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第二十一話:深海の神域

 ハワイ沖の輝く青い海原は、今や西側諸国のプライドが白日の下で完全に瓦解していく、残酷な公開処刑の舞台と化していた。全世界にリアルタイムで同時配信されている超高解像度のライブ映像。その画面には、アメリカ海軍の最強巡洋艦やオーストラリアの最新鋭駆逐艦『ホバート』が、もがみ型航空戦艦四隻の右半分から放たれたマッハ十の電磁加速疑似砲撃を浴び、一発の反撃すらできずに「全艦撃沈」の判定を示す真っ赤なホログラム光に染まる姿が映し出されていた。画面の向こうで世界中の軍事評論家たちが絶叫し、ネット空間が驚天動地の嵐に包まれる中、米英豪連合艦隊の総司令部であるアメリカの超巨大原子力空母『ジェラルド・R・フォード』の作戦室は、通夜のような静撃に包まれていた。「空も、海の上も、我が方の最新鋭戦術がすべて紙切れのように破られた……。奴らはまだ、戦艦『やまと』すら前線に出していないのだぞ……」米軍の司令官が、血の気の失せた顔でモニターを見つめながら拳を震わせる。しかし、西側諸国の執念はまだ潰えてはいなかった。彼らには、この公開演習の裏で、密かに仕込んでいた「最後の absolute 切り札」が存在していたのだ。「演習第三フェーズ、開始。新海総司令官、水上の大勝利に沸いている暇はありません」呉基地の総司令部からデータリンクを通じて、吉田京海軍少将の冷徹な声が響く。「米海軍の誇る世界最強の隠密兵器――バージニア級原子力潜水艦三隻、およびイギリス海軍の最新鋭アスチュート級原子力潜水艦二隻が、演習開始前から完全無音でハワイの深海に潜伏していました。彼らは空と海の戦闘データを囮にし、我がもがみ型四隻の真下、ソナーの死角となる海連続層へと完全に潜り込んでいます」米英の狙いは、水上での敗北と引き換えにしてでも、日本の艦隊の真下から疑似魚雷を放ち、もがみ型の「水中防御能力データ」を完全に剥ぎ取ることだった。「なるほど。表の華やかな舞台の裏で、泥に塗れた暗殺者を忍ばせていたわけですか。実に見事な、西側諸国の執念の表れだ」超音速連絡ヘリから呉基地へ帰着し、司令部のメインコンソールを操作する新海努大佐の眼鏡の奥の瞳には、重度のミリタリーオタクとしての「狂気的な歓喜」が再び燃え上がっていた。新海は端末を叩き、ハワイ沖の深海エリアの3Dホログラムを展開した。「彼らはもがみ型をハサミ打ちにしたつもりでしょうが……彼らは忘れている。我が第一機動艦隊には、深海の生態系の頂点に君臨する『本物の怪物の群れ』が随伴しているということを。大鯨型潜水艦五隻――『たいげい』『じんげい』『ちょうげい』『はくげい』『らんげい』。いつでもいけますね?」新海の言葉に応じるかのように、ハワイ沖のさらに深い暗黒の深海、水深六百メートルの極限の世界で、五隻の黒き巨体が音もなく駆動を開始した。大鯨型五大潜水艦は、常温核融合炉による完全無音推進システムを稼働させ、演習開始から一度もスクリュー音を立てることなく、米英の最新鋭原子力潜水艦五隻のさらに「真下」へと先回りしていたのだ。「データリンク『アマノハラ』接続維持。ターゲット、米英原子力潜水艦五隻。……深海疑似魚雷、全管開放」深海の王たる一番艦『たいげい』の艦橋AIが、冷酷な音声でロックオンを告げた。米英のバージニア級が、頭上の『もがみ』へ向けて疑似魚雷を発射しようとハッチを開いた、まさにその瞬間だった。彼らのソナーハイドロフォンに、自らの真下の暗黒から、現代の科学では到底不可能な速度で接近する、猛烈な「音響疑似魚雷」のシグナルが同時に数十発も叩きつけられた。「な、何だこの音は!? 真下から無数の魚雷が接近! どこから湧いて出た!?」「ダメです! 敵の潜水艦の駆動音が今の一瞬まで一切感知できませんでした! 完全に……完全に包囲されています!」ドォォォォォン!!!海水を引き裂くような疑似着弾の衝撃音(電子判定)が、ハワイの深海に幾重にも木霊した。世界最強と謳われたアメリカのバージニア級三隻、そしてイギリスのアスチュート級二隻は、自らの魚雷を放つことすら許されず、大鯨型五隻の圧倒的な隠密性と未来の水中VLSによる飽和魚雷攻撃の前に、深海の底で一瞬にして「全艦撃沈」の判定を突きつけられた。全世界のライブ配信画面に、今度は深海の戦闘シミュレーション結果がリアルタイムで投影される。【米英原子力潜水艦隊、計五隻、完全全滅】その冷徹な赤文字が画面を埋め尽くした瞬間、ハワイの海を見つめていた全世界の視聴者、そして米軍の総司令官は、あまりの次元の違いに声を失い、ただただ机に突っ伏して絶望するしかなかった。空、海、そして絶対に負けないはずだった深海までもが、新・大日本連邦海軍という「神話」の前に、完全にひれ伏したのだ。

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