第六十六話 ただいま、わかな
久々に家に帰ると、わかなが抱き着いてきた
俺も、わかなに抱き着きたかったので
抱き着き返す
「..........ごめんな......こんなに待たせてさ」
わかな「ううん、大丈夫......」
「.......俺さ、やっぱり俺はわかなと一緒に居たい」
「............もう二度と、わかなを離さない」
「離したくない.......」
わかな「............」
「あ、束縛が嫌なら、俺は離れるけど」
そういって俺はわかなから、離れた
けれど次の瞬間、
わかながもう一度、俺の服をぎゅっとつかんだ
わかな「......嫌じゃない」
わかな「ずっと、そのままでいて」
わかな「離れないで......」
その顔は少し、涙目だった
「...........」
何も言わず、抱き着く
何も言わず、抱きしめる
ずっと、
この時間がほしかった
二人とも、ずっと
...........................................................................................................
わかなを抱きしめたまま、 俺はゆっくりと息を吐いた
「.........わかな」
わかな「.............?」
俺は、わかなの肩にそっと額を寄せる
声は震えていない
けれど、どこか深くて、静かで、重かった
「俺........アメリカで、ずっと考えてたんだ」
わかなは竜也の胸に顔を埋めたまま、 小さくうなずく
「友達もできなくてさ。文化も違うし、笑いのネタも違うし..........毎日、なんか置いていかれてる気がして」
わかな「........竜也」
「でも、それより一番きつかったのは........やっぱり、わかながいないってことだった」
わかなの肩が、びくっと震えた
俺は続ける
「電話してても、声聞いてても.........やっぱり、隣にいないとダメなんだって思った」
わかな「........竜也.........」
「俺さ、ずっと強いふりしてたけど......ほんとは全然強くなかった」
わかな「.........ううん........そんなこと.........」
「わかながいないと、俺はダメなんだよ」
その言葉は、 告白よりも重くて、 約束よりも深くて、 誓いよりも優しかった
言葉にした瞬間、
自分でも、それが本心だと分かった
わかなは俺の服をぎゅっと握りしめる
わかな「........私も.........ダメだった..........」
「わかな........」
わかな「毎日、電話してても.........声聞いてても........竜也がいないってだけで......心がずっと苦しかった........」
わかなの目から涙がぽろぽろ落ちる
俺はその涙を指でそっと拭った
「だから帰ってきたんだ」
わかな「.........え......?」
「わかなが必要だから。 わかながいないと、俺は前に進めないから。 それだけだよ」
わかなは泣きながら笑った
わかな「.......ありがとう..........竜也........」
俺はわかなをもう一度強く抱きしめる
「もう離れない。 離したくない。 ずっと一緒にいる」
わかな「......うん.......ずっと.......いたい」
二人はしばらく何も言わず、 ただ抱きしめ合っていた
その時間は、 二か月分の孤独を埋めるには十分すぎるほど温かかった




