズガァァァァァーーンッ!!!!!
間一駆け。魔獣の巨大な触手が、さっきまで船がいた海面を激しく叩き割った。
【浜口のステータス(架空・10分限定)】
• 体力:C
• 知力:C
• パワー:D
• スピード:C
• 【固有スキル】:『荒波の支配者』
• 効果:操縦時、その乗り物の『スピード』を一時的に2ランク上昇させ、物理法則を無視した極限の回避機動を可能にする。
瑛人「船のスピードが上がってる!? 俺の作った設定が完璧に機能してやがる!」
瑛人の思いつきで作られた「架空の男・浜口」の神がかった操舵により、魔導舟のスピードは一時的に【C ➔ A】へと跳ね上がり、Sランク魔獣の猛攻を紙一重で回避した。
浜口(架空)「よし、あいつの次の攻撃まであと12秒! 青野、今のうちに船の左舷をカチカチの鉄屑で補強しろ! 山田はあいつの目の中心を狙え!」
青野「了解!!」
山田(知力B)「俺の『神の照準』からは、海のバケモノだろうが逃げられねえ!」
実在の友達を巻き込まず、最強の設定をその場で生み出して戦うという、瑛人のチートな新能力。
時計の針は、残り7分20秒。最強の架空アタッカー浜口と共に、島遠征組の反撃がいま始まった――!




