↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デスゲームに巻き込まれたと思ったら天国だった件〜きままな無人島サバイバルライフを満喫します〜  作者: 亀丸物産


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/36

三十三話 二十六日目〜二十九日目ーー過ぎていく四日間

 二十六日目。

朝日とともに目を覚まし、焚き火に薪をくべる。

炎を見つめながら、私はふと思った。

この生活にも、すっかり慣れてしまった。

最初は火を起こすだけでも必死だった。

飲み水を確保することも、魚を捕ることも、夜を迎えることさえ怖かった。

けれど今では、それらは呼吸をするように自然な日課になっている。


 海へ向かい、仕掛けを確認する。

魚が掛かっていれば持ち帰り、掛かっていなければ別の場所へ仕掛け直す。

果実を採り、雨水をため、拠点を手入れする。

その繰り返しだった。


 何日目なのか分からなくなるほど、同じ毎日。

それでも私は、小枝を一本ずつ折るように日数を数え続けていた。


 二十七日目。

朝、海は穏やかだった。

食料にも水にも困らない。

島で生きる術は、もう十分に身についていた。

もしこの生活を続けろと言われても、以前ほど慌てることはないだろう。

そんなことを考えた自分に、小さく笑ってしまう。


「人間って、慣れるものなんだな……」


 この島に来た初日には、想像もできなかったことだった。


 二十八日目。

夕焼けを眺めながら、一人で魚を焼く。

誰とも話さない日々。

聞こえるのは波と風、それに鳥の鳴き声だけ。

静かな時間は嫌いではなくなった。

むしろ、この静けさが心地よく感じることすらある。

それでも夜空を見上げるたび、思う。

この空の下で、他の誰かも生き延びているのだろうか、と。

答えを知る術はない。

だから私は、明日も生きるだけだった。


 二十九日目。

朝、拠点の周りをゆっくり歩いた。

最初は急ごしらえだった小屋も、何度も補修を重ね、雨風に耐えられる立派な住まいになっていた。

井戸代わりの雨水置き場。

肉を干すための棚。

焚き火を囲む石。

どれも、生きるために少しずつ作り上げてきたものだ。

私はその一つ一つに手を触れた。

この島で過ごした時間は、決して短くはない。

怖かった日も、苦しかった日も、死を覚悟した日もあった。

それでも私は、生き抜いた。


 夕暮れ。

水平線へ沈んでいく太陽を眺めながら、私は静かにつぶやく。


「いよいよ、明日で最後か……」


 明日、何が起こるのかは分からない。

迎えは明日なのか明後日なのか。

答えは分からない。

それでも私は、焚き火に薪をくべた。

炎は静かに揺れ、この島で過ごした日々を見守るように燃え続けていた。


 私は満天の星空を見上げながら、静かに目を閉じる。

長かった三十日間も、あと一日。

その思いだけを胸に抱きながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。