たましいの神
ぼくは魂の神ソウルだ。
世界中を旅して美しい魂を収集している。
魂のレベルが高い者ほど魂は美しい。
色も輝きもすばらしい。
まったくにごりがないんだ。澄み切ってる。
集めた魂は美術館に飾ってみんなに自慢している。
来場者も非常に多い。
みんなこんな風な魂になりたいって感じてるだろうね。
教育にもとてもいい。
美しい魂になるには美しく生きなきゃいけない。
徳を積んでる者ほど魂はきれいなんだ。
ぼくも旅をしてない時は日がな一日中、美術館にこもりうっとりしてる。
ある日、猫の国を旅していたら、とんでもなくきれいな魂を発見した。
その子は上等な着物で従者と手を繋いで歩いている。
おもわず声をかけた。
「きみすごくきれいだね」
美人な従者が立ちはだかる。
「ナンパはやめてください。ロリコンさん」
「ナンパじゃないよ。ぼかぁ魂の蒐集家だよ」
従者はぼくをガン見する。
「貴方・・・もしかしてソウル様ですか?」
「そうそう。よくわかったね」
「ソウル神は世界中をめぐり美しい魂を集めてるとウワサで聞いております。猫姫様に目をつけるとはお目が高い」
「ねーねーなんのおはなし?このひとだあれ?」
「ぼくは魂の神ソウルだよ。すべての魂の管理者だ」
「えらいかみさま?」
「宇宙で1番偉い神だよ」
「へーしゅご〜い」
「きみいくつ?」
「5さい」
「きみの魂をぼくにちょうだい」
両手をそろえて笑顔で差し出す。
「やっ!魂は抜かれると死ぬもん」
「かしこいね。でもぼくは死神じゃないんだ。そのまま魂を抜いたりしない」
ぼくは猫姫の額に指を触れる。
「分け御霊の術を授けたよ。わけみたまって唱えてごらん」
「わけみたまっ!」
猫姫のとなりにもう1人の猫姫が現れる。
「これはきみの分霊だ。じゃあ、もらって行くね。ありがとう」
ぼくは猫姫の手をとって歩き出す。
「あたしが連れて行かれちゃう!」
「だいじょうぶです。魂美術館に行けば会えます。今度いっしょに行きましょう」
「うん!」
「ぜひおいでませ~」
ぼくは振り返って2人に手を振る。
猫姫を連れて魂の国に戻った。
美術館に猫姫を連れて行く。
「猫姫ちゃん魂だけになってくれる?」
「はい」
猫姫は言われた通り魂だけの存在になる。
美術館は魂がよく見えるように暗くしてある。
魂の輝きで明るいから灯りはいらないんだ。
「純白だねぇ。驚きのしろさ。この輝きの強さはまるで太陽だ」
色も輝きも申し分ない。
いいコレクションがまたひとつふえた。
好きなものに囲まれていると笑顔になれるね。
美術館には色鮮やかな魂たちが浮かんでいる。
分け御霊は神様の分身で「元の神様と全く同じ力や御利益」を持っている。
神の霊は無限に分けることができ、いくつに分けても元の神霊の力は衰えない。
分け御霊できるのはぼくが認めた神だけだ。
ぼくが気に入ったら「分け御霊の術」を授けて分霊ができるようにしてあげる。
人気のある神はいろんなところにお呼ばれするからね。
神社も神様の御霊を分けて、別の場所(他の神社や家庭の神棚など)に祀るだろ?
分霊には家を用意してあげなきゃいけない。
ぼくは分霊たちに魂の美術館で暮らしてもらってる。
一年中、魂が快適に感じる湿度や温度に保っていた。
退屈しないかって?
他の魂と交流してるし、神は下界の暮らしを好きにのぞけるからだいじょうぶ。
猫姫の魂は評判を呼び1番人気になった。
猫姫も家族と家来を連れて遊びに来る。
彼女は自分の魂と対面してはしゃいでいた。
館内の喫茶店で猫姫と話す。
「美しい魂をどうやって見つけてるの?」
「心眼だよ。100000年ぐらい修行すればだれでも身につく」
「どんな修行?」
「目を閉じてすべてを心の目で見るんだ」
「100000年も目を閉じて暮らすなんてムリゲーだね」
「ここなら心眼がなくても楽しめるから厳しい修行はいらないよ」
「それはそうだけど、心眼マスターしたいなぁ」
猫姫はテーブルにあごえおのせてくちびるをとがらせた。
他人の魂を観察するのは面白いからね。
心眼は欲しい気持ちはわかる。
いつか挑戦して欲しい。神の寿命は無限なのだから。
生きるのに飽きてみずから霧散する神が多いけどね。
猫姫たちを見送って展示室に戻る。
とにかく美しい魂は永遠に観ていてもあきない。
でも、ダメなんだ。
魂探しを続けないといけない。
燃え盛るコレクター魂はおさえられない。
今度はどこへ行こうか。
ひさびさに妖精界がいいかな。
ぼくはまだ見ぬ魂を探して旅立った。




