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獣乱のゲノム  作者: 大野 響
ドゥニア編

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嫌な予感

多数の大ネズミが暴れる混乱の中、アランは右手に剣、左手に銃を持って大ネズミを切り、ゲノマーと戦った。


(ネズミが混乱して暴れてる。きっと、ネズミを集める超音波と、退散させる超音波が同時に聞こえるせいだ)

 空中を飛びながら攻撃していたミランは、暴れるネズミを見ながら推測した。

 そこへ、ケイラがミラン目掛けて銃を撃った。

 ケイラの動きに気付いたアランは、ケイラが発射させた銃弾に向かって銃を撃ち、銃弾の軌道を変えた。


「アラン、ありがとう!」

 ハッと気付いたミランの下へやって来る、ケイラ。ミランに向かって剣を振るった。ミランも剣で応戦し、空中戦となった。


 アランの下にはイザックが現れ、剣と剣のぶつかり合いとなった。


 アランの側で大ネズミと戦っていた風人の下にやって来た、ゲノマーのグンゾ。大ネズミの陰に隠れながら風人の背後に回ると、首元にナイフを突き付けた。


 頭から出した針でイザックの目を潰したアランは、剣でその首を切り、銃で心臓を撃ち抜いた。

 その場に倒れるイザック。


 ふぅ、と一息ついたアランの背後で大口を開ける大ネズミに向かって、風人が銃を撃った。

「風人、サンキュー」

「お、おう。アラン、ちょっとこっちに来てくれ!班長が大変なんだ」

「班長が!?」

 慌てて風人について行くアラン。

 風人に呼ばれて木々の茂る場所まで来たアランの下に現れた、3人のゲノマー。

 グンゾが風人に銃を向けた状態で、ゲノマーのヴィヴィとダンが、アランの腹を縄で木に縛り付けた。そして、アランの両手のひらを木に押し当てると、短剣を刺した。

「ゔぁぁっ!!」

 うめくアラン。咄嗟に、ミランと決めた緊急時用の超音波を出した。

(ミラン···助けてくれ···)


「風人、よくやった。これでお前もドゥニアの一員だ」

 アランから少し離れた場所で、薄笑いを浮かべるグンゾ。その隣で、顔を引きつらせて笑う風人。



 「danger」と書かれた部屋に到着した森田。

 ヘイズがスイッチを押すのを目撃した。スイッチが押され、動き出す施設の天井。


「そのスイッチはなんだ!?ヘイズ、お前は一体、何をした!」

 森田は銃を構えながら、怒りを含めた声で聞いた。


 天井の機械は、ゴゴゴ、と動き続けている。


 ヘイズが、虚空を見つめながら笑顔を浮かべた。

「この醜い顔のせいで、私はずっと孤独だった。親もクラスメイトも教師も、誰もが私を避け続けた。ずっと研究していたカエル達も、愚かな人類のせいで絶滅に追い込まれた。その時に誓ったのさ。この醜い私を、人類を、いつか全部丸ごと粛清すると!地球を汚してばかりの愚か者達は、死の雨で浄化してみせる!」


 ヘイズが話終える前に、天井が開いてミサイルのようなものが発射された。


 ハッとした森田がミサイルに向けて銃を撃ったが、ミサイルはもう放たれた後だった。

(死の雨!?嫌な予感がする)


 話を終えたヘイズが、スイッチの側にあった瓶を森田に向かって投げた。それとほぼ同時に、森田がヘイズに向かって銃を撃った。

 その場に倒れるヘイズ。

 瓶の中から飛び出した液体が、森田の体に少しかかってしまった。

(この液体は何だ!?体が熱い!!)


「小幡ー!伝えてくれ!死の雨が降る前に、全員屋内に退避せよ!!」

 森田は体を震わせながら叫んだ。

 森田にかかった液体から煙が立ち上り、森田は煙に包まれて見えなくなった。


 倒れたヘイズは血を流しながら、ゆっくりと歩き始めた。



 村の中で、カルムとともに電子端末の音声を聞く真歩。

森田から、雨が降る前に全員屋内に退避せよ、という音声が聞こえ、カルムと真歩は目を合わせて頷きあった。



 手のひらに短剣を刺され、うめくアラン。その耳に、イヤホンを通じて、真歩から緊急の連絡が入った。

『班長からの指令よ!全員、屋内に退避せよ!これから降る死の雨に当たらないで!』


(死の雨!?なんだ···それ···)

 アランは、痛みでだんだんと意識が遠くなった。

 木にくくりつけられたアランを、楽しそうに殴っていたぶるヴィヴィとダン。


 少し離れたところで笑うグンゾと、顔を引きつらせながら逃げるタイミングを窺う風人。


「獣衛隊を、舐めんじゃないわよー!」

 やって来たユリカが、グンゾに向けて携帯式のミサイルを放った。ミサイルがまともに当たり、その場で焼け焦げるグンゾ。近くにいた風人のスーツも、一部が焦げた。

 目を丸くして驚く風人。


 ヴィヴィとダンが突然のミサイルに驚いていると、マモルが空から衝撃波を放った。その間にミランがアランの手の短剣を抜き、縄を解いた。 

「アラン、時間がないわ。近くにあるドゥニアの施設まで、走って」

「ああ!」


 ミランとマモルは空を飛び、アランとユリカは走り出した。

 アランは走り始めたところで、風人がまだ腰を抜かしていることに気付き、その襟首を引っ張って走った。

「アランごめん。脅されて、仕方なかったんだよ。本当だよ、信じて」

 涙を流しながら謝る風人。

「今はそんなことどうでもいい!」

 風人を引っ張りながら走るアランは、後ろを走るユリカをちらりと見た。

(まずいぞ、黒い雲がどんどん近付いてきた。ユリカの足じゃ、間に合わないかもしれない)


 アランは走りながら、前方にウガがいることに気付いた。

「ウガー!ユリカを受け取ってくれ!」

 アランはユリカの所へ行くと、いきなりひょいと抱えた。

「え!?ちょっと!?」

 焦るユリカ。

 アランは気にせず、ウガに向かって力いっぱい投げた。

「うっそーん!!」

 涙顔で飛ばされるユリカ。


 ユリカを抱き止めるウガ。

 そこへ飛んでやって来たミラン。

「ウガ、今すぐ屋内に退避して!死の雨が降るわ!」

 ミランの言葉に、側で倒れていたペイトンが反応した。


「死の雨!本当か?」

 上半身を起こした状態で、青ざめるペイトン。

「空を見てみろ、雨は近い。ペイトン、お前も来い!」

 ウガはそう言うと、ユリカを抱きかかえたまま走り始めた。


「まだ、大勢のゲノマーが外にいる!助けなければ!」

 ペイトンは、少し離れた所に倒れていたケイラを抱きかかえ、指笛を吹いた。やって来たベルルにケイラを任せると、他のゲノマーを助けるために飛び上がった。


「ねぇウガ、死の雨って何か知ってる?」

 ミランが羽根を羽ばたかせながら、ウガに聞いた。

「知らねーな。だが、名前の通り、やべぇ雨だってことは確かだろう」

「だよね···」

「それともう一つ。俺達が向かってるあの建物の中には、さっきカイとヘイズが入って行った」

「班長とヘイズが!?」

 驚くミラン。

 少し後方を走っていたアランも、ウガの話が聞こえて目を丸くした。

「ああ。恐らくまだ中にいる。だが、この辺りで雨をしのげるのはあそこしかない」

「選択の余地はないってことね。なら、このまま行きましょう!」

「おう」

 ウガとアランは頷いた。


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