第十八話 神罰の閃光
日本海の海原に、不気味なほどの静寂が訪れていた。空から降り注いだ百二十発の核ミサイルを右半身の主砲で叩き落とし、深海から忍び寄った二十隻の潜水艦隊を左半身の航空隊で屠った四隻の一等航空戦艦――『もがみ』『みくま』『すずや』『くまの』。その中央にそびえ立つ、たった一つの巨大な統合型艦橋の内部は、次なる、そしてこの戦争のすべてを終わらせるための最終絶対宣告の光に満たされていた。一番艦『もがみ』の艦橋コックピット。戦術AIの冷徹な合成音声が、静まり返った空間に秒読みを開始する。『対地巡航ミサイル、全門ターゲットロック。目標、平壌・最高指導部地下要塞、および国内すべての全軍事基地。戦術核弾頭、起爆システムオンライン。発射十秒前……五、四、三、二、一――』「全艦……てーっ!!!」新海努総司令官の怒号が艦橋を震わせた瞬間、東シナ海の決戦を遥かに凌駕する、人類の歴史上最大の「光の柱」が夜の日本海に突き立った。四隻のもがみ型の甲板。右半身の戦艦セクションと、左半身の空母セクション。その二つの歪な境界線の隙間にびっしりと敷き詰められた、合計二百門を超える水中・水上ハイブリッドVLS(垂直ミサイル発射装置)が、爆発的な咆哮とともに一斉に火を噴いたのだ。そこから解き放たれたのは、未来技術と莫大な地下資源によって二回りも巨大化され、そのすべてに「戦略核弾頭」を搭載した、もがみ型独自の超大型対地巡航ミサイルであった。ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴガァァァァァン!!!!海面を強制的に押し割るような凄まじい衝撃波が広がり、もがみ型四隻の巨体が一瞬で見えなくなるほどの圧倒的な白煙と爆炎が日本海を覆い尽くす。一発、五十発、百発、二百発――。夜空を埋め尽くした巨大核ミサイルの群れは、まるで天の怒りが地上へと降り注ぐ「業火の雨」の如き圧倒的な質量となり、朝鮮半島へ向けて超音速で殺到していった。二百発のミサイルが放つ純白の光だけで、夜の日本海は真昼をも超える眩しさで白く照らし出され、波が怪しく輝いている。その頃、平壌の最高指導部が潜む地下数百メートルの巨大シェルターでは、首脳陣が完全に狂乱の叫びを上げていた。「迎撃しろ! レーダーに映るこの無数の核熱源は何だ! 一体何が向かってきている!」「ダメです! ミサイルが大きすぎます! 我が国の既存の対空砲や迎撃システムでは、あの巨大な重装甲に傷一つ付けられません! 質量が、速度が、すべてが違いすぎる! 着弾まで、あと十秒……五秒……う、うわぁぁぁッ!!」ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!!朝鮮半島の全域、そして平壌の中心地において、数十発の「純白の太陽」が完全に同時に爆発した。もがみ型四隻から放たれた戦略核ミサイルの二百発一斉飽和攻撃は、最高指導部の地下シェルターを、周囲のすべての軍事基地ごと、数百万度の超高熱と異次元の衝撃波によって一瞬にして融解・消滅させた。爆発の凄まじい風圧だけで周囲の山々の地形が削れ、平壌のすべての軍事能力、そして傲慢な首脳陣は、一発の反撃の猶予すら与えられず、一瞬にして地球上から完全に蒸発していった。「……平壌、および北朝鮮全域の軍事拠点、完全消滅を確認。敵の生命反応、戦闘継続能力、ともに完全にゼロ。我が第一機動艦隊、もがみ型艦隊の、完全なる圧倒的大勝利です!」オペレーターの震える報告が、後方で控えていた戦艦『やまと』の第一艦橋に響き渡った。新海努大佐は静かに艦長席へと腰掛け、眼鏡を外して深く息を吐き出した。韓国の平和的な連邦合併、そして理性を失って牙を剥いた北朝鮮の完全なる崩壊。もがみ型四隻が魅せた、左右非対称のハイブリッドな超火力は、東アジアの軍事勢力図を完全に一枚の真っ白な紙へと戻したのだ。「世界よ、見たか。これが我が新大日本連邦の覇道だ」新海は静かに告げた。隣に立つ航海長の佐藤宏も、その圧倒的な終焉の光景に、言葉を失ったまま深く頷くだけだった。ミリタリーオタクとしての知識を超えた、本物の世界の覇王としての力が、今自分たちの手にある。しかし、この圧倒的な核の洗礼は、太平洋の向こう側で静観していた「アメリカ海軍」、そして「ロシア軍」を、本物の狂気へと駆り立てる引き金に過ぎなかった。東アジアを完全に手中に収め、地球上のすべての大国を敵に回した、本当の意味での世界統一戦争の幕が、今まさに上がろうとしていた。




