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第七話 天を穿つ神々の盾

「敵弾道ミサイル、大気圏を再突入! 本艦隊着弾まで、あと120秒!」大和の第一艦橋に、オペレーターの悲鳴にも似た絶叫が響き渡った。統合ホログラフィック・ディスプレイの天頂から、24条の赤い光跡が、文字通り「神の放った矢」の如き速度で垂直に降り注いでくる。中国軍が誇る究極の空母キラー『DF―21D』および『DF―26』。大気圏外からマッハ10を超える超極超音速で落下する質量兵器は、既存のいかなるイージスシステムの迎撃計算をも置き去りにする絶望の具現だった。「総司令官、敵ミサイルは本艦大和、五大空母、そして大鯨型の全艦に狙いを定めています! 回避不可能です!」佐藤宏航海長が顔を蒼白に染め、新海努を振り返る。しかし、新海は動じなかった。深い紺色の海軍大佐の制服に身を包んだその佇まいは、東シナ海の荒波を前にしてもびくともしない巨岩のようだった。「慌てるな。我が第一機動艦隊の十三隻は、ただの『数』の集まりではない。それぞれが唯一無二の役割を持つ、神の体の一部だ。……そして我が大和型の真骨頂は、この51センチ砲にある」新海は艦長席の肘掛けにある赤いレバーを力強く押し下げた。「データリンク『アマノハラ』、最終防空フェーズへ移行! 大和、むさし、あまてらす、全主砲の制御を電探室へ直結! 51センチ電磁加速主砲レールガン、対空三式弾、装填!」『ハッ! 大和型三戦艦、27門のレールガン、オールオンライン! 常温核融合炉より電力最大チャージ!!』その瞬間、大和、むさし、あまてらすの3隻の前甲板・後甲板に据えられた51センチ三連装砲塔が一斉にうなりを上げた。巨砲の砲身が天を仰ぎ、垂直に近い仰角で固定される。砲身の周囲に組み込まれた超電導コイルから、バチバチと激しい青白い電磁光が放たれ、甲板全体が昼間のように照らし出された。「弾道ミサイルの軌道を逆算! 迎撃ポイント、高度4万メートル! レールガン、ロックオン!」「撃てぇッ!!」新海の怒声が響き渡ると同時に、27門の51センチレールガンが一斉に火を噴いた。ドォォォォォン!!!音速を遥かに超越したマッハ10以上の超高速で放たれた51センチ対空三式徹甲弾は、衝撃波によって東シナ海の海面を数百メートルにわたって陷没させ、空間そのものを震わせた。大気圏外からマッハ10で落下する中国軍のミサイルに対し、海面からはマッハ10以上の速度の「鉄の弾丸」が真っ正面から突き進む。高度4万メートルの成層圏。大和型のレールガンから放たれた51センチ砲弾は、設定された高度に達した瞬間、特殊な未来技術によって数万発の超硬硬質タングステン散弾へと炸裂した。空間に展開されたのは、文字通り「絶対不可侵の鉄の網」だ。ドガガガガガガガガガッ!!!成層圏で、まばゆい爆発の華が次々と咲き乱れた。大気圏外からの質量攻撃に対し、大和型のレールガンは物理的な圧倒的運動エネルギーの激突をもって回答した。マッハ10同士の衝突。中国軍の誇る対艦弾道ミサイル24発は、大和艦隊に届く遥か手前で、一発残らず粉々に粉砕され、燃え盛る鉄くずとなって夜空へと霧散していった。東シナ海を包む静寂。中国艦隊の総旗艦、最新鋭空母『福建』の艦橋では、司令官がモニターを凝視したまま、石のように硬直していた。「我が国の誇る東風ドンフォンが……24発すべてが、大砲レールガンで叩き落とされただと……!? 日本の戦艦は、一体どんな化け物なんだ……!」大和の艦長席で、新海努はゆっくりと腰を上げた。その目は、すでに防御ではなく、完全な「殲滅」の色を帯びていた。「世界よ、これが我が新生日本海軍、第一機動艦隊の力だ。守るための盾は十分に機能した。……ここからは、我々の覇道を示す時間だ」新海はディスプレイに映る、恐慌状態に陥った中国の3個空母打撃群を指差した。「全艦、データリンク『アマノハラ』、攻撃フェーズへ移行。空母『しなの』以下五大空母は航空隊による全面波状攻撃を開始。潜水艦『たいげい』以下五大鯨型は敵の退路を断ち、艦底から血祭りにあげろ。そして大和、むさし、あまてらす――51センチ主砲、次弾装填。敵の総旗艦『福建』を、海の底へ叩き落とす」十三隻の神々が、それぞれの最大火力を解放し、東シナ海を文字通りの焦熱の地獄へと変えるための総反撃が、今まさに始まろうとしていた。

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