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第二十二話:神々の黄昏

ハワイ沖の公開合同模擬演習は、西側諸国にとって、ただの技術敗北ではなく、自国のアイデンティティそのものが崩壊していく精神的破滅の儀式と化していた。全世界に向けて衛星ライブ配信されている超高解像度の映像。そこには、アメリカ海軍の最新鋭原子力潜水艦バージニア級三隻、そしてイギリス海軍のアスチュート級二隻が、大鯨型五大潜水艦の完全無音推進からの擬似飽和魚雷攻撃によって、一発の反撃すらできないまま深海の底で「全艦轟沈」の赤色判定を下される姿が映し出されていた。インターネット上の言論空間、そして欧米の各テレビ局のスタジオは、もはやお祭り騒ぎすら起きないほどの、底知れない静寂と恐怖に支配されていた。「空、海、深海。すべての領域において、現代の科学力は日本の超技術に完敗した」という冷酷な現実を、人類はこれ以上ないほど明瞭な形で突きつけられたのだ。しかし、米英豪連合艦隊の総旗艦、十万トン級の超巨大原子力空母『ジェラルド・R・フォード』の第一艦橋には、未だ退かぬ西側諸国の最後のプライドが、悲壮なまでの殺気を放って立ち込めていた。「空母二隻、巡洋艦、駆逐艦、そして潜水艦隊……我が方の全戦力の八割が、電子空間上で消滅したというのか」連合艦隊の総司令官を務めるアメリカ海軍の老提督は、血の気の失せた顔でホログラムディスプレイを凝視していた。彼の目の前に残されている青い光点は、自身が乗る『ジェラルド・R・フォード』と、姉妹艦『ジョン・F・ケネディ』、そしてイギリスの『クイーン・エリザベス』の、計三隻の超巨大空母のみ。護衛艦をすべて失い、裸同然で海原に孤立した三隻の洋上要塞。「提督、演習を即座に中止すべきです! これ以上の続行は、我が国の軍事的威信を完全に塵に帰すことになります!」幕僚たちが必死の形相で進言するが、老提督は静かに首を振った。その目は、狂気にも似た軍人の執念に燃えていた。「いや、演習は最終フェーズ(第四ステージ)だ。奴らはもがみ型四隻だけで我が艦隊をここまで蹂ンジた。だが、我々はまだ、新・大日本連邦の総旗艦――あの戦艦『やまと』の本当の限界データを目にしていない。ここで退けば、我が国は永遠に日本の軍事力に怯えて暮らすことになる。三空母の全出力を回し、残存するすべての対艦ミサイル、および艦載機による、距離ゼロからの『近接自爆打撃デス・ラン』を敢行する。戦艦『やまと』を引きずり出せ!」世界最強の国の、誇り高き最後のあがき。生き残った三隻の巨大空母が、常温核融合炉を持つ日本の艦隊に対し、自らの巨体を最高速度で突撃させながら、全兵装を解放する最後の突撃を開始した。その悲壮な艦隊の航跡は、全世界のカメラによって白日の下に鮮明に映し出されていた。

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