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獣乱のゲノム  作者: 大野 響


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28/42

凛との時間

 獣衛隊の隊員達が兵舎の休憩室で各々寛いでいる中、部屋にアランとミランが入ってきた。

 蒼太とマモルはミランに気付くと、嬉しそうに走り寄った。

 後から真歩や他の隊員も寄って来る。

「ミラン、待ってたよ!戻ってこれて良かった。傷はまだ痛む?」

 蒼太が聞くと、ミランは笑顔で答えた。

「心配してくれてありがとう。もう大丈夫」

 

 ミランは生死の境で瞬に助けられる夢を見たことで、自分の感情に区切りをつけることができた。おかげで一皮むけ、再び笑顔を作れるようになったのだった。


 それまでそっけない態度であったミランの突然の笑顔に、ハートを射抜かれて固まる蒼太。

「そっか、良かった」

 蒼太は頬を赤くして言った。

 ミランは蒼太の頬が赤くなったことに気付かないまま、しゃがみ込んでマモルを抱きしめた。

「ミーラン、ミーラン」

 ミランの名前を呼ぶマモル。

「マモル、会いたかった!」

 ミランはマモルと頬をくっつけて再会を喜んだ。

 真歩も涙ぐんで復帰を喜び、その場が明るく盛り上がった。


 頬杖をつきながらアラン達を見ていたユリカは、ミランの様子を見てその感情の変化に一人気付いた。

(ミランも無事で良かったわー。ん?なんだかスッキリした顔してるじゃないの)



夕焼けに染まる河川敷で、川を眺めているアランと凛。二人の間には、微妙に距離がある。

「仕事、まだあるんだろ?呼び出しちゃってごめん」

 頬を赤らめながら、アランが言った。

「ううん、今日はもう終わったから大丈夫。何かあった?」

 凛も少し頬を赤らめながら答えた。


「ああ、これ。ユリカから、凛に返して欲しいって頼まれてさ」

 アランは、持っていた袋の中から手のひらサイズの加湿器を凛に見せた。

「加湿器!?そうそう、これ、ユリカが使いたいって言うから、前に貸したんだよね。あげたつもりでいたのに···。ユリカに、返してくれてありがとうって伝えておいて」

 凛はそう言って微笑んだ。


「それと、これは班長から。ネズミの調査の時に使ってくれ、だって」

 アランは同じ袋から巻き尺と軍手を見せて、袋ごと凛に渡した。

「ありがとう!よく使うから助かるよ」

 凛が瞳を輝かせた。


「ネズミやワニが超音波に反応してるなんて、今まで気付きもしなかったよ。凛のおかげだって、班長も言ってたぞ」

「私じゃなくて、所長とスタッフみんなの研究の成果だよ。でも、役に立てたみたいで良かった。ネズミが反応する超音波にも種類があるみたいで、まだまだわからないことがいっぱいだから、私ももっと勉強しないと」 

 凛は自分を鼓舞するように言った。

 凛の様子を見て、アランも嬉しくなった。


「凛は、獣衛隊にいた時より生き生きしてる気がする。この仕事、あってるみたいだな」

 凛は頷いた。

「うん。自分でもそう思う。私ね、本当のこと言うと、ネズミを殺すことに抵抗があったの。昔から動物が好きだったから、むしろ動物を守るような活動に興味があって。獣衛隊に入ったのも、母の再婚相手と一緒にいたくなかったから···不純な動機でしょ?」

 そう言うと、凛は下を向いた。


「いや、そんなことない。そんなことないよ。俺だって、先生がネズミに殺された時に誘われたから、流されたところがあるし。それに俺は、凛が本当にやりたいこと見つけられて良かったと思う。凛には、これからもずっと笑顔でいて欲しい」

 自分で言って恥ずかしくなるアラン。

「ありがとう。アラン君に話せて良かった。いつか···いつか、大きなネズミもワニもいない、元の日本に戻る未来が来たらいいよね。それがね、今の私の夢なの」

「俺も、応援するよ」

 アランは凛を見た。するとお互いの目が合い、距離が近付く二人。



 訓練場の食堂で、食事をとるアランとミラン。ミランの隣には、離乳食を食べるマモルもいる。

 アランは凛と会った時のことを思い出しながら、ニヤついていた。すると、胸元の通信機器が鳴って後藤隊長から指令が入った。

「出動要請だ。アラン、ミラン。マモルを連れて、今から和歌山に向かってくれ」

「承知しました」

 アランとミランは同時に答えた。


「和歌山か。随分遠いな」

 食堂を出て走りながらアランはミランに言った。

「そうだね。またテロがあったのかな」

 ミランが答えた。

 兵舎を出て少し走った所で、飛行機のそばに森田がいた。

「アラン、ミラン。こっちだ!」

 森田が二人を呼んだ。

「アラン、これを付けておけ」

 森田は手に小さなイヤホンのような機械を持っていた。

「これは?」

「酔い止めみたいなもんだ」

 森田はそう言うと、アランの左耳にそれを装着してから飛行機に入って行った。

 森田に続き、アランとミラン、マモルも飛行機に乗り込んだ。

「和歌山で複数のワニが出たらしいな」

「はい」

 3人は森田とともに飛行機に乗り込むと、着席してシートベルトを締めた。

 ドアが閉まり、飛行機はすぐに飛び始めた。

 しばらく飛んだところで、アランは急激な眠気を感じた。

(ん?なんだか···眠いな···)

いつの間にか、アラン、ミランとマモル、森田は眠っていた。

 

 飛行機を操縦している操縦士二人は、ガスマスクをつけていた。


国内編はとりあえずこれで終わり、次回以降はナモスタン編となる予定です。

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