奇襲
ミランはマモルをおんぶして、牧草フォークを持っています(前エピソード修正済み)
また、森田がもっている武器は衛兵から奪った「柄の長い剣」に修正しています。
宮殿跡地近くの住宅街には、いくつもの悲鳴が響いていた。
ゲルアン達3人は、楽しそうに人をきり裂いては地面に血を流した。
「キャーッ!!」
「やめろー!」
逃げ惑う人々は、涙を流して震えていた。
すると、ゲルアンにはアランが、ゲルドゥには森田が、ゲルトローにはミランが、それぞれ背後から斬りかかって奇襲した。
◆
森田は、泣いている子どもを殴ろうとするゲルドゥの背後に現れ、その心臓目掛けて剣を突き刺した。
バタン、とその場に倒れるゲルドゥ。だがすぐに頭を動かして刺すように森田を見た。
「お前誰だよー!」
顔に怒りを浮かべるゲルドゥ。
森田もゲルドゥを睨みつけながら、体中を何度も突き刺した。
「ゲルドゥ、そいつは森田だぁー!獣衛隊で一番強い男だぞ、油断するな!」
少し離れたところで戦闘の様子を見ていた後藤が、ゲルドゥに向かって声を張り上げた。
ゲルドゥの右手がわずかに動いたのを見て、森田はすぐにその場から離れた。
「ゲルゲルビーム!」
ゲルドゥの右手から放たれた波動で、辺りの建物は爆破され、飛び散った。
どうにか逃れた森田の頬にも、切り傷が出来て血が滴った。
(小さいミサイル1発分の威力があるな)
「森田?んな奴知らねーよ」
ゲルドゥは口を開け、舌を伸ばして森田の剣を奪おうとしたが、森田は素早くその舌を切った。
「痛ーっ!もうやめてよー」
ゲルドゥは起き上がると、森田に殴りかかってきた。
殴り合う二人。
「俺は獣より、対人戦のほうが得意なんだよ!」
森田は、そう言ってゲルドゥの腹に強烈なキックを食らわせた。
ゲルドゥは吹っ飛んで倒れたが、また起き上がって森田に向かってきた。
(心臓を突いたおかげで弱ってはいるが、それでもこの破壊力。まともに戦ってたら危なかったな)
森田がゲルドゥの右手パンチを避けたところで、ゲルドゥの左手が一瞬光った。
(まずい!)
「ゲルゲルスーパービーム!」
ゲルドゥは左手からレーザーのような光を発射し、辺りを一直線に焼き尽くした。
森田は光に剣を向けて衝撃を抑えたが、それでも防ぎきれずに遠くへ飛ばされた。
弧を描くように飛びながら、態勢を立て直す森田。落ちる前に地面に剣を立て、衝撃を和らげて着地した。
着地と同時に、足元の砂をすくい上げる森田。
ゲルドゥは飛んで行く森田を見てニヤリと笑うと、勝ったつもりで右手を顔に、左手を腰につけてポーズを決めた。
「僕って強ーい!カッコイイ!」
「まだ戦いは終わってない!」
ゲルドゥのところまで急いで戻った森田が、ゲルドゥの両目に砂をかけた。
「うわっ、見えない!」
慌てるゲルドゥの頭に、剣を突き刺す森田。するとゲルドゥの顔は動きが止まったが、両手両足だけは動き始めた。
(まだ動くのか!?)
再び格闘し合う森田とゲルドゥ。
(頭を刺してから、明らかに動きが鈍くなってる。今だ!)
森田は一瞬の隙を突き、ゲルドゥの腹を切った。
上半身だけとなったゲルドゥは、空中に両手を上げた。
◆
長い舌で死体の血を吸っていたゲルアン。その心臓に向かって、背後から鉄の棒を突き刺したアラン。
ゲルアンは一旦倒れたが、また起き上がって右手に集めた光を放った。
「ゲルゲルビーム!」
ギリギリで避けたアランが態勢を崩した隙に、ゲルアンはアランから鉄の棒を奪い、その棒をアランの頭目掛けて振り下ろした。
(しまった!)
ゲルアンに頭を思い切り叩かれるアラン。
アランは頭を押さえ、その場にうずくまった。
(うう、さっき砲弾を食らったはずなのにこの威力かよ!ネズミやワニとは動きが違うし、もっと相手の行動を読まないと···!)
「だっせー!バーカ!」
嘲笑うゲルアン。
「ゲルゲルパワー!」
追い打ちをかけるように、ゲルアンがアランに殴りかかってきた。
アランは体中から針を出し、ゲルアンの顔にも拳から放った針を突き刺した。
「痛っ!痛いよー!なんだよお前!ハリネズミかよ!」
両手と顔に針が刺さったゲルアンは、痛みで泣きながらアランを罵倒した。
「俺の針は、こんなもんじゃない!」
反撃に出たアランは、両腕から出した針を薄く鋭い刃物のような形に変形させると、高速のパンチを繰り出した。
「超切波!」
ゲルアンの体中を、殴ると同時に切り刻むアラン。体中に穴が空き、頭も右半分が吹っ飛んだところで、ゲルアンは両手を上げた。
◆
ゲルトローの頭に刺さった、ミランの牧草フォーク。
ミランがフォークを抜くと、ゲルトローの顔は蒼白となったが、体は動いてミランの腰にゲルトローの蹴りが入った。
ミランは吹き飛ばされそうになり、羽根を羽ばたかせて空中を飛んだ。
(頭を刺したのに体が動くって、どういう構造してるわけ!?)
まぶたをうっすらと開けたゲルトローは、高くジャンプしてミランのすぐそばまでやって来た。そしてミランの顔に拳を向けた。
「怒ったぞー。僕は怒った!ゲルゲル、パワー!」
ゲルトローが高速のパンチを繰り出すと、ミランに背負われていたマモルが頬をぷくっと膨らませた。
「やめて、だめー!」
マモルはミランの顔の前に右手を出すと、その掌から大きな波動が出てゲルトローが一気に吹っ飛んだ。
「なんだよ、なんだよ、なんなんだよ、お前は!」
ボロボロになったゲルトローが、涙目になって空中に両手を上げた。




