(新大陸編)クラーケン・サーペント
視点は新大陸の最北部から、遥か南の海へと移る。
王都グラン・フレンドリアの港を極秘裏に出航してから2日。
白金貨5000枚が詰まったアタッシュケースを抱えた瑛人、青野、山田の3人を乗せた魔導舟は、新大陸『フレンドリア巨島』の最南部にある『始まりの砂浜』を目指し、猛烈な大しけの海を突き進んでいた。
瑛人(ALL E)「うわあああ! なんだよこの波のデカさは! 船がバラバラになっちまうぞ!」
青野(知力A)「クソッ、木下の計算した最短ルートを進んではいるが……この海域、気候だけじゃなく『魔力の濃度』が異常だ!」
波飛沫を浴びながら船の引き舵を握る青野の言う通り、海の色は不気味なほど濃い紫色に変色していた。
ここから先は、世界の最高神(謎のおじいさん)が、日本の男子高校生たちを極限のデスゲームに追い込むために創り出した危険度SSの未開領域。その前位たる海域が、まともな生態系であるはずがなかった。
山田(知力B)「……おい、2人とも、最悪のお知らせだ。俺の『神の照準』の視界が、この大波の下を真っ赤に捉えてやがる。……来るぞ、とんでもねえデカさだ!」
ザッパーーーーーンッ!!!
凄まじい水柱を上げて海面から姿を現したのは、全身が鋭利な氷の結晶で覆われた、体長15メートルを超える巨大な海蛇の魔獣『クラーケン・サーペント』だった。
【海の魔物:クラーケン・サーペント】
• 体力:【S】
• 知力:【D】
• パワー:【S】
• スピード:【S】
新大陸近海に棲む災害級モンスター。一撃で軍艦を両断する。
瑛人「スピードもパワーも【S】だと!? 福田並みのバケモノが、なんで海の中に当たり前みたいにいやがるんだよ!」
魔獣は3人の乗る小さな魔導舟を見下ろし、氷の角を鋭く光らせた。
直後、スピードSの神速で、船ごと3人を真っ二つに引き裂くべく、凄まじい尾ひれの触手を振り下ろしてきた。
直撃まで、あと1秒。ALL E(一般人レベル)に上がったばかりの3人の肉体では、その質量と速度を前に回避することすら不可能だった。
青野「直撃を食らったら船ごと塵になる! 瑛人、新スキルだ! 出し惜しみしてたら死ぬぞ!」
瑛人「分かってる!! 進化した俺のスキル、お試し拉致の性能を見せてやる! ――『時間制限召喚』発動!!!」
瑛人がアタッシュケースを片手に、脳裏に「あるクラスメイト」の顔を強く浮かべた。
タイムリミットは10分。この絶体絶命の絶海を切り抜けるための、島遠征組の過酷なサバイバルがいま、本格的に始まった――。




