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第二十八話 巨龍の神域

「三菱重工長崎造船所、特特極秘ドックより『神龍』の最終定格データが転送されました。……全長、九百八十七メートル」やまとの第一艦橋。その数値を読み上げたオペレーターの声は、自身の発した言葉の現実味を疑うように激しく震えていた。全長九百八十七メートル。一キロメートルに迫るその巨体は、新・大日本連邦の圧倒的な富と超技術が具現化した、まさに絶対的な覇王の城であった。「全長九百八十七メートル……。三菱の連中は、一体どれだけの鉄鉱石とレアアースをこの一隻に注ぎ込んだんだ」航海長の佐藤宏が、ホログラムディスプレイに映し出された『神龍』のあまりにも規格外な三次元シルエットを見上げながら、呆然と呟いた。「これこそが、私と三菱の設計陣が夢見た『絶対機動要塞』の究極系ですよ、佐藤」艦長席から立ち上がった総司令官・新海努大佐の眼鏡の奥の瞳には、重度のミリタリーオタクとしての狂気的なまでの歓喜と、世界を統べる指揮官としての冷徹な覇気が最高潮に燃え盛っていた。「これほどの巨体があれば、上下三段の超多段式マルチデッキの滑走路長はそれぞれ四百メートル以上を確保できる。日本製B―52Jの重爆撃機、そして幻の超大型爆撃機を近代化改修したB―36Jをも何一つ制約なく同時運用することが可能だ。今回は実戦テストを兼ね、B―52J三機、そしてB―36Jを二機、同時にスクランブル(大量射出)させろ! この圧倒的な重爆撃機編隊の鉄の翼で、空を完全に支配するんだ。さらに、その超巨大な船体の全周を覆うのは、三日前に換装準備が整ったばかりの『核レールガン三連装砲』と『レーザー波動砲三連装砲』。この一隻だけで、地球上のすべての大国の海軍を一度に相手取れる、まさに神の龍だ」その時、第一艦橋のデータリンク『アマノハラ』のインジケーターが、呉の総司令部からの緊急暗号通信を告げた。空間に浮かび上がった吉田京海軍少将の立体ホログラムが、不敵な笑みを浮かべて新海を見つめる。「新海総司令官、ハワイ沖の演習、および日本海北部でのロシア艦隊の殲滅を経て、世界は完全にパニックに陥っています。欧米の列強、および生き残ったアジアの大国たちは、我が国が手に入れた『全長九百八十七メートルの神龍』、および新たなる大和型『月詠』『紀伊』の存在を衛星画像で捉え、もはや通常の軍事手段では日本連邦に対抗できないと絶望しています」「当然の反応です、吉田少将。彼らはこれまで世界の警察として、あるいは大国として君臨してきた。そのプライドが、我が国の『九百八十七メートルの現実』の前に、音を立てて崩れ去ったのですから」新海は冷徹に言い放ち、軍用端末の画面をスワイプした。「全艦へ伝達。これより、呉の第一から第四ドックのすべてを開放し、第一機動艦隊のすべての主力艦――やまと、むさし、あまてらす、そしてもがみ型、金剛型、長門型のすべての主砲を、三日前に完成した『核レールガン三連装砲』および『レーザー波動砲三連装砲』へと完全に置き換える。そして、新大和型の『月詠』『紀伊』、およびこの全長九百八十七メートルの超巨大空母『神龍』を艦隊の中核へ編入せよ!」『ハッ! 連邦海軍、最終完全換装計画、執行します!!』呉基地の暗黒の地下ドックの奥深くで、常温核融合炉の莫大なエネルギーが眩い青白き光となって空間を狂気的に明滅させた。出力を半分に抑えられた試験段階のプロトタイプから、核レールガンとレーザー波動砲という「神罰の牙」を全身に纏った完全完成版の無敵艦隊へ。そしてその頂点に君臨する、全長九百八十七メートルの漆黒の巨龍『神龍』。世界を一つの秩序へと統一するための、人類史上最大にして最後の超巨大連邦艦隊が、いま白日の下へその圧倒的な姿を現そうとしていた。

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