作戦会議
「暴れ猪の骨亭」での盛大な宴会を終え、5人は青野が建てた頑丈なコテージへと戻ってきた。
カマドの火を木下(知力SS)が「出力0.0005%」の絶妙なとろ火に調整し、部屋を暖かく照らしている。
福田(パワーS・体力S)がすっかり消化不良から回復し、大テーブルの真ん中にギルドカードをドンと置いた。そこには、金文字でチーム名が刻まれている。
福田「よし、俺たちのパーティー名は『フレンドゲーターズ』で登録された。これからこの世界で本格的に稼いでいくわけだが……木下、現状の分析と今後の作戦を頼む」
一同の視線が、メガネなしの普通の男子高校生・木下へと集まる。木下はスッと顎に手を当て、脳内構成を作動させた。
木下「ふむ。今日のゴブリン戦でよく分かったけれど、僕たちの最大の問題点は『前衛と後衛のバランスがバグっていること』だね」
悠(体力E、他F)「バグってる、とは?」
木下「現在、まともに戦える前衛は福田くん(パワーS)ただ一人だ。青野くんは建築特化、僕は両腕マヒ(知力SS)、そして悠くんと瑛人くんはALL Fの動くお肉(ゴミ虫)だ。もし福田くんが今日みたいに腹を壊して寝込んだら、僕たちはゴブリン相手に泥水をすすることになる。これは非常に非効率的だね」
瑛人(ALL F)「返す言葉もないけど、言い方ァ!!」
木下「そこで提案だ。僕の『脳内構成』で、この村の近くにある『初心者向けのダンジョン(魔力結晶の洞窟)』を見つけた。そこはモンスターの強さが【D】程度で、福田くんがいれば一瞬で更地にできる。ただ、僕たちの目的は『福田くんに無双してもらうこと』じゃない」
青野(知力A)「あ、そっか。悠のスキルって『大器晩成』だもんな」
木下「その通り。悠くんの『大器晩成』は、強い敵の攻撃を受けたり、ダンジョンの濃い魔力を浴びることで急速にステータスが成長する仕組みらしい。今日のウサギ肉で体力がEになったのがその証拠だ」
悠「つまり、俺がそのダンジョンで修行すれば、もっと強くなれるってことか!?」
木下「うん。次のダンジョンで悠くんのパワーやスピードを【E】、いや【D】の一般人レベルまで引き上げる。これが第一の作戦だ。そして――」
木下は、静かに瑛人のほうを向いた。
木下「瑛人くん。君の『友達召喚』のストックは、今どうなっているのかな?」
瑛人「えっ? ああ……えーっと、ステータス画面によると、一度に呼べるのは今のところあと一人みたいだ。ガチのピンチになるか、名前を強く思い出す必要があるけど……」
木下「今回のダンジョンは、福田くんがいるからガチのピンチにはならないはずだ。つまり、僕たちが『意図的に名前を思い出す』ことで、次の新メンバーを狙って拉致できる」
福田「なるほどな。今の俺たちに足りないのは、福田をサポートできる足の速い前衛(スピード特化)か、あるいは遠距離から攻撃できる魔法使いや弓兵だな」
青野「クラスの奴で、足がめちゃくちゃ速い奴か、飛び道具が得意な奴……誰かいたっけ?」
カマドの火がパチパチと爆ぜる中、5人は次のダンジョン攻略、そして「次に異世界に拉致してくるクラスメイト」の選定へと頭を悩ませるのだった――。




