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悠の成長

佐藤が作った最高のタレのおかげでドラゴン肉を堪能し、白金貨5000枚という大金もアタッシュケースに回収して、お腹も財布もパンパンの6人は、大満足で夜の王都の静かな裏路地を歩いていた。

悠(体力D・パワーE・スピードE)「あー、食った食った! ドラゴン肉最高だったな!」

福田(パワーS・体力S)「がはは! これで明日からも美味い肉が食い放題だな!」

6人が夜道をのんびり歩いていると、前方の暗闇から、グルルル……と低い唸り声が響いた。

街灯の光に照らされて現れたのは、体が青い炎に包まれた、狂暴な野良犬のような魔物『ブルーファング(青炎犬)』が2匹。

木下(知力SS・左利き)「……みんな、ストップ。ターゲット接近だね。ステータスはパワーD、スピードD。村のゴブリンよりは少し強いけれど、今の僕たちにとっては『普通にちょっと弱い魔物(中くらい)』だよ」

福田「おう、俺が今度こそ一発でミンチにして……」

悠「待って、福田! ここは……俺に戦わせてくれ!」

瑛人(ALL E)「えっ!? 悠、お前一人でいくのか!?」

悠「ああ。ダンジョンで福田や木下にスパルタで鍛えてもらって、肉を食って体力も上がった。だけど、いつもみんなの指示やサポートの後ろにいたから、今の自分がどれくらい戦えるのか、自分の力だけで試してみたいんだ!」

福田は少し驚いた顔をした後、ニヤリと笑って一歩下がった。

福田「がはは! いい目じゃねえか。よし悠、行ってこい!」

木下「了解。じゃあ僕たち全員、一切口出しも手出しもしないよ。あはは、頑張って」

青炎犬が2匹同時に、スピードDの鋭い跳躍で悠に向かって牙を剥いて飛びかかってきた。

最初の駅前(エピソード0)で怪しい外国人に刺された時や、ALL Fのゴミ虫だった頃なら、悠は恐怖で一歩も動けずに噛み砕かれていただろう。

だが、今の悠の視界は、魔物の動きをハッキリと捉えていた。

悠*(……遅い! 避ける指示がなくても、体が勝手に動く!)*

悠は「スピードE(ちょっと動ける高校生レベル)」の瞬発力をフルに発揮し、真横へと鋭くステップ。魔物の突進をギリギリで、しかし確実に紙一重でかわした。

着地と同時に、もう1匹が悠の脇腹へと鋭い爪を振るう。ガキッ!と鈍い音が響いた。

瑛人「悠ーーーッ!?」

悠「……あれ? 痛てて……。でも、全然耐えられる!」

今の悠の肉体は【体力:D】。一般人並みのタフさがあるため、中くらいの魔物のひっかき傷程度ではビクともしない。

悠は自分の体の頑丈さに驚き、そして確信した。

悠「俺……本当に強くなってる!! これならいけるぞ!!」

体勢を崩した魔物の懐に、悠は一歩力強く踏み込んだ。ブートキャンプで培われた、無駄のないストレート。

鍛え上げられた「パワーE」の拳が、魔物の顔面に綺麗に炸裂した!

ドガァァァン!!!

カミソリトカゲを倒した時とは違い、木下の指示も、福田のパワーアシストもない、純粋な悠だけの力。

しかし、一般人一歩手前まで成長した悠の一撃は、中くらいの魔物を地面に叩きつけるには十分すぎる威力だった。

ブルーファングA「キャンッ!?」

殴られた1匹は頭の結晶を砕かれ、そのまま光の粒子となって消滅した。

悠「よし、ラスト1匹!!」

残ったもう1匹が恐怖で尻尾を巻き、逃げ出そうとする。しかし、悠はすでにその背後に回り込んでいた。

大きく振りかぶった渾身のキックが、魔物の胴体に突き刺さる。

バキッ!!!

2匹目の魔物も、後ろの壁に激突してそのまま光のチリへと霧散した。

静まり返る夜の裏路地。自分の両拳を見つめ、悠の胸に熱いものが込み上げてくる。

悠「勝った……。俺、指示がなくても、自分の力だけで中くらいの魔物に勝てたんだ……!」

瑛人「す、すげえええええ!!! 悠、マジでカッコよかったぞ!!」

青野(知力A)「ALL Fのゴミ虫が、いつの間にか立派な前衛(アタッカー)になりやがって……!(涙)」

山田(知力B)「自分の実力を実感できたな、悠」

福田が歩み寄り、悠の肩をガシッと掴んで豪快に笑った。

福田「がはは! 最高のリザルトじゃねえか、悠! 自分の力で勝ち取った勝利だ、胸を張れ!」

木下「おめでとう、悠くん。これで君は『一般人の卵』から、『その辺の野良犬モンスターなら素手でボコれる立派なDランクのヒヨコ』に進化だね。あはは」

悠「やっぱり一言多いけど……でも、めちゃくちゃ嬉しい!!」

怪しい外国人に刺された理不尽な死から始まった異世界生活。

最強の友達(フレンドゲーターズ)に囲まれながら、悠は今、確かに自分自身の足で、英雄への階段を上り始めたのだった――。

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