スーパースパルタブートキャンプ
ひんやりとした空気が漂う洞窟の入り口。
壁一面に埋め込まれた淡く光る魔力結晶が、5人の行く手を照らしている。
木下「よし、みんな。ここが『魔力結晶の洞窟』だ。僕の『脳内構成』によると、この奥には戦闘力【D】の『クリスタルバット(結晶コウモリ)』と『ストーンゴレーム(岩石兵)』が群生している。……福田くん、前衛をお願い。悠くんは福田くんの真後ろをキープして」
福田「おう、行くか。悠、しっかりついてこいよ!」
悠(体力E、他F)「お、おう! 頑張ってFを卒業するぞ!」
5人が洞窟に足を踏み入れると、さっそく天井からキチキチキチッ!と不気味な羽音が響いた。現れたのは、羽が水晶でできた獰猛なコウモリ・クリスタルバットが10匹!一般人なら包囲されて切り刻まれる数だ。
木下「悠くん、ターゲット接近。福田くんの背中から右に半歩ズレて、あえてコウモリの突進の『風圧』と『魔力』をまともに浴びるんだ。大器晩成のトリガーを引くよ!」
悠「えっ、避けないの!?」
福田「気にするな悠! 俺のハエ叩きを見とけ! ハァァッ!!」
ドゴォォォンッ!!!
福田(パワーS)が放った豪快な裏拳一発で、10匹いたクリスタルバットのうち9匹が一瞬で文字通り粉砕され、キラキラとした光のチリに変わった。
しかし、福田がわざと撃ち漏らした最後の1匹が、凄まじい風圧を伴って悠の横をすり抜けていく!
悠「うわああっ!? 痛っ、掠っただけでめちゃくちゃ痛い!」
木下「よし、皮膚が魔力素を吸収したね。瑛人くん、今のうちに落ちた結晶の破片を悠くんに食べさせて!」
瑛人(ALL F)「えっ!? 落ちてる石を食わせるの!? 腹壊さない!?」
木下「大丈夫、この世界のシステムが経験値として変換してくれる。さあ、次は奥からストーンゴレーム(戦闘力D・防御特化)が2体来るよ。悠くん、ゴレームが拳を振り下ろす瞬間、その直撃コースに『スピードF』で全力で飛び込んで!」
悠「それ絶対死ぬって木下ァァァーーーッ!!!」
木下「死なないよ。福田くんがインパクトの0.1秒前に拳を破壊するから、悠くんはその『衝撃の余波』だけを肉体で受け止めるんだ。いくよ、3、2、1……突撃!」
悠「やけくそだァァァッ!!」
悠が泣き叫びながら、巨大な岩石の拳の真下へとスライディングで滑り込んだ。
直後、上空から福田の容赦ない鉄拳が割り込む!
福田「オラァッ!!!」
バキィィィーーンッ!!!
福田の拳がストーンゴレームの巨体を文字通り一撃で粉々へと爆破した。
爆風と強烈な魔力の波動が、間近にいた悠の全身を包み込む。強烈なプレッシャーに皮膚がビリビリと痺れ、悠の『大器晩成』のスキルが完全に限界突破の音を立てた。
ピコン! ピコン! ピコン!
洞窟内に、悠のステータス画面が凄まじい勢いで点滅しながら出現した。
【悠のステータス変化】
• 知力:F → F
• 体力:E → D
• パワー:F → E
• スピード:F → E
悠「う、おおおお……!? 体が軽い! 腕に力がみなぎってくる……! 俺、Fを2つも卒業したぞ!!!」
瑛人「マジかよ!! 完全に福田と木下による超スパルタなブートキャンプじゃねえか!!」
青野「効率良すぎるだろ。俺、後ろで見てるだけで何もしてないぞ」
木下「ふむ、計算通りだね。これで悠くんは『アリに噛まれてもギリギリ気絶で済むヒナ』から、『ゴブリンに一発殴られても泣きながら言い返せるレベルの一般人の卵』に進化したよ。おめでとう」
悠「本当に強くなってるから文句言えないけど、やっぱり例えがちょっと癪に触る!!」
福田「がはは、いい調子だ! 悠、この調子でどんどん奥の敵もミンチにしてやるからな! 終わったら……」
全員「「「「肉、焼こうぜ!!!」」」」
福田の口癖を全員でハモりながら、フレンドゲーターズは圧倒的な効率でダンジョンを突き進んでいくのだった――!




