表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣乱のゲノム  作者: 大野 響
ナモスタン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/43

裏切りと覚醒

 監獄の中、簡易なベッドの上で眠るマモル。

 向かいの監獄にいるミランは、眠り続けるマモルを見ていた。

(こんな狭い場所じゃ羽根も役に立たないし···なんとか、マモルを助けないと)

 ミランが考えあぐねていると、コロシアムのある奥から時折ざわめきが聞こえた。

(さっきから、何やってるんだろう···)


 ミランのいる監獄の通路では、看守が仕事もせずにスマホで動画を見ていた。

 ミランは、口に手を当てながら考え込んだ。

(私の力じゃ、さすがにこの鉄格子は抜け出せない。マモルだったらできるかな?でも、ここから声を出したら看守にバレちゃうし···そうだ、超音波!私にも、超音波なら聞こえる。きっと、マモルにも聞こえるはずだ!え、でも超音波ってどうやって出せばいいの!?あー、こんなことなら、もっとアランと二人で練習しておけば良かった)


 ミランが逡巡していると、監獄の前を見覚えのある男が通った。それは、木更津基地での戦闘の時に、ミランをレーザー銃で撃ったヘビ使いの男だった。

 思わず監獄の陰に隠れるミラン。

 ミランに気付かないまま、真っすぐ前を見て通り過ぎる男。

(あいつ···!あの男もここにいたんだ!)

 爪を噛むミラン。



 サーベルタイガーが、森田に襲いかかった。森田は必死に逃げるが、サーベルタイガーも執拗に追いかけてきた。

(武器がないと、さすがにきついな。だがこのまま逃げ続けても、スタミナがいつまで保つか)


 徐々に距離を詰めてきたサーベルタイガーが再び襲いかかってきた。森田は咄嗟に避けたが、サーベルタイガーの右前足から出た爪で引っ掻かれ、腕に爪痕が残った。顔を歪める森田。

 歓声が起きる観客席。

 その時、ヘビ使いの男がコロシアムの観客席に現れ、辺りを気にするようにキョロキョロしてから腕時計を確認した。


 森田が徐々に壁に近付くと、サーベルタイガーがまた襲いかかってきた。

 すると森田はありったけの力でジャンプし、サーベルタイガーの背中に飛び移り、そこからまたジャンプして観客席の柵を掴んだ。

 体を揺らして柵の上に上がり、呆気にとられていた観客の合間を逃げ出した。


「その男を、捕まえろー!」

 離れた観客席にいたデニスは、慌てて衛兵に命令した。

 追ってくる衛兵。

 森田は観客席にいた観客を持ち上げて衛兵に向かって投げて追手を止めた。

 また、前を塞いだ衛兵に殴りかかり、持っていた柄の長い剣を奪い、更に逃げた。


 ヘビ使いの男が観客席の通路で耳を澄ませていると、エリックが走ってやってきた。

「ペイトン、あの男を今すぐ殺せ!」

 エリックは逃げる森田を指差し、ヘビ使いの男、ペイトンに命令した。

「ああ、あいつね」

 ペイトンは身に付けていたレーザー銃を森田に向けて撃ったが、それに気付いた森田が直前で避けた。

「あれ、外れた」

「もっとちゃんと狙えよ!今すぐあいつを殺してこい!」

 エリックが再度命令すると、それまで無表情だったペイトンが耳に手を当ててから口角を上げた。 

「やっと来た」

 そう言うと、ペイトンは急にエリックに銃を向けてエリックを銃で撃った。

 その場に倒れるエリック。

「ど、どうして···」

 エリックは、それだけ言って息絶えた。


「エリックー!!」

 そばにいたデニスが、倒れたエリックに走り寄った。

「おいペイトン、何やってるんだ!殺す男はあっちだ!」

 デニスが怒鳴りつけた。

 すると、ドドド、とコロシアムを揺らすような音が響いて多数の大ネズミが観客席にやって来た。

 観客席から一気に逃げる観客達。

「うわー!ネズミだー!」


 突然のネズミ襲来に驚いて腰を抜かすデニス。

「な、なんでここにネズミがいるんだよ!超音波システムが壊れたのか!?」

 慌てるデニスの胸に、ペイトンが無表情のまま銃を撃った。その場に倒れるデニス。

 その様子を少し離れた場所で見ていた後藤とレイラは、状況を察して逃げ出した。


 森田は今がチャンスと思い、観客達とは反対方向、大ネズミがいる方へと向かった。



 監獄が揺れ、ネズミの襲来に気付くアラン。

(ん?このニオイ、ネズミだ!!まずい、今すぐ逃げないと!剣があれば、この鉄格子くらい切って抜け出せるのに!)

 アランは監獄の中を見回した。

(だめだ、この中に剣の代わりになるようなものはないな)

「どうしたんだい?」

アランの様子に気付いたカルムが、アランに尋ねた。

「あー、えっと、マウス!マウスだ!」

 アランは監獄の外を指差して言った。

「ネズミ!ネズミがくるのか!?」

 アランの言葉に、一気に青ざめて後ずさりし、その場にしゃがみ込むカルム。


 足音が聞こえたかと思うと、看守達が、我先にと監獄の通路を走って逃げて行った。

 看守達の様子に、時間がないことを悟るアラン。

 (早くここから出ないと!でもどうやって?)

 焦ったアランの手には、少しの針が出ていた。それを見て、ハッとするアラン。

(そうだ、針!)

 

 アランは右腕から針を出し、鉄格子に当てた。すると、わずかに腕を震わせた。

(針の形を変えるんだ!もっと薄く!鋭く!)    

 アランが念じると、徐々に形が変わり始める針の形。

 薄く鋭くなった針を鉄格子に当てていると、鉄格子が徐々に切れ始めた。

(行ける!切れろ、切れろ、超音波)

「超切波!」

 アランが叫ぶと同時に、鉄格子が切れて人が一人通れる程の隙間ができた。

 だが同時に、大ネズミの大群がやって来た。


 アランはすっかり怯えているカルムを引っ張り出し、監獄を出て二人で走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ