表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣乱のゲノム  作者: 大野 響
ドゥニア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/58

赤い雨

前エピソード51(嫌な予感)の最後に、ミランとウガの会話を追加しています。それを読んでから、今回の52(赤い雨)を読んで下さい。

(施設の中に森田とヘイズがいることを、ウガがミランに伝えています)

 ゴンタと戦う菅原。

 遠くへ飛ばされていた志穂は、気配を消して戻って来ると、岩陰に隠れた。

 岩陰から、ゴンタの背後に向かって銃を撃つ志穂。その一発が、ゴンタの心臓を貫いた。

 ゴンタの動きが止まった瞬間に、菅原はゴンタの頭に剣を突き刺した。

「ヴァッ!」

 ゴンタはそのまま地面に倒れた。


 肩で息をする菅原のイヤホンから、音声が流れた。死の雨が降る、という真歩からの指令だった。

(死の雨!?なんだそれは)


 菅原は志穂に声をかけた。

「水川、すぐラボに避難だ!」

「ええ!」

 走り出そうとした菅原の足首を、まだかすかに息のあったゴンタが掴んだ。

 慌ててバランスをとった菅原は、ゴンタの方を振り向いて言った。

「もうすぐ死の雨が降るらしい。降伏するなら、俺達と一緒に来ても構わない!」

「ケッ!雨に打たれるのは、お前達のほうだぜっ」

 そう言うと、ゴンタは腕を振って菅原を地面に叩きつけようとした。

(まずい!)

 菅原は力を振り絞り、ゴンタの腕を剣で切り落とした。

 うめくゴンタ。

 するとその時、志穂が空を指差した。

「見て!もう雲が広がってきた!」

 

 志穂と菅原が空に気を取られている間に、イリーナは鋭い歯で体の縄を解き、上空へと飛び上がった。

「おい、戻れ!外は危険だ!」

「はぁ!?あんた達なんかと一緒にいられるわけないでしょ!汚らわしい!」

 イリーナは捨て台詞を吐き、羽ばたいた。

 菅原はイリーナを止めようと手を伸ばしたが、それを志穂が止めた。

「もう時間がないわ!ラボに入りましょう!」

「···クッ」

 仕方なくイリーナに背をむける菅原。

 二人がラボの屋根の下に入ったのと、雨が振り出したのは、ほぼ同時だった。


 それは、悲しみに色をつけたような赤い雨だった。

 空を飛んでいたイリーナは、雨に打たれると飛べなくなり、地上へと落ちてしまった。

「キャァッ」

 落ちて倒れたイリーナは、小さな叫び声を上げた。その体は、雨に打たれるうちにボコボコと皮膚が膨れ上がった。そして破裂したかと思うと、中から無数の羽虫が飛び出してきた。

「アァッ」

 白目を剥いたイリーナは、飛び出してきた羽虫に囲まれて姿も見えなくなった。

 雨に打たれたゴンタも同じように、羽虫が群がっていた。


「嘘···」

 驚いて絶句する志穂。

「ここは危ない。もっと中に入ろう」

 志穂を連れ、ラボの中へ避難する菅原。



 ミランとマモルが飛んでドゥニア教の施設に着くと、先に施設の前に着いていたガクと蒼太が、ベルルとケイラに銃を向けていた。

「なによあんた達、ケガ人を撃つつもり!?だからニンゲンってキライなのヨ!」

 ガクと蒼太に向かって、まくし立てるベルル。

「さんざん人類を痛めつけてきたのはそっちだろ!」

 蒼太が反論した。

 そこへ、ウガとユリカ、アランと風人が施設に到着した。

 

「蒼太、ガク、銃を下ろして!今は争うより、中に入らなきゃ」

 ミランが冷静に判断した。

「そうヨ!そうヨ!」

 ベルルがミランに賛成した。

「まぁ、そうだな」

 蒼太とガクは銃を下ろし、皆で屋根の下に退避した。

 ミランが近くにあった扉を閉めようと手を伸ばすと、ウガがそれを止めた。

「おい、扉を閉めるのは待ってくれないか?ペイトンがまだ戻って来ないんだ」

「ペイトンまでここに招き入れるつもりか?さすがに危険じゃないかな」

 ガクがウガに懸念を伝えた。

「あいつは話せばわかる奴だ。俺が保証する」

 ウガがそう言うと、アランが上空を指差した。

「あれ···来たぞ!ペイトンだ!」

 アランは、ダンを抱きかかえるようにして飛ぶペイトンを指差した。


「早くしろー!」

 叫び、走り出すウガ。

「ウガやめろ、もう雨が降る!」

 施設の外に出ようとするウガを、アランが抱きしめて止めた。

「ペイ···トン」

 ベルルのそばで倒れていたケイラは、意識を取り戻して床をはいながら、扉へ向かった。

「あなたもダメよ」

 ミランが、ケイラの前に立ちふさがって止めた。


 ペイトンがもう少しで地上に降り立つ、と思われた所で、無情にも雨が降り始めた。

「ペイトーン!」

 外に向かって手を伸ばすウガを、必死に止めるアラン。

 ペイトンとダンに振り注ぐ雨。二人は地上に折り重なるように落ちてきたかと思うと、たちまち皮膚が膨れ上がった。そして無数の羽虫が飛び出した。

 異様な光景を前に、動きが止まるアラン達。


 ミランが口を開いた。

「あの虫は危険だと思う!もっと中に入って扉を閉めよう!」

「ああ!」

 ミランの判断で、皆は扉を閉めた。


 眉を寄せ、両手で顔を覆うウガ。室内に沈黙が広がった。

「ウガ、ここにはヘイズもいるんだろ?」

 アランがウガに尋ねた。

「ヘイズが!?」

 驚くガクと蒼太。

 ウガは頷いた。

「そうだ。奥から奴の匂いがするから間違いない」

「じゃあ、奥に行くしかないな。ヘイズがいる限り、ここにいるのも危ない」

 アランは腰の銃に手を伸ばした。

「私も行く!」

 ミランが言うと、僕も、とマモルが続いた。

「俺も行く。ガク、お前達はここでケイラとこの翼竜を念のため見張っててくれ」

 ウガがガク達に指示を出した。

 頷くガク。


「驚いた。私を見捨ててドゥニアから出て行ったくせに、名前は覚えていたの?」

 ケイラがウガを睨みつけながら聞いた。

「あの時は悪かった。まだ2歳だったお前を連れて逃げられるほど、俺達に余裕はなかったんだ」

 ウガが素直に謝り、ケイラは唇を噛んで俯いた。


 入口から奥へと歩みを進めるアラン達。

 しばらく施設内を探していたアランは、血痕を見つけて、近くにいたミランとマモルを呼んだ。

「見てくれ。血痕がこっちに続いてる」

「本当だ。この血の匂いは、班長じゃなさそうね」

 ミランが言った。

「ああ。まずはこれを辿ってみよう」

 アランとミラン、マモルは無言になって進んだ。



 血痕を辿って辿り着いた部屋にアラン達が入ると、扉が急に閉じた。すると、手榴弾を手に持った血だらけのヘイズが現れ、天井に向かっていきなり手榴弾を投げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ