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第十五話:引き金

「――速報です。北朝鮮の朝鮮中央テレビは先ほど、特別重大報道を放映しました」『新・大日本連邦』へと名を変えた総司令部の大型モニターに、見慣れた北朝鮮のアナウンサーの姿が映し出されていた。背後の画面には、韓国が日本との合併(連邦化)を選択したことに対する、激しい憤怒の言葉が並んでいる。『南朝鮮の裏切り者どもが島国に魂を売り、我が民族の尊厳を泥泥に踏みにじった! 連邦化は事実上の侵略であり、断じて容認できない! 我が共和国の全人民軍はただちに戦闘態勢に入り、核兵器を含むあらゆる戦略火力を以て、邪悪なる島国とその傀儡を地球上から消滅させる!』「完全にぶち切れてますね」佐藤宏航海長が、呆れたように頭を掻きながらホログラムディスプレイを操作する。韓国が日本と合併したことで、北朝鮮は一瞬にして「目と鼻の先」を日本海軍の最前線に変えられたのだ。その恐怖と屈辱が、彼らの理性を完全に吹き飛ばしていた。「新海総司令官、平壌周辺の弾道ミサイル基地、および潜水艦基地に急速な作戦行動を検知。奴らは本気で、新生連邦となったばかりの旧・韓国領土、そして我が国の主要都市へ向けて、戦術核ミサイルの一斉発射(飽和攻撃)を仕掛ける構えです」吉田京海軍少将が冷徹な声で告げる。艦長席から立ち上がった新海努大佐は、眼鏡の奥の瞳を獰猛に輝かせた。ミリタリーオタクとしての彼の脳内には、すでに北朝鮮人民軍の全戦力データが完全にインプットされている。「数だけは多い旧式兵器の山、そして無謀な核の恫喝か。……面白い。もがみ型四隻の初陣に続き、今度は我が第一機動艦隊の『真の矛と盾』で、平壌の妄想を完膚なきまでに打ち砕いてやろう」新海はデータリンク『アマノハラ』を起動し、呉で整備を終えたばかりの神話の艦隊へ、冷酷な出撃命令を下した。「戦艦『やまと』『むさし』『あまてらす』、ただちに抜錨、日本海へ急行せよ! 同時に、大鯨型五大潜水艦『たいげい』以下全艦、潜航を開始し、朝鮮半島周辺の海域を完全に封鎖。奴らのオンボロ潜水艦が一歩も外洋へ出られないよう、深海で網を張れ!」『ハッ! やまと型三戦艦、出撃! 大鯨型五大潜水艦、日本海へ展開します!』新・大日本連邦の誕生を祝う歓声が冷めやらぬ中、朝鮮半島の緊迫は一気に極限へと達した。韓国を合併した日本海軍と、核の引き金に指をかけた北朝鮮。アジアの勢力図を完全に塗り替える、新たな大決戦の幕が今、静かに上がろうとしていた。

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