スキル追加と激マズポーション
マジック・アイアンゴーレムを瞬殺し、最高の戦果(と瑛人のALL E進化)を引っ提げて王都への帰り道を歩くフレンドゲーターズ。
すると、普通の男子高校生の見た目をした神童・木下(知力SS)が、道端に生えている不気味な紫色の薬草や、先ほど砕け散ったゴーレムの魔鉄の粉末を熱心に拾い集め始めた。
青野「おい木下、何拾ってんだよ。そんなゴミ集めてどうすんだ?」
木下「ふむ、ちょっとね。さっきの戦闘を脳内構成で振り返っていたんだけど、僕たちのチームは特定のステータスが尖りすぎていて、肉体の制御が追いついていないのが課題なんだ。だから……これらを最適に調合すれば、スキルだけをピンポイントで強制向上させるポーションが作れるよ」
悠(体力D)「えええっ!? ポーションって自分らで作れんの!?」
木下「うん、数式は完璧に解けた。青野くん、ちょっとそこらの粘土と魔力結晶で、密封できる小さな薬瓶を10秒でクラフトして」
青野(知力A)「おう、お安い御用だ! スキル――『神速建築』!!!」
ガガガガッ!と青野の手によって、瞬時に透明度の高い美しい硝子の薬瓶が3つ出来上がった。木下はそこへ手際よく薬草をすり潰し、魔鉄の粉と自分の魔力を注ぎ込んで、シャカシャカと激しくシェイクした。
数秒後、瓶の中の中身は、ドス黒い紫色でドロドロとした、時折『ボコッ……』と不気味な泡を吹く液体へと変化した。
山田(知力B)「おい……それ、どう見ても毒薬だろ。飲むやつ全員一発で死ぬタイプのグラフィックだぞ」
木下「大丈夫、死にはしないよ。ただ、配合の都合上、味は天文学的にまずいと思うけれどね。……はい、これは僕と、青野くんと、山田くんの分だ。さあ、一気に飲もう」
木下はそう言うと、表情一つ変えずにドロドロの液体をグイッと一飲みした。
木下「……っぶふぉっふ!!!(激しいむせ込み) ……ごめん、想像の100倍雑巾の絞り汁みたいな味がした。脳の味覚中枢が爆発するかと思ったよ。あはは」
青野・山田「笑えねえよ!!!」
しかし、効果は一瞬で現れた。木下の前にシステム画面がピコンと現れる。
【木下のスキルアップ】
• 【新規獲得スキル】:『握力調整』
• 効果:手や指先から出力されるパワーを、ミリグラム単位からトン単位まで完全に制御・手加減できるようになる。
木下「おお……! 素晴らしい。これで僕の知力SSが導き出す最大火力の破壊魔法を使っても、『手の握力を魔法の反動と全く同じ数値に自動同期』できる。もう左腕が消し飛ばないよ」
青野「マジかよ! よし、覚悟を決めて俺も飲むわ! うお、まずっ!! ドブ川の底のヘドロを濃縮還元した味がする!!」
山田「クソッ、ゲームのデスペナルティだと思って俺も……ぶっ、にがっ!? ジャガバタースティックの味が完全に消滅した!!」
2人が悶絶しながら飲み干すと、それぞれの前に画面が浮かび上がった。
【青野・山田のスキルアップ】
• 【新規獲得スキル】:『握力調整』
青野「うお、すげえ! 俺、今までは一瞬で建築すると素材を握り潰しちゃうことがあったんだけど、力加減が完璧に分かるぞ!」
山田「俺もだ……。福田(パワーS)にクロスボウの弦を引いてもらった時、引き金の重さに指が負けそうだったけど、指先だけに完璧に力を集中できる!」
悠「いいなぁ、俺も飲みた……」
木下「悠くんはダメだよ。君の『大器晩成』にこの激マズポーションを混ぜると、数式がバグってALL Fに退化する確率が74%ある」
悠「命拾いしたけど、ちょっと仲間外れで寂しい!!」
瑛人(ALL E)「いいじゃねえか。とにかくこれで、知力SSの木下が一撃必殺の破壊魔法を手加減なし(左腕無事)で放てるようになったわけだろ? どんどんチート集団になっていくな、俺たち」
福田「がはは! 万々歳じゃねえか! スキルも上がったし、王都の門も見えてきた! よし、全員お口直しだ!!」
全員「「「「「王都で一番高い肉、食おうぜ!!!(大合唱)」」」」」
激マズポーションによる悶絶を最高の友情パワーで乗り越え、より一層隙のなくなったフレンドゲーターズ。
彼らは口の中のドブ味をリセットするため、王都の超高級焼肉店へと猛ダッシュで突き進むのだった――!




