一気に大富豪!
帰り道に木下(知力SS・左利き)が作った、スキルアップポーション。
それを飲んだ木下、青野、山田の3人は、見事に固有スキル『握力調整』を手に入れたものの、口の中は今「ドブのヘドロと雑巾の絞り汁を濃縮還元したような最悪の味」で完全に支配されていた。
青野(知力A)「オエッ……! 吐き気はしねえけど、マジで舌が死ぬ……!」
山田(知力B)「頼む、一刻も早く何か美味いものを胃袋に流し込ませてくれ……!」
福田(パワーS・体力S)「がはは! よし、王都の門をくぐったら、まずはあのバカデカいギルドの本部へ直行だ! ボスドロップの特大結晶を最高値で金に換えて、その足で王都で一番高くて美味い肉料理屋へお口直しに行くぞ!!」
悠(体力D)「おーっ! そのためなら俺、どんだけでも走れるよ!」
ドブ味をリセットしたい執念で、5人(+山田)は猛ダッシュで王都の冒険者ギルド本部へと飛び込んだ。
カウンターに向かい、福田が背中の荷物から、あのクリスタル・ウルフがドロップした特大の最高級魔力結晶をドンッと置いた。
その瞬間、結晶から放たれた虹色の輝きがギルド本部の広大なフロア全体を眩しく照らし出す。
あまりの輝きにギルド内がざわつく中、奥のVIP扉からドツドツと重い足音が響き、一人の巨大な影が現れた。
長い白髭を蓄え、圧倒的な魔力の威圧感を放つ老人――王都冒険者ギルドの最高責任者、Sランク冒険者「ギルド長」である。
ギルド長「……なんという純度じゃ……! これはただの結晶ではない、数百年前に絶滅したとされる『魔狼王』の核……! ギルドの長い歴史でもお目にかかれん伝説のシロモノじゃて!!」
ギルド長は驚きのあまり目玉が飛び出そうになり、ガタガタと震える手でルーペを取り出した。
木下「ふむ。ギルド長、僕の『脳内構成』で現在の王都の経済市場と魔力結晶の流通レートを完全に計算させてもらったよ。その結晶の適正な換金価格は、白金貨でちょうど5000枚。これ以下の金額なら、僕たちは隣の国のギルドへ行くよ」
ギルド長「な、なにいッ!? なぜ初対面のGランクのガキが、ギルドの本部金庫の限界買い取り額をピンポイントで知っておるんじゃ……!?(冷や汗)」
普通の男子高校生の見た目をした木下が、左手でスマートに電卓を叩くような仕草をしながら金額を言い当てたため、ギルド長は彼らの底知れなさに完全に恐怖した。
ギルド長「くっ……よ、よろしい。ギルドのプライドにかけて、この伝説の結晶、木下くんの言う通り白金貨5000枚で買い取らせてもらおう! おい、金庫からすべての白金貨を持ってまいれ!」
こうして、カウンターの上にギッシリと積み上げられた、まばゆい白金貨の山。
一瞬にして国家予算レベルの大富豪クランへと成り上がった瞬間だった。
瑛人(ALL E)「うわあ……本当に大金持ちになっちゃったよ。これ、どうやって持ち運ぶんだ?」
青野「これだけの白金貨、普通の財布じゃ入らねえな。よし、手に入れた『握力調整』の初実戦だ。スキル――『神速建築』!!!」
ガガガガガッ!!!
ポーションで『握力調整』を覚醒させた青野は、今度は素材を一切握り潰すことなく、完璧な力加減でアタッシュケースをクラフトした。カウンターの上の白金貨の山が一瞬で、魔力結晶をあしらった「自動防犯機能付き・超高級コンパクトアタッシュケース」へと美しく収納されていく。
山田「マジで一瞬でまとまったな。これでいつでも持ち運べるぞ」
福田はといえば、白金貨の詰まったアタッシュケースを軽々と片手で持ち上げ、ギルド長にニヤリと笑った。




