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人魚姫伝説

わたしはマリンに向けて剣を構える。

相手が槍だからこっちも槍のほうがいいんだろうけどね。

槍はぜんぜん使わないから剣のほうがマシ。

「ほないきまっせ。シャボンアワー!」

マリンはトライデントをこちらに向ける。

先っぽから野球ボールぐらいの泡が連射される。

わたしは避けながらマリンに接近した。

マリンはトライデントを上に向ける。

「ゴッドサンダー!」

落雷が連続して降ってくきたのでこれもかわす。

「ウォーターカッター!」

マリンが振ったトライデントから水の刃が複数飛んでくる。

これも飛んだりしゃがんだりしてかわす。

魔法攻撃がはやくてなかなか近づけない。

霊力切れを狙うのもありかな。

「すばしっこいどすなぁ。ぜんぜんあたりまへんわ」

マリンは攻撃を止めて頬に手をそえる。

戦闘中なのにおっとりしてるなぁ。

チャンスなのでダッシュで近づいて斬る。

「はやすぎでっしゃろ」

マリンはトライデントで受け止めた。

剣と槍の攻防が続く。

のんびり口調に似合わず槍を振るうスピードが早い。

槍の先がみつまたに別れてるから避けたと思っても頬が切れたりする。

やっかいだな。

戦いづらさを感じているとマリンはニンマリ微笑んだ。

「この距離なら魔法もあたりそうでんなぁ。

「!?」

まずい。トライデントは魔法の杖でもあるんだ。

気づいた時には手遅れだった。

「シャボンアワー!」

マリンは連続突きを繰り出しながら魔法を唱える。

槍の先から連射されたシャボン玉が顔面を襲ってくる。

「いだだっ!」

至近距離でゴムボールを何個も投げつけられてる感じだ。

地味に体力を削られる。

「やめて!」

ぶん!っと剣を振るとマリンは槍を上に向けて柄で防ぐ。

「ゴットサンダー!」

落雷が連続してあたしに降り注ぐ。

「うぎゃぁ!」

しびれて動けないわたしに向かってマリンは槍を薙いだ。

「ウォーターカッター!」

複数の水の刃がわたしの体を切り裂く。

鮮血が舞う。

サメが寄ってきそうだな。

わたしは海底に沈む。

「がんじょうでんなぁ。切り刻んだつもりやったのに」

あおむけに倒れているわたしを見おろしてマリンはあきれている。

神人合体で霊力により防御力が大幅にアップしてるからね。

肉体はどうにか原型をとどめてる。

「トドメどす」

「待って!さいごにひとこといわせて」

「ゆいごんどすか?ゆるしまひょ」

わたしは祈りのポーズをとる。

「時の旅人に永遠を与えよ。情熱の薔薇で埋め尽くす氷の棺!」

「なんですと!?」

マリンの体は氷におおわれた。

わたしが詠唱したのは古の氷魔法だ。

妖精界で妖精に教えてもらった。

ただの魔法に詩をつけることで効果は爆発的に上がる。

さらにここは海底なので氷魔法の威力は絶大だ。

薄氷の勝利だね。

マリンと熱帯魚の体が光だす。

海底に人魚姫が誕生した。

「うちをだましたんどすなぁ?ゆるしまへんでぇ!」

マリンは髪を逆立てる。

この子浮気を許さないタイプだなきっと。

「リップカレントッ!」

トライデントの先が黄金に輝く。

離岸流が発生する。

海流が速すぎて逆らえない。

何もできず流れに身を任せるだけだ。

人魚であるマリンだけがすいすい泳げる。

あーカッパになりたい!

マリンは唇の端を吊り上げる。

「粉々にしてハタタの餌にしてやりまっせ!」

ハタタとは守護霊の熱帯魚だろう。

わたしは盾を作った。

モデルは女神アテナの持つアイギスの盾だ。

どんな攻撃も防げるという。

「ムダな抵抗やわ!」

マリンは槍を握りしめて渾身の力で突いてくる。

何度も突きを受けるとドガッ!と音がして盾は砕け散った。

しょせんわたしのイメージで作った盾だから限界はある。

でも時間稼ぎはできた。

離岸流の長さは最大で数100メートル。

離岸流から逃れてもマリンからは逃れられない。

使ったこともない薙刀を作ってぎこちなく振り回す。

「なんやそれ?ぜんぜん腰が入ってないやんか!」

槍の猛攻に押されて海底まで下がる。

薙刀を弾かれたわたしはマリンに背中を向ける。

その場で地面に伏せて羽をパタパタとすばやく羽ばたかせた。

「エイの真似でっか?じょうずに隠れるまでまったりまひょ」

マリンはケラケラ笑う。

大量の砂煙が視界を埋め尽くした。

「けほけほっ。うっとうしいわぁ」

わたしは立ち上がり瞬時に作ったネットランチャーを撃った。

マリンは網に絡まってもがく。

やっぱり魚には網だね♩

「こんなん簡単に抜け出したるわ!

「金属入ってるから簡単に切れないよ

マグロ解体用の長い包丁を作って掲げる。

「3枚におろさせてもらうね♩」

マリンは青ざめる。

「たんまどす!うちの負けどす!堪忍しておくれやす!」

マリンが泣き叫ぶので脅すのはここまでにした。

霊力がまだ残っているので魔法を無駄撃ちさせて空っぽにさせる。

網は斬ってあげた。

「さんきゅーどす。お寿司にされたらどうしようかと思いましわぁ」

「人魚寿司かぁ。不老不死になれそうだね♩試してみよう」

「なれまへん!あきまへん!」

「じょーだんじょーだん♩」

わたしはしょんぼりしてるマリンを連れて夜霧ちゃんとびぐるくんのもとへ向かった。

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